ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > ラオス・セコン川ダム開発 > ベトナムが牽引力<続編>
日本の援助が生んだ余力で、ベトナムがラオスのダム開発に乗り出したニュースの続報です。この件については、8月4日のロイター電も報じています。それを参考にしていくつか補足します。
ベトナムが投資するラオス南部セコン県のダムは、以下の5つのプロジェクトです。
(1)340メガワットのセピエン・セナムノイダム:アジア通貨危機前に韓国企業が投資していた。
(2)300メガワットのセカマン第1ダム:かつてオーストラリアの企業がマレーシアの伐採企業と組んで開発を進めた。目的はダムではなく水没予定地の伐採だったとの見方もある。
(3)55メガワットのセカマン第4ダム
(4)310メガワットのセコン第4ダム
(5)200メガワットのセコン第5ダム
投資額ですが、セコン川の5つのダムを合わせると建設コストは10億ドルを超える見通しです。5つのダムに投資するベトナムの企業体は6社の国営企業(電力と建設関係)で、その中には、ベトナム電力公社(EVN)やソンダー建設会社が含まれています。資本金は約1兆ベトナムドン(約7000万ドル)です。
発電された電気は、ベトナムに輸出される計画です。
実はこの5つのダム計画への投資が発表される1週間前に、この企業体はラオス政府との間で、210メガワットのセカマン第3ダムの建設と運転をするための2億3200万ドルの契約書に署名しています。このセカマン第3ダムへの投資は、ベトナムにとって過去最大の海外投資だということです。
ロイター電によれば、ベトナム電力公社は、こうした発電所の建設や運転資金は、ベトナム政府からの低利融資でまかなう予定だと言います。実は、新たな発電所建設や投資資金の回収のため、ベトナム電力公社は、来年国内電気料金の値上げを計画しています。これに対して、国内での抗議も予想されています。
なお、セコン川の一連のダム計画のマスタープランは1993年に日本のJICAが開発調査によって立てたものです。