ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > 大メコン圏 > 雲南閣僚会議-中国新副総裁
アジア開発銀行(ADB)が音頭をとって進めている、大メコン圏地域経済協力(GMS)の年次閣僚会議(第12回)が、9月19日に雲南省の観光地である大理で開催されました。関連する記事を何回かに分けてお伝えします。
きょうは、中国からADBの新しい副総裁となった金立群氏のインタビューを中心にした中国紙の報道です。
ADBはこれまで日本人が総裁で、副総裁はアジア、アメリカ、ヨーロッパから1人ずつという体制でした。アジアからの副総裁はこれまで韓国が占めていましたが、今回中国がこの席を獲得し、韓国は副総裁を束ねる新しいポストに移りました。
これによって、ADB経営陣の中で日本・中国・韓国の3か国が持つ役割が強まり、欧米の勢力が相対的に弱まったことになります。今後、中国や韓国からの新しい幹部がどのような言動をするかが、極めて重要になるでしょう。
XU BINGLAN記者(China Daily)
China Daily、2003年9月19日
大理(雲南):中国は大メコン圏地域経済協力プログラム(以下、GMS)において、過去20年間に中国が経済改革や開発の中で経験したことを、他のGMS諸国(ベトナム、カンボジア、ラオス、タイ、ビルマ)と共有することによって、多面的な役割を担うことができると、ADBの最高幹部が昨日語った。
アジア開発銀行(ADB)の新しい副総裁となった金立群(Jin Liqun)氏は、1992年に始まりADBが調整してきたGMSプログラムは、その第12回閣僚会議が、絵の様に美しく趣のある中国南西部の雲南省にあるこの町できょう開催されることを宣言した。
GMSは瀾滄江(中国以外ではメコン河と呼ばれる)が流れる国々を対象としており、そこにはカンボジア、中国、ラオス、ミャンマー(ビルマ)、タイ、それにベトナムが含まれる。
GMSプログラムは、6か国の経済的なつながりを強化する狙いで組み立てられており、その中には、越境する伝染病抑制のような社会的なプロジェクトも含んでいる。
中国政府は、GMSはその成果に対してますます高い評判を得ていると述べた。政府は、GMSを中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の間の自由貿易地域を形成するモデルにしようと考えている。
「GMSの中心的な使命は、この地域の貧困削減である。中国は貧困削減にずっと熱心であり、またこの点において貢献できる存在だ」、金立群副総裁はインタビューでそう答えた。
「中国はまた、インフラ整備、環境保護、それに海外投資における行政管理において、豊富な経験と教訓を持っており、それらをGMSの国々と共有することができる」
金立群副総裁は54歳、8月にこの新しいポジションに就いた。それまでは中国の財務次官だった。
「私自身、ADB副総裁として新しい展望を持つべきである。しかし、中国財務省や世界銀行での23年間の経験に基づいて、最大限の貢献をするつもりである」と金立群氏は語る。金立群氏は1980年に財務省に入り、88年から92年にかけて、世界銀行中国理事室の理事代理を務めた。
金立群氏は、GMSプログラムは、経済的な便益に加えて、参加各国の相互信頼とよりよい関係の構築・強化に寄与してきたと述べた。
「昨年のカンボジアでのGMSサミットの開始以来、11のカギとなるプログラムが立ち上げられ、およそ100件の投資や技術協力プロジェクトが実施されている。
様々な資金提供ソースからおよそ20億ドルが調達されてきた。しかし、ADB職員たちは、公的な資金はこのプログラムの次のステップを支えるには十分ではないと語る。
インフラプロジェクトだけで、今後10年間に150億〜200億ドルが必要だと見積もっている。
したがって、GMSの国々は、民間セクターがこのプログラムにもっと積極的に参加するよう呼びかけることを決め、今回の閣僚会議の主要テーマの1つとなった。