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先月中国雲南省の大理で開催された「第12回大メコン圏地域経済協力(GMS)閣僚会合」の報道第3弾です。
中国がいかにメコン地域に関心を強めているかが読み取れます。メコン・ウォッチのボランティアの井山美穂さんの翻訳です。
South China Morning Post
2003年9月20日
Allen T. Cheng記者(雲南省 大理)
メコン河の流域諸国は、中国の増大する繁栄に脅威を感じるよりむしろ、富と権力ある同国が便益を分かち合うつもりであることに安堵するべきだ、と中国当局は昨日、東南アジアの閣僚らに語った。
国務委員Tang Jiaxuan氏は、中国の発展はこの流域全体の連携に肯定的な影響をもたらすだろう、と閣僚らに述べた。
自分たちの近隣諸国と良好な関係を構築することは、中国の外交政策の基盤である。
我々は、近隣諸国の繁栄のためなら、その反対のいかなるものも差し置いて、最善を尽くす所存である。中国の目標は共に発展し繁栄することである。
Tang氏は、メコン河流域に位置する国々により構成される、大メコン圏地域経済協力(通称GMS)の3日間に及ぶ閣僚会議において語った。
近年における中国の経済成長と急激な対外投資の吸収は、アジアの近隣諸国を不安に陥らせている。
近隣諸国の多くがピリピリしたままだが、大メコン圏閣僚会合は昨日、中国、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム、ミャンマー(ビルマ)との間に、より自由な貿易を促進する越境協定を成立させ、幕を閉じた。
ミャンマー(ビルマ)は、物資や人々の越境移動に対する目に見えない障壁を縮小するであろう同協定に署名し、最後の調印国となった。
アジア開発銀行(ADB)は1992年以来、橋や道路、港などの重要なインフラ整備のために融資を行い、メコン圏内における経済統合を促してきた。雲南省の高速道路と東南アジアの道路網の改良のためだけでもおよそ10億ドルが投じられた。この地域に貸し出された30億ドルのほぼ3分の1に相当する。
越境協定は、「一箇所で済む通関手続き」と、この流域へ来る外国人向けの統一の共通ビザに対する土台となるだろう。「一箇所で済む税関手続き」とは、流域国のある1つの国の税関をパスした物資は、メコン地域の国ならどこへでも自由に移動できることを意味する。
ADB幹部職員のRajat Nag氏は、我々はこの流域諸国がよりよく結ばれることを望んでいる、と語った。
彼は、同協定は、ヨーロッパ連合における統合した市場同様の、将来のアジア経済共通市場に対する布石となった、と述べた。同協定によって、昨年中国が東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国と結んだ自由貿易協定が補完された。
ADBのメコン事業プロジェクト責任者であり、大メコン圏閣僚会議の進行役であるNag氏は、近い将来、何がしかの共同市場が出現することを切に望んでいる、と述べた。
ADB副総裁で、元中国財務省次官の金立群(Jin Liqun)氏は、大メコン圏がアジアに出現し、地球規模の発展プロセスの中へと参入していくにしたがい、同経済圏は最終的に、完全に統合された市場につながるに違いない、と語った。