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ODAダム>国際的なダム専門誌の記事
メコン河開発メールニュース 2003年12月25日

1年前の記事ですが、国際的に有名なダム専門誌のInternational Water Powerand Dam Constructionが、日本の国際協力銀行(JBIC)とダム問題について書いています。ダム業界内部の見方として紹介します。

なお、記事が書かれた時点ではJBICの新しい環境・社会配慮ガイドラインは施行されておらず、また、遵守メカニズムとしての異議申し立て制度は議論の最中だったことをご承知おき下さい。

メコン・ウォッチのボランティアの柿元えり子さんが翻訳してくれました。

日本型融資の見直し

International Water Power and Dam Construction誌

2002年10月4日

国際協力銀行(JBIC)が、プロジェクト・ガイドラインと業務手続きを見直おそうとしている今、今後の水力発電融資にどのような影響を及ぼすか、Tim Sharpがレポートする。

日本国内では、インフラ整備の目的に対する認識が変わりつつあり、「旧態依然」とした活動に反対する国民の怒りをますますつのらせている。その結果、水力発電などをの国内及び海外のプロジェクトは、日本の海外援助の主なパイプ役であり、プロジェクト・ガイドラインと業務手続きを大幅に見直そうとしている国際協力銀行(JBIC)の今までとは異なる基準を満たさねばならない。

新ガイドラインは2002年4月1日に発表され、2003年10月1日付けで施行されるが、主な改正点は以下の通り:

JBICは、自らがプロジェクトに関与する期間を使って、新しいガイドラインに沿っていることを確実にするための遵守メカニズムを打ち立てる。しかし、このメカニズムの導入が提案されたことが、大きな論議を呼んでいることは注目すべきことだ。

改革の根源に、ダムなど中央官庁が資金供与する国内の公共事業プロジェクトに対して国民の幻滅感が広まり、大きくなってきたことがある。2002年9月1日、この幻滅感は衝撃的に出現した。今、国内で良く知られている田中康夫・長野県知事が、圧倒的再選を果たしたのである。

田中知事は、2000年10月15日、中部に位置する長野県の公共事業プロジェクトを見直す公約をして選挙戦に臨み、同じような圧倒的な勝利を果たした。だが、公約に従って、洪水から県庁所在地を守るはずだった浅川ダムの工事を当選1か月後に延期し、その後、2001年2月に、同じく下諏訪洪水防御プロジェクトを含む有名な「脱ダム」宣言へと続くと、知事がともに仕事をしなければならない保守的な県議会は反抗姿勢をあらわにした。

60人の強力な議会は、知事の相変わらずの非協力的態度に怒り、2002年7月、44対5、棄権11で不信任案を通過させると、事態はますます悪化した。この不信任案は、現職知事の政策問題に反対するもので、日本の近代史上初めてであった。

しかし、田中知事は議会の投票をあっさり認め、まさに同じ政治要綱を掲げ選挙に再出馬、劇的に再選を果たした。こうなると、中央で決定する公共事業の補助金やその政治的効果に慣れきってきた議員がほとんどの県議会も変わらざるをえない。

既存の政治体制に反対する長野の「県民の勝利」は、まさに時代の流れに沿ったものと言えよう。このことは、例えば、熊本県南部・球磨川の最大支流にかなり以前から計画されている高さ107メートルの九州最大のダムー川辺川プロジェクトを阻止しようとするNGOの断固とした取り組みに大きく弾みをつけるだろう。

しかし、潮谷義子熊本県知事は、ダム建設賛成派の強い圧力と脅しにさらされると、ダムのEIAを要求するという2000年4月の選挙公約を破った。興味深いことに、田中長野県知事は、今年3月、NGOを支援するため熊本を訪れている。

長野県の選挙結果はまた、2000年1月、四国・吉野川の堰建設に反対する徳島県住民投票 の引き金となった。当時の建設大臣は、この投票結果を、「民主主義の誤った行使」だと述べた。従って、国土交通省は現在も建設を推進している。

しかし更に重要なことは、 この新しい風潮は、今や日本の市民グループによって政府開発援助(ODA)に適用されていることである。日本の市民グループは、JBICや外務省の無償援助による水力発電やその他の公共事業に対して現地に不満のあると分かると、現地グループが日本で直接関係当局に言い分を述べるよう支援している。

ダム活動家

現在、相互に何の関係もない日本の3つのグループは、インドネシア、フィリピン、ミャンマー(ビルマ)の現地活動家たちが、日本の資金による水力発電プロジェクトに反対して、日本で行動をとることを支援している。スリランカにも、同じような問題があるようだ。

スマトラ島のコトパンジャン水力発電プロジェクトをめぐる運動は、今までで特に激しいケースである。80年代終わりにJICAが調査を実施し、JBICが約90%を融資、97年に東電設計株式会社(TEPSCO)を中心とする企業連合が委託を受けて建設したこのプロジェクトは、責任ある開発の陳列場となるはずたった。そのため、インドネシア政府は、1万2400ヘクタールの貯水池予定地にある13村の移転住民4886世帯の同意を取りつけ、環境保護対策をとるよう求められた。

ところが、2002年9月5日、京都に本部を置く(コトパンジャン)ダム犠牲者の支援組織(ABV)の支援で、インドネシア人3861人のうちの15人の代表がJICA, JBIC、TEPSCOを相手に、1人当たり4万2430ドル の賠償を求め、東京地裁に訴訟を起こした。訴えによると、約束されていたゴムの木のプランテーションは提供されておらず、移住先の村にはきれいな井戸水もない。また、土地立ち退きの補償はわずかかほとんどない、村の墓地を移転する資金もないなどの不満がある。

しかし、「賠償金が主な目的ではない」と、浅野史生ABV弁護士は断言する。「(被害者たちは)、移住を強要される前の生活を取り戻すことが出来るよう、その対策を日本に求めている」。

ABV代表の鷲見一夫教授は、ダムの実施可能性調査に参加した国際法専門家だが、「(被害者を)助けるのは、日本の市民としての道徳上の責任。10年後再びコトパンジャンを訪れた際、移住した人々が悲惨な状態に置かれているのが分かった」と、述べている。

また、ABV 弁護団長大口昭彦氏は、ABV は、プロジェクトを実施するため公的資金を不正に使用したとして、近く日本政府を相手に納税者訴訟を行うと言う。

ABVメンバーの村井吉敬氏は、特にフィリピンなどのODA資金の不正利用に目を向けると、「これに続く訴訟が増えるだろう」と言う。コトパンジャンは、日本のODAに対する初の法的挑戦である。

名誉のために述べるが、日本政府はすでに、インドネシア政府に対し、移転させられた村人たちへの約束を果たすように要請しているが、多分これは遅すぎることかも知れない。原告に付き添って東京に来たインドネシア人弁護士AdhelYusirman氏は、2002年10月にインドネシアで別の訴訟を行うと述べた。一方日本の被告側は、「(自分たちとしては)どのような対応が出来るか協議している」と、JBIC.は述べている。

その他の抗議の規模は、少なくとも現在のところ、比較的小さいものだ。野党国会議員100人のグループが、JBIC に対し、フィリピンのサンロケ多目的ダムプロジェクトの融資支払いの延期(ほとんど完了している)を求めている。また、国会は、どのような契約が可能かまたは人権侵害はないかなど、プロジェクト全てに対するフィリピンの国会調査を受けて検討することになろう。

ミャンマー(ビルマ)の場合、日本のNGOメコン・ウオッチは、カレンニー族やその他の少数民族の代表者たちが、「(アウンサンスーチー氏との)対話の時期が確実になるまで」、ミャンマーへのODAを抑えるよう、日本の外務省や国会に直接働きかけることを支援している。この代表者たちは、外務省がすでに2800万ドルの無償供与に同意しているバルーチャン第ニ水力発電所改修計画に関し、プロジェクト周辺の「強制労働や人権侵害の独自の監視」を求めており、その結果によって、その後の援助支払いを決めることを求めている。

スリランカでは、JBICが最近融資したアッパー・コトマレ水力発電所建設事業に抗議している地元NGOは、日本の「虹と緑のグループ」がこの問題を取り上げたことに力づけられている。

ー全てのこうした現象のカギとなる点は、日本のODAが適切に実施されていないのがどの国であれ、日本国内で非常に多様な反ODAの運動が起きているということである。実施がまずいプロジェクトに対する批判のうねりは、すでに重大な反応を呼び起こしている。特に、JBIC は、2002年4月1日、プロジェクト実施のための新環境ガイドラインを発表し、2003年10月1日発効する。

ここまで取り上げてきた様々な変化は、現在議論が行われている(JBIC新環境・社会配慮ガイドラインの)懸案の遵守メカニズムと合間って、水力発電関連の日本のODAを、より世界ダム委員会(WCD)ガイドラインに近づけることになるだろう。

当然ながら、遵守メカニズムは、ちょうど長野で敗北した保守的な政治・ビジネスの圧力団体などからの激しい反対に直面している。

圧力団体の主な主張は、とにかく遵守メカニズムの必要性を問うことである。それによると、現在のプロセスは妥当で、新しいメカニズムは時間の浪費であり費用がかかるものであり、他の二国間ODAプログラムにはそのメカニズムはないし、日本はその先頭に立つべきではないと言う。一方、日本の財務省は、市民グループと協調して明らかにこれを支援している。このメカニズムのもとで査察が行われ、その結果としてプロジェクトや資金の支払いの中止を求められるようになることを財務省が望んでいることはすでに明らかである。

日本が国内またはODAとして水力発電、その他の公共事業プロジェクトを如何に実施するかという点で、今大きな変化が起きている。こうした変化全ての成果として、より注意深く練られ、より良くー実施されたプロジェクトーにしなければならない。さもなければ、日本人が支える「被害者たち」によって日本の裁判所に訴えられるのだから。

(注)この記事が書かれた段階では協議中だったJBIC環境・社会配慮ガイドラインに基づく異議申し立て制度(遵守メカニズム)は、2003年5月1日に制定され、10月1日から施行された。

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