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ラオス・セコン川ダム開発>ベトナムが牽引力<その3>
メコン河開発メールニュース 2003年12月29日

ラオス南部にベトナムの国営企業連合が6つのダムを建設するというニュースをお伝えしてきましたが、今回は、森林分野での調査に定評がある、世界熱帯雨林運動(WRM)の批評をお送りします。

この状況でラオスのセコン川に次々とダムが建設されれば、地域社会に取り返しのつかない影響が起きることは必至です。牽引力となっているベトナム電力公社(EVN)を支えてきたのは日本のODAです。EVNだけに対して2720億円以上の円借款を供与してきました。ODAが育てたEVNが、自国だけでなく隣国で破壊的なダム開発に手を出すという悪循環が進んでいます。

ラオス: ベトナムの企業連合がラオスに6つのダム建設を計画

WRM BULLETIN 74

2003年9月

http://www.wrm.org.uy

7月、ベトナムーラオス投資開発会社が、ラオス政府と2億3200万ドルの契約に調印し、210メガワットのセカマン3ダムの建設と運転を行うことになった。この月、ラオス政府は、更に5つのダム建設をこの企業連合が建設するのを承認したと発表した。5つのダムとは、以下のダムである。

この企業連合は、6つの国営の電力及び建設会社からなり、そこにはベトナム電力公社(EVN)、ベトナム政府が運営する電力会社、ソンダ建設会社が含まれている。昨年、ベトナム政府はラオス政府との間に、2006年〜10年にかけて毎年1000メガワット分の電力を輸出する合意を結んだ。

計画されたダムは、全てセコン川流域に位置する。セコン川は南部ラオスからカンボジアに流れており、メコン河の主要な支流の1つである。

1998年に、イギリスのエンジニアリング・コンサルタント会社であるHalcrow社は、セコン川を含めた3つの河川流域に建設可能なダムサイトについて、250万ドルかけて調査を行った。恐らくHalcrow社の調査で最も衝撃的だったのは、これらの河川、漁業、集水域、そこに住む人々について、入手可能な情報が不足していることである。

Halcrow社は次のように書いている。「水文学的データベースは改善が必要である」「欠けているデータの実際の数量を推計する必要がある」「漁業に関する情報は極度に散在している」「プロジェクトの集水域の現況はわからない」。環境及び社会学的な影響について、Halcrow社は、「入手できた文書化されたデータの性質は、変わりやすいもので、一般的には現在の調査を支持するには不適当である」と結論付けた。

しかし、これらのダムの影響が甚大だという点で疑う余地はほとんどない。

提案されたセカマン1ダムで水没する190平方キロの貯水池には、ドン・アンパム国立生物多様性保護地域の一部が含まれる。貯水予定地の伐採が当初予測していたより少ない木材しか産出しないのではと推計されたとき、当時の開発企業だったAustral Lao Power(ALP)社のある従業員は、「そうなれば、ベトナム国境ま

で伐採し続けるだけだ」と語ったと言われている。その後、ALP社は、プロジェクト・マネージャーのPeter Martin氏が、ラオス人従業員に支払うべき24万ドルの賃金が未払いだった容疑で2001年に逮捕され、プロジェクトから撤退した。

セカマン1ダムは満水になるのに7年かかるだろうが、Halcrow調査によれば下流の生態系に「取り返しのつかない被害」を及ぼしかねない。漁業は、それに依存する地域社会の生活とともに全滅するだろう。川の流れの変化は、セコン平原の湿原の脅かすだろう。メコン河流域で同種の湿原がある唯一の場所は、別の水力発電事業ーナムトゥン2ダムーによって脅威に曝されている。

過去数年間、南部ラオスの地元自治体は、ダム建設を期待して人々を故郷から追い立ててきた。これらのダムプロジェクトは、人々を高地の湿原から一掃する口実に使われてきた。恐らくは、焼畑農業を止めさせることを意図して。セコン5ダムサイトから移転させられた高地集落の1つは、立ち退かされてから1年以内に住民の3分の1がマラリアで死亡するのを目の当たりにした。

セピエンーセナムノイ・ダムの建設は1997年のアジア経済危機以来頓挫してきた。

2000年の終わりに、ダム開発者である韓国のドン・ア建設工業が破綻した。にもかかわらず、このプロジェクトは先住民族のニャホン族(Nya Heun)を、水没地域や周辺の森林地から追い出す口実として使われた。

1995年、スイスのコンサルタント会社であるElectrowatt社(現在は、フィンランドのコンサルタント会社のJaakko Poyry社が100パーセント保有している)が、このプロジェクトの環境アセスメント報告書を作成した。Electrowatt社は、アメリカのNGOである野生生物保護協会(Wildlife Conservation Society、WCS)を雇って、プロジェクト地の漁業と野生生物の調査を実施した。WCSは、セピエン川にダムを作れば森林や漁業に被害を与えるので、ダムを建設すべきではないと勧告した。しかし、この勧告は、Electrowatt社の最終報告書から削られた。

WCSが勧告したフォローアップ調査は何も実施されなかった。

2001年、Electrowatt社のコンサルタントが、セピエンーセナムノイ・ダムのサイトから追い出されたニャホン族の人々が住む移転地を訪問した。このコンサルタントは、現地の状況は「満足な状態からは程遠く」、また「緊急に改善する」必要があると報告した。村人たちが与えられた土地は貧しく、牧草地も十分になかった。多くの世帯が食料不足に苦しんだ。村人が移転させられた家には、台所もトイレもなかった。水質は「かなりひどく」、村人の必要量には「十分ではなかった」。教室や教師も足りなかった。マラリアは「非常に深刻な問題」だった。どの村人も電気はなかった。

これらのダムそれぞれがもたらす影響は、ラオスやカンボジアの人々や森林にとってかなりひどいものである。提案されたダムが、社会面・環境面で災禍を引き起こすことを合わせて考えればなおさらである。

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