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ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > メコン電力網 ＞ IRNがADBの政策違反を問う
メコン河流域国の水・電力セクターで、昨年から大きな関心をよんでいるのは、『Power Grid』−電力網計画です。日本が最大の資金供与国で総裁も送りこんでいるアジア開発銀行（ADB）が牽引役を担っています。
独裁政権のビルマ、ガバナンスが弱いラオス、中国領内のメコン河本流（瀾滄江）・・・いずれも直接ダムを支援することが国際的な批判を呼ぶ恐れがあり、ADBとしては手を出しにくい地域です。そこでダム自体への融資ではなく、ADBは積極的に送電網を支援して、間接的にダム開発をお手伝いしましょう、という策に出ています。
このメコン河開発メールニュースでも、今後はしばしばこのテーマでニュースを配信することになると思います。
以下は、ADBのメコン電力網支援に対して、国際的にダム問題に取り組んでいるアメリカの国際河川ネットワーク（IRN）が1月末に出した文書です。
2004年1月30日
国際河川ネットワーク（アメリカ）
ADBがマニラでの「水週間2004年」（2004年1月30日まで）を終えようとしているこのとき、コミュニティはADBが支援するメコン電力網に生活と自然資源を奪われる危険に向き合っている。
ADBは、水力発電を主たる供給源とするメコン地域電力網の開発を推進している。
12のプロジェクトがこの電力網に接続するために提案されている。その中には、ラオスで大きな論議をよんでいるナムトゥン２ダムや、中国のメコン河上流の2つのダム、それにビルマのタサンダムも含まれている。ADBは、メコン電力網は、安くて、信頼でき、環境面でも持続可能な電力を、タイやベトナムに提供すると主張する。しかしながら、水力発電プロジェクトは数万人を強制的に立ち退かせ、漁業を破滅に導き、少数民族の文化と権利を壊すと懸念する声もある。
国際河川ネットワーク（IRN）の東南アジア地域キャンペイナーのスザンヌ・ウォン氏は、「この電力網のために建設される水力発電プロジェクトは、数百万人の人たちが生活と生存を依存している壊れやすいメコン河の生態系をかき乱すことにだろう。何とか生活している人々の水に対する基本的な権利を蔑ろにすることになる」と批判する。
IRNが本日（1月30日）発表した報告書は、ADBがこの電力網開発において、エネルギー、水、それに先住民族に関するセーフガード政策（環境社会配慮政策）に違反していることを示している。例えば、ADBの水政策にうたわれているにも関わらず、市民社会は計画プロセスから排除されてきた。計画されている水力発電プロジェクトの累積的な影響に関するアセスメントが全く行われていないのは、ADBのエネルギー政策に違反している。経済的な便益は、せいぜい収益が得られるかどうかのギリギリのところである。
こうした政策違反にも関わらず、ADBはメコン電力網を推進している。昨年、ADBは、非常に重要な電力貿易のオペレーションに関する合意を作り上げるための技術協力無償援助を承認した。また、2003年の終わりには、ADBはナムトゥン２ダムへの技術協力無償と、タイとベトナムの間の電力網の相互接続のための技術協力無償を承認した。
「もしADBが真剣に水に対する人々のニーズを満たすことを気にかけているにならば、メコン電力網計画は中断すべきである」とIRNのスザンヌ・ウォン氏は言う。「その代わりに、ADBは、世界ダム委員会（WCD）の勧告に従って、この地域にエネルギー供給の選択肢に関する包括的なアセスメントを実施できるようにするべきである」。
上記の報告書、『電力網を採点する：アジア開発銀行の政策と比べたメコン電力網（Sizing Up the Grid: How the Mekong Power Grid Compares Against thePolicies of the Asian Development Bank）』は、
から入手できる。
連絡先：Susanne Wong、International Rivers Network、USA
電話：1 510 848 1155
電子メール：swong@irn.org