ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > ウォーター・グリッド > クワイノイ・ダム建設準備
電力網(パワー・グリッド)と並んで、メコン河流域国で国境を越えて進められようとしているもう1つのグリッドが、ウォーター・グリッド(送水網)です。
その需要者側の中心にいるのがタイです。
タイの国家水資源委員会は、2003年1月に「持続的な水資源管理についての行動会議」という会合を開いきました。それによりますと 、2004年から5年間で、農地として利用されている土地のうち、未だ施設のない1億300万ライ(約1648万ha)を灌漑するということです。乾季に不足する水は、ラオス、ビルマ、カンボジアなどに新たなダムを建設してそこから導水しようとしています。その上で、効率的な水管理システムや、全国的な送水網システム(National Water Grid System)が必要だとしています。
タイ政府は相変わらず楽観的な数字ばかりを誇張しています。いわく、送水管は運河より25パーセントも水の喪失を抑えられる、とか、収用する土地が6分の1で済む、とか、水を高い場所に運びやすく費用も抑えられる、とか。一方で、ラオスのセバンヒエン川やビルマ国境のサルウィン川に巨大ダムを建設する社会的なコストには全く関心も寄せていません。
以下は、そのスタートとなる、タイ国内のダム事業に関するニュースです。
2004年1月4日
バンコクポスト
Yuwadee Tunyasiri記者
政府は今月(2004年1月)送水網システムプロジェクトを開始する予定で、ピサヌローク県のクワイノイ・ダム建設の準備をしている。
このダムは国王の80歳の誕生日を祝うため2007年に完成するに違いない。
Suvit Khunkitt副首相によれば、国家水資源委員会は全国水資源管理戦略を支持している。
送水網システムは水資源を管理するための主システムと副システムからなり、そのため優先順位をつけて全体の水資源の相互リンクと水問題の解決を図ることになるだろう。
送水網システムプロジェクトは、まずペッブリー県とプラチュアップキリカン県で先駆的なプロジェクトとして運用されるだろう。
遅れに遅れているクワイノイ・ダム事業(事業費30億バーツ)は、昨年(2003年)12月5日の国王の誕生日演説でやんわりと批判されたが、1992年に環境影響評価調査が行われたあとに始まったものである。
クワイノイ・ダムは農業と発電を目的に7億立方メートルを貯水する多目的ダムで、ピサヌロークと下流地域を洪水から守ることができる。
プロジェクトサイトは調査され、建設に向けた準備が行われており、今後4年間続く。
プロジェクトの業務仕様書は発表されている。
契約請負業者はまもなく選ばれるだろう。業者はスタッフと機械を用意していなければならず、遅延については灌漑局の新しいプロジェクト監理方法のもとで罰金を払わされることになるだろう。
Suvit副首相によれば、灌漑局は3つのプロジェクトを使うスコータイ県、プレー県、ナーン県のヨム川流域の洪水問題をどうやって解決するか探っているとのことだ。
3つのプロジェクトというのは、ヨム川流域で貯水する地域を作ること、ヨム川からナーン川に水を導水するシステムを作ること、それにヨム川の水の流れをよくするため80キロを浚渫すること、である。
盛り土はヨム川に流れ込む近郊の小川に建設される予定である。