ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > メコン上流開発 > 下流の水位が異常に低下
タイ北部でメコン河の水位が異常な低さを記録しています。中国の専門家らは、異常気象を理由に挙げていますが、タイのマスメディアは、原因は中国のメコン河本流ダム開発にあるのではないかというタイ政府のコメントを紹介しています。
以下の英字新聞の記事によれば、2月1日としては記録的な低位となり、タイービルマ国境では、砂浜ができて国境を渡る通路ができているようです。
バンコクポスト、2004年2月15日
Thirawat Khamthita記者&Kultida Samabuddhi記者
乾季の終わりの4月になってもいないのに、住民たちはメコン河の水位の劇的な減少を報告している。その奇妙な現象を上流中国のダムのせいだと捉えている。
砂浜の長い帯が、メコン河とルアック川が合流するバーン・ソップ・ルアックの黄金の三角地帯から見ることができる。それによって、タイとビルマの間に新しい通路ができている。
Sam Pi Nongの桟橋での水位は膝ほどしかなく、長いボートの操舵士は今までのようにエンジンをかけてスピードを上げて離れることができなくなった。
Chai Promma氏(33歳)は長いボートの操舵士だが、こんなに浅いメコン河を見たのは初めてだと言う。
「まだ4月ではないのに、水位は去年の同じ時期より1〜2メートルは低い。(乾季の終わりの)4月になったらどれほどひどくなるのか想像したくない」、彼はそう話した。
この地で商売している操舵士たちは、水位の劇的な減少をめぐって中国を責めている。
中国政府は(メコン河の)上流に少なくとも2つの水力発電ダムを完成させ、それによって流水量を完全にコントロールしている。
中国はまたメコン河に新しい航行ルートを作るために早瀬の爆破を行ってきた。その結果、川の流れが強くなり、下流国では河岸の浸食や魚の繁殖場所を破壊している。水資源局の水文事務所によれば、メコン河の水位は通常乾季に減少し、それは4月まで続く。
「しかしながら、中国のダム運用はまた、メコン河の深刻な水不足を引き起こしているようだ」と同事務所職員は話す。「メコン河はチェンライ県のチェンセン郡からノンカイまでにわたって干上がっている」。
ノンカイの水文観測所では、水位が2月1日に1.06メートルと最低を記録したが、その後の雨で水位は1.5メートルまで上昇したということである。
「水位は劇的に落ちたといわざるをえない。昨年の2月1日に、メコン河の水位は2.44メートルと、今年より1メートル以上高かった」とその職員は語った。
この地点でのメコン河の水位は1995年4月に記録した33センチメートルが史上最低である。
国境で商売のために船を操舵する人たちで作るチェンセン郡の協会の会長であるAttapan Ragsi氏は、この水位は過去20年間で最も低いと言う。
彼によると、メコン河の水位が低過ぎて、中国の貨物船は150トンから100トンに積荷を減らさざるをえなくなっているということだ。
彼はまた、「聞くところでは、過去2〜3か月で少なくとも3隻の貨物船が転覆した。砂がメコン河を塞いでしまい、川の流れが変わってしまっている」と語った。
Attapan氏によれば、雲南省からの貨物船は、(水量を増やすために)ダムの水門が開くのを待たなければならないので、運行が遅れているということである。