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メコン河開発メールニュース 2004年4月9日
南部ラオスでは、ベトナム企業が次々に水力発電ダムに投資をしています。目的は、自国への電力輸出です。その半面、隣国でダム開発をする資金力があるベトナムに、日本は多額の援助をしています。2004年3月31日付けで交換公文・借款契約が結ばれたのは以下の案件です。
(1) オモン火力発電所2号機建設計画 275億4,700万円
(2) ダイニン水力発電所建設計画(第三期) 191億4,200万円
(3) 環境管理体制構築支援借款 31億9,000万円
(4) タクモ水力発電所増設計画 59億7,200万円
(5) 国道・省道橋梁改修計画 95億3,400万円
(6) 紅河橋建設計画(第三期) 24億1,500万円
(7) 南北鉄道橋梁安全性向上計画 82億2,200万円
(8) 南部地域上水道整備計画 (ドンナイ省及びバリア・ヴンタオ省)(第二期) 33億800万円
総額で793億3000万円(限度額)となっています。しかも、上記8件のうち、(1)と(4)が火力発電所、(2)と(8)がダム建設を含んでいます。その4件で559億6900万円となり、円借款総額の70パーセントを占めています。
以下は、ラオスを流れるメコン河支流のセコン川にダムを建設するという報道です。ベトナムは最貧国だから援助が必要だと言いますが、一方で、300億円の水力発電ダムをラオスに建設する国でもあるのです。
メコン・ウォッチ(バンコク)の土井利幸の翻訳です。
Agence France Presse
2004年3月15日
月曜日(3月15日)にベトナム企業がラオスに2億7300万米ドル(約300億円)をかけて水力発電所を建設する、と述べた。この水力発電所はベトナムの電力不足を補うために同国に電力を輸出する。
ベトナム・ラオス共同株式投資開発会社企画部のTran Dieu Ha副部長によると、出力250メガワットのこの発電所は5月に建設を開始する。操業開始予定は2008年12月である。
「今はラオス政府からの海外投資許可証の発行を待っている状態だが、問題はないと理解している」、とHa副部長は語った。
30年のBOT(建設・運転・移譲)契約で実施されるこの計画では、南部アタプー県のセコン川流域にダムと発電所が建設される。
セコン川はラオス南部からカンボジアにそそぎ、メコン河の主な支流のひとつでもある。
発電される電力の90パーセントはベトナムのクアン・ナム省にある電力網と接続する33キロメートルの送電線にそってベトナムに輸出される。
またベトナム・ラオス共同株式投資開発会社には、セコン川にさらに5つの水力発電所を建設する計画がある。Ha副部長によると、これまでにラオス政府はそのうち3つの発電所の建設に合意した。
昨年(2003年)7月にベトナム政府は隣国ラオスから電力を購入する契約に署名した。政府の発表によると、ベトナムは2006年から2010年の間に毎年1000メガワット、2010年以降は毎年最大2000メガワットの電力を購入することになっている。
ベトナムの電力のほとんどは水力発電でまかなわれているが、乾季の限られた発電能力とその結果起こる電力不足のために政府はあらたな電力供給手段の考案を迫られている。
ラオスにとって水力発電は将来最も成長が有力な分野であると考えられている。
ラオスにはこれといった産業や重要な鉱山資源がほとんど見当たらない。
ラオス政府は論争の的となっているナム・トゥン2水力発電所(出力1080メガワット、建設費11億米ドル=約1200億円)建設のために不可欠な世界銀行からの政治リスク保証を待っているところである。
世界中の環境保護団体からのはげしい圧力によって、世界銀行は保証の条件として様々な環境・社会上の義務や防止策を並べている。