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メコン河開発メールニュース 2004年4月16日
タイ北部のコックインナン導水計画は、メコン河支流のコック川とイン川の水を、チャオプラヤ川の支流であるナン川に導水して、水不足といわれる中部平原に水を供給しようという計画です。
コック川やイン川では内陸の洪水が独特の淡水漁業を成り立たせており、この計画には現地で激しい反対があります。また、導水のための長大なトンネルを掘るため、その残土の扱いをめぐっても批判がなされました。
この計画に対しては、JICAが開発調査を支援し、その調査プロセスのまずさもあって大きな社会問題となりました。JICAはこのままでは実施可能ではないという異例の結論を出しました。
そのプロジェクトに再びゴーサインが出されたようだというニュースが、タイの英字新聞ネーションで報じられました。
メコン・ウォッチ(バンコク)の土井利幸の翻訳です。
タイ『ネイション』紙2004年3月25日
Pennapa Hongthong記者署名記事
タイ政府は乾季に起こる水不足解消の長期的解決策の一環として、論議をよんでいる三つの計画にゴーサインを出した。
開発予定となったのは村民や環境保護団体が十年以上にわたって反対の声をあげている、スラットタニ県のゲンクルン・ダム、チュムポン県のタセ・ダム、コック・イン・ナン導水計画の三つである。
これらの開発計画は『ネイション』が入手した水資源管理計画文書に記載されている。文書を作成したのは水資源局だ。
同局によると、水不足は常に未開発の25の流域で起こっている。
同局は乾季に頻発する水不足を解消するために、これらの流域に雨季のうちに水を供給することを提言した。
同局によると、現在37県が危機的な水不足にみまわれており、このため30万ライ(4万8000ヘクタール)の農地が被害を受けた。
同局は文書を引用しながら、抜本的な対策を取らない限り2006年までにタイでは水需要が約120億5600万立方メートル供給量を上回る危機的な状況をむかえる、と推定した。
Virat Khao-uppatham水資源局副局長によると、25の流域での水不足を解消する手段を考案したのは国家水資源委員会の小委員会である。
同副部長は、計画に反対する人々は問題の深刻さを認識すべきである、と述べた。
「計画の中には村民や環境保護団体から強い反対を受けているものもあることは承知している。しかし反対する人々もこうした計画なしでは引き続き水不足が起こることを認識する必要がある」、と語った。
副部長はまた水資源局がタイ国内の各村落に中規模程度の貯水池を掘る計画を提案したことを明かした。