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対カンボジア援助>3年で15億ドルを要請

メコン河開発メールニュース 2004年5月11日

世界銀行は4月8日、世界中で汚職に使われるお金は「毎年1兆ドル」と公表しました。

こうした状況をわかっていながら、援助国・機関は腐敗した政権が提案する以上の援助を行っています。以下、メコン・ウォッチ(プノンペン)の杉田玲奈の報告と翻訳です。


毎年多額の援助を受けているカンボジア政府ですが、次回のConsultative Group会合(援助国・機関が援助の公約を発表する会合、以下CG会合)において、3年間で15億ドルをドナーに要請すると発表しました。援助がカンボジア政府の汚職の蔓延を可能にしているという批判や援助の効果に対する疑問は常にありますが、2001年と2002年のCG会合では、政府の要請額であった各年5億ドルを超える援助をドナーは行ってきました。その中でも、日本はカンボジアの最大の援助国であり、1992年から2001年までに、援助額合計の22%である9億1318万9000ドルを二国間援助で行っています。さらに日本が主要な出資国である世界銀行やアジア開発銀行(ADB)もカンボジアに多額の援助を行っています。

しかし、カンボジア・デイリーの4月2日付けの記事は、援助資金を使った汚職防止法や司法の改革などの政府の取り組みに、実際は進展が見られていないことを伝えています。また、カンボジア政府は2015年までに貧困を半分に減少するなどのゴールを設置しましたが、記事の前の週には、フンセン首相が「貧困削減のゴールを達成することはできない。達成は我々全員が犠牲になったときのみ可能だ」という開き直った発言をしています。


カンボジア政府が15億ドルを要望予定

by Daniel Ten Kate and Kay Kimsong

カンボジア・デイリー、2004年4月2日

新政権樹立の数か月後に行われる予定のConsultative Group(援助国・機関、以下CG)会合の場で、政府は向こう3年間のために15億ドルを援助国・機関に要請する予定であるとKeat Chhon財務大臣が木曜日(3月29日)に発言した。

「カンボジアの貧困との戦いに向けて、15億ドルをCG会合で融資国と国際社会に要請するために沢山の書類を準備した」とKeat Chhon大臣は省で語った。

CG会合は国際援助機関・国がカンボジアへの公約をする場である。

1年あたり5億ドルの援助要請は例年通りである。しかし2001年と2002年に行われた会合では、援助国・機関は改革の進展の遅さについて苦情を述べた。2003年は、総選挙といまだ続いている政治的行き詰まりのため会合は行われなかった。

しかし、批判にもかかわらず、援助国・機関は政府の要請以上の援助を約束してきた。

軍の動員解除、汚職防止法の採択、司法改革などを始めとした、政府が取り組むはずの改革案の長いリストに関し、「やるべきはずの仕事に、続けて取り組んでいる」とKeat Chhon大臣は言う。

2001年、政府が5億ドルを要請した後、援助国・機関は6億1500万ドルの援助を約束した。

「我々が要請したのは5億ドルだった...ゴルフ用語にたとえると、パーでなくてイーグルを達成したということだ」とフンセン首相は当時発言した。

2002年に政府は4億8500万ドルの援助を要請したのに対し、援助国・機関は6億3500万ドルにあたる援助の約束をした。援助国・機関は、汚職防止法の採択や司法制度の改革に進展がないと政府を批判しつつも、カンボジアが「正しい方向に向かっている」と発言した。

野党のSon Chhay議員は木曜日(3月29日)、8か月に渡る政治的行き詰まりの解決により日程が決まる今年の(CG)会合は、例年と違うのではないか、と発言した。

「援助国・機関は政府が過去数年行った約束にうんざりしていると思う」と彼は言う。「もし新しい政権が明確な政治的プラットフォームと実施方法を打ち出せればよいだろう。できないならば、あきらめたほうがいい」

Son Chhay議員が、最近、カンボジア最大の援助国である日本を訪問したところ、日本の議員はカンボジア政府の改革への取り組みに失望していることを彼に伝えたという。

日本大使館は、木曜日(3月29日)、カンボジア政府の提案を評価するまで、CG会合についてのコメントを拒否した。

「CG会合で設定した水準(ベンチマーク)に関する進捗報告の結果はかなり無残なものだ」、西欧のある国の大使は匿名でそう述べた。「ベンチマークをひとつも達成できていないのは明白だ」

2002年のカンボジア政府との話し合いで、援助国・機関は、前年の東京でのCG会合から、軍の動員解除と土地法を除いて進展がないことに失望していることをフンセン首相に伝えた。

会合以降、世界銀行は、除隊兵士にバイクを供給する政府との契約において調達に問題があったことを公開し、数百万ドルのプロジェクトへの資金を凍結した。

世界銀行プノンペン事務所のNisha Agrawal所長は、世界銀行は援助をベンチマークと関連させているが、他の援助国・機関がそれを行っているかは明確ではないと述べた。

「ベンチマークは進展を計る方法のひとつだ」と彼女は述べた。「このベンチマークはまた2年前に設定したものだ」

Agrawal所長は援助国・機関が過去数年間のカンボジア政府の取り組みについて批判することを予測しながらも、世界銀行が共同議長を務めるCG会合の計画は「さらに前向きだ」とした。

「新しい政権が担当するし、我々も新しい議論に焦点を当てたいと思っている」と彼女は言う。

2002年、援助国・機関は汚職防止法の採択、司法制度の改革、教育と保健への予算の増加を政府に求めた。

2年経ち、汚職防止法は採択されず、司法制度は汚職が蔓延したまま、教育と保健省の支出は配分された予算を大幅に下回る一方で、内務省と財務省は予算超過を続けている。

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