ホーム > 資料・出版物 > メールニュース> タイ・メーモ石炭火発>EGATを訴えるメーモ住民訴訟
タイのメーモ石炭火力発電所は、世界銀行、アジア開発銀行(ADB)、それに旧OECF(現在の国際協力銀行=JBIC)が長年にわたって多額の融資を続けた援助事業です。この事業によって深刻な健康被害を受けたとして住民たちが訴訟を起こしています。
以下、最近のタイ字新聞の報道を、メコン・ウォッチの木口由香が翻訳したものです。
タイのメーモ石炭火力発電所の影響住民が、健康被害を訴える裁判を起こしています。
タイでは97年の新憲法の下、新しい独立機関ができましたが、行政裁判所もその一つです。住民は、長年の石炭火力発電所の運転と石炭(褐炭)の露天掘りにより、深刻な健康被害を受けていると主張しています。数年前に民事訴訟を起こしたのですが、タイ発電公社が政府機関であることで、訴訟は行政裁判所に移送されました。しかし、損害賠償額の2.5%にあたる裁判費用の支払いを行えなかったために、訴状が受理されていませんでした。この2月に、憲法裁判所が住民の訴訟費用免除を認め、裁判が始まることになります。
マネージャー紙2005年2月17日
チェンマイ:行政裁判所はタイ発電公社(EGAT)を訴えている住民に対して訴訟費用の免除を認めた。また、関係書類と証拠を30日以内に提出するよう求めた。メーモ健康被害者の会ネットワーク書記は、70万バーツを餌にグループを分裂させ訴訟を取り下げるようとする動きがあったが、支払いは行われなかったと暴露した。
去る2月16日、チェンマイ行政裁判所でソムチャーイ・ガームウォンチョン行政裁判所副所長は、メーモ発電所の運転によって影響を受けたとする住民グループで、EGATを訴えているオーン・ウーガン氏を含む128名の原告の訴訟番号187/2546に対する憲法裁判所の判決を読み上げた。
原告は、行政機関による権限の不行使を理由として不法行為訴訟を起こしているとし、EGATに求めている損害賠償10億バーツ以上の額の2.5%にあたる訴訟費用の免除を行政裁判所に求めていた。
ソムチャイ氏は、行政最高裁判所の大法廷の規定に従い、2005年1/1項で定められた行政裁判の方法の検討(第3部)の訴訟費用の免除により、訴訟を起こした国民が訴訟費用を支払うだけの資産を有していないことが証明できれば、国民は訴訟費用の免除を受け行政裁判所において政府機関を訴えることができる、とい
う憲法裁判所の決定を読み上げた。
また、EGATを訴えているメーモ住民の訴訟について、128人の原告団は30日以内に訴訟費用の免除に関する証拠書類を提出することができる、とした。弁護士協会環境委員会のタヌー・エカチョーク弁護士は、裁判所の決定により、作業部会は再度今後の進め方について話し合うと述べた。これは、128名個々の訴えを提出するか、一つにまとめるか、グループとして免除を求めるかといったことで、来週中には決定するという。
いずれにしても、タヌー氏個人は個別に提出した方が早く処理できるだろうと考えており、現在、住民に通知してどのような書類が申請に必要か知らせ、(弁護士協会の)作業部を現地に派遣して書類をまとめる作業を行わなくてはならいと述べた。
また、メーモ発電所影響住民グループのリーダーである、ランパン県メーモ郡メーモ健康被害者の会マリワン・ナーカウィロート書記は、この判決が出た後で、30日以内に住民の書類をそろえると話した。住民は実際貧困であり、「貧困者のための訴訟費用免除」で訴訟を起こすという。
そのほかにもマリワン氏は、EGATを訴える住民に干渉して、訴状を提出している住民に70万バーツの補償で訴訟を取り下げないかと働きかけているグループがある、と明らかにした。10名以上が訴訟を取り下げるとしていたが、この交渉によって決まった額は未だに支払われてはいない。このような動きは一緒に活動してきた住民グループを分裂させるための努力であると理解している、という。また、メーモ郡から住民を移転させる件については、進捗があった。閣議がEGATに新しい場所に1000ライ以上の土地を用意することを命じた。同書記によると、副首相(チャワリット・ヨンチャイユット大将)を委員長とする問題解決委員会が2004年6月19日に承認しているとのことである。
閣議では、メーモ郡フアイファーイ村1地区、フアイペット村1地区、フアイキン6地区の500世帯以上が問題解決小委員会の承認で移転することを確認している。(マリワン氏は)「現在この件について、作業部会が承認した新しい場所の家や区画整理に全く進捗がないのは、県が交渉の会議を全く開かないためだ。問題解決が遅れているので、住民側は新しい内閣が成立した段階で首相府前で訴える準備をしている。今後は一切県を通して訴えない。なぜなら、全く関心を払ってもらえないからだ」、と述べた。