ホーム > 資料・出版物 > メールニュース> 川イルカが急速に減少とWWFが警告
メコン河開発メールニュース2005年5月7日
世界の河川には様々な川イルカが生息しています。メコン河ではイラワジ・イルカが有名ですが、国際的な環境保全団体であるWWFは、ダム開発や汚水によって、絶滅に追いやられる恐れがあると警告しています。
以下、タイの英字新聞の記事です。
バンコクポスト
2005年3月23日
メコン河流域のイラワジ・イルカは、汚水やダムや魚網によって、アジアの他の川イルカ同様に深刻な生息数の減少に見舞われていると地球規模で保全活動を行っている世界自然保護基金(WWF)は述べた。
WWFは、川イルカは河川の「健全さ」や河岸沿いに住んでいる人々がきれいな水を得られるかどうかの重要な指標の1つであり、それだけに生息数の減少は懸念されると言う。
この環境団体は、川イルカの移動を阻むダムの利用だけでなく、工業・農業・生活汚水を水生の哺乳動物が直面する主要な脅威として挙げている。
漁民による偶発的な捕獲もまた、その数を減らす一因になっている。
「川イルカは水の番人です」、WWFの「地球の淡水プログラム」の責任者であるJamie Pittock氏はそう述べた。
「川イルカの体内に蓄積した有毒な汚染物質が高いレベルを示していれば、それは水質の悪化への明らかな警告なのです。それは、イルカだけでなくこれらの川に頼って生活している人間にとっても問題です」
最も新しい証拠が示しているのは、揚子江の川イルカは特に脅威にさらされており、中国最大のこの川にわずか13頭を残すだけとなってしまったことである。
WWFインドが行った別の調査によれば、ガンジス川とブラマプトラ川の総延長6000キロに及ぶ流れの中で、ガンジス川イルカの生息数は2000頭以下になっていることが明らかになった。パキスタンでは5つのグループに散らばってわずかに1100頭の川イルカしか残っていない。
一方、イラワジ川イルカはアジア太平洋の川で生き残っているのは2000頭以下である。
生息数が非常に少ないことや、そのような重大な危機的状況から、イルカ研究者のIsabel Beasley氏は、「効果的な保全策が今後3〜5年のうちに行われなければ、イラワジ・イルカは15年以内にメコン河から消えてしまうだろう」と信じている。
「イラワジ・イルカはかつてはカンボジア、南部ラオス、それにベトナムのメコン河本流や支流に広く生息していたが、今ではラオスとカンボジアの国境から、 カンボジアの小都市のクラチエまでの190km程度に生息地が限られていると考えられる」、メコン河流域のイラワジ・イルカの研究と保全を行っているRob Share氏は言う。
「今残っているのはわずかに80〜100頭だけだ」、彼はそう語った。