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パクムンダム>開かぬ水門に住民が抗議

1990年代に世界銀行が融資したタイのパクムンダムは、水門の通年開放を求める 粘り強い住民運動の結果、魚の回遊を助けるため年間4ヶ月の開放が行われてき ました。ところが今年はまだ開放が実施されていません。 以下、メコン・ウォッチの木口由香の報告とタイ字新聞からの翻訳記事です。


世界銀行融資のパクムンダム。完成から11年経っても公的機関と地域住民の間に 対立を生み、地域に貧困をもたらして続けています。 ダムのあるウボンラチャタニ県は、今年の旱魃の影響でダムの水門を開かないよ う政府に要請したといいます。実際は、ウボンラチャタニ県でムン川を水源とす る場所では水不足は起きていません。ダムの試験開放を通年で行った年も水供給 に全く問題はありませんでした。パクムンダムは多目的ダムですが、その灌漑網 は予定のほんの一部しか建設されておらず、ダムの水を農業に使っている地域住 民はほとんどいません。また記事にある県の委員会は、ダムに賛成する住民の参 加すらなく官吏だけでメンバーが構成されています。タイでは県知事選挙もなく、 中央政府から任命された内務省の官僚が知事を務めます。村長・区長も選挙がな いところが多く、必ずしも地域の民意を反映して行動するわけではありません。 5月に入り雨季が本格的に始まり、ここ数日スコールが毎日降っています。回遊 魚はダムを越えられずその直下に集まっている、と関係者は話しています。ムン 川への魚のそ上は2つの波があります。雨季の始まる前、3−4月に小型の魚が、 続いて本格的な雨季が始まる5−6月に大型の肉食魚を中心とした魚が上流を目 指すのです。

「パクムン(住民)」、EGATがダム水門を開かないと首相に直訴

2005年5月4日 カオソット紙

パクムンダムの影響住民は首相府で、2004年6月8日の閣議決定に従い、5月1日か ら8月31日までの水門開放をタイ発電公社(EGAT)に命じて欲しいと首相に訴え た。一方のEGATは、旱魃のために水門開放を遅らせるよう県知事から書簡が届い たと主張している。いつ開放するかは後日書簡で住民に連絡し、時期が遅れても 閣議決定どおり4ヶ月間の水門開放を実施するとしている。

5月3日、ラムドゥアン・セラトンさんとソムシィ・ワンポンさんら、ウボンラチャ タニ県コンジアム郡の「ムン川生態系とコミュニティ回復」住民委員会代表が首 相府を訪れ、EGATが閣議決定に背いてパクムンダムの水門開放を行っていない、 と記したタクシン首相宛の書簡を政府に渡した。

この書簡によると、メコン河の魚がムン川に遡上(そじょう)して産卵する時期 にあわせ、EGATがパクムンダムの水門開放を5月1日から8月31日までに変更する という内閣の決定が2004年6月8日にあった。

「この閣議決定の後、昨年パクムンダムの水門は2004年6月21日から開放された。 ムン川に遡上する魚を増やす助けとはなったが、それでも多くの魚はムン川で産 卵できなかった。しかし、私たちも閣議決定があってからEGATがそれに従い、ダ ム水門開放の5月実施が6月5日(記事原文どおり)までずれこんだことを理解し ている。」

「しかし、今年の5月1日になっても、EEGATは閣議決定に従わず水門を開かなかっ た。また、村長・区長グループから書簡で、川の水位を上げるよう要請があった とまで主張し、閣議決定を軽んじているかのごとく反抗している。」

「ムン川下流域の地形は40ヶ所以上の自然の早瀬を有し、また深い淵が瀬と交互 にあって水をためており、地域は今まで水不足に悩まされたことはない。特に、 今年の4月は降雨が連続しているため、今は旱魃の問題はなくパクムンダムの水 を使う必要はない。」

「重要なのは、今現在、自然のサイクル通り多くの種類の魚がムン川での産卵に 向かっているのを私たちが確認していることである。しかし、魚がムン川で産卵 するために魚道を上がってくることはできないかもしれない。多くの魚への影響 を回避し、ムン川流域の漁民の収入を向上させるため、また、この国を治める内 閣の権威を守るために、EGATに対し、閣議決定に従いパクムンダムの水門開放を 行うよう命じることを首相に検討していただきたい。」

パイブーン・テープモンコンEGAT副総裁は、EGATがウボンラチャタニ県の必要に 応じて運転をしているという。「県知事から書簡でEGATとエネルギー省に5月1日 の水門開放を延期するように要請があった。地域に起こっている旱魃を緩和する ためで、水門開放が必要となったら県から再び連絡があることになっている。」

「ダム水門の開閉を勝手に実施する権限はEGATにはなく、現地の住民の要望に沿 わなくてはならない。県は県知事を長としてこの件を検討する委員会を設置して いる。今までこの委員会は協議を重ねている。はっきりとした結果がでた段階で EGATとエネルギー省に連絡してくる」 パイブーン副総裁は「EGATが5月1日に水門を開かなくとも、5月1日から6月30日 までの間に開けば、閣議決定に従っていることになる。そのため、5月1日に即水 門を開放する必要はないのだ。それぞれの時期でふさわしいときを選び水門を4 ヶ月間開放する。そしてその後8ヶ月水門を閉じる。」と語った。

エネルギー省からの報告によると、これより前にナークン・シティポン副事務次 官がパクムンダムの水門開放についてEGATと協議を行っている。地域住民が、旱 魃のためパクムンダムを閉め続けて欲しいとウボンラチャタニ県に対して5月1日 の開放延期を求めてきたため、会議ではEGATにその要求にしたがって行動するよ うに要請したという。また、6月30日までに水門を開けば閣議決定に違反しない という判断を示した。また、5月16日に再度この件を検討する会議を開くという。

「いずれにしても、パクムンダム開放が6月30日までに延期されてもEGATは閣議 が定めた開放期間を守る。しかし、ムン川河口の水の状態を慎重に見守らなくて はならない。開放はウボンラチャタニに住む国民の要求に沿っている必要がある。 現在この地域は深刻な水不足で飲料水や農業用水に事欠いている。仮にパクムン ダムの水門を開けば、旱魃は更に深刻な事態になる。ダム上流の水は流れない。 ダムが放水すればメコン河の水は残り少ないので水は別の場所に流れ、地域に供 給する水がなくなる。

ウボンラチャタニ県のパクムンダムにいる情報源によると、閣議決定に従って水 門を開かない理由は、政府が県に権限を移譲したからだという。「いつ水門を開 くかの決定は、毎年関係機関の官吏が協議する。今年は全国的に旱魃で、県は旱 魃被害にあっている農民を助けるためエネルギー省にパクムンダムの水門開放の 延期を求めた」。

「パクムンダムはすぐに水門を開放できる状態にある。5月のいつ水門を開いて も、閣議決定に従いそこから数えて4ヶ月間開放する。また、雨が降る前に水門 を開いても何もメリットはない。なぜなら、メコン河の魚は、雨が降り始めてか ら回遊を開始するからだ。今水門を開けても魚は回遊・産卵しない。パクムンダ ムは政府の指示がありしだい直ちに水門を開けることが可能な状態にある」。

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