ラオスでは、貧困削減につながる外貨獲得手段として、水力発電ダムと並んで、鉱山開発が進められています。鉱山開発は、日本を含め、世界各地で地元住民や環境に深刻な被害をもたらしてきました。その経験が活かされないまま、同じような問題が繰り返されています。 以下は、ラオスの首都ビエンチャン近郊のサイソンブン特別区の金鉱山で起きた鉱害事件について、オーストラリアの主要紙The Ageが報じたニュースです。補償額の少なさ、情報開示の不十分さなどを考えますと、この鉱害事件が氷山の一角に過ぎないとの懸念を強く与えています。 なお、ラオスの鉱山開発については、以下のニュースも合わせて参照下さい。
ラオス金銅鉱山開発>欧米豪NGOがEIB融資に抗議(2004.3.8)
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20040308_01.html
ラオス金鉱開発>ニューヨークタイムズ記事(2002.5.2)
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20020502_01.html
The Age(オーストラリア)、2005年8月9日
ビエンチャンの国営ラジオ放送が9日伝えたところによると、オーストラリア人が所有しているラオスの金鉱がボー川を汚染し、魚が死んだり数百人の村人が病気になったりしたため、補償に合意したということだ。
バンコクで受信したラジオ放送によれば、タイとラオスの国境となっているメコン河の支流であるボー川沿いの、ナム・ヨン村、ナム・モー村、ナム・メ村に住む340人への補償として、オーストラリア人が所有するPhu
Bia金鉱山会社は3トンの米と5400万キップ(約7077豪ドル、約59万円)を供与した。
化学物質によって死んだ魚を食べたことで村人たちが死亡したかどうかはこのラジオ放送からは不明である。
Phu Bia金鉱山会社のプラントは、共産党率いるラオスの首都ビエンチャンの郊外のサイソンブン特別区に位置している。
汚染物質の漏出は2005年6月に起きたが、鉱山会社が補償を発表したのはきょう(8月9日)になってからである。
ビエンチャンの外交官によれば、数週間前に漏出について聞いていたということである。 ラオス政府は、貧困国であるラオスを2020年までに後発発展途上国(LDC)から脱するための鍵となるセクターの1つとして鉱山開発を掲げている。
それ以外の3つのセクターは、水力発電、エコツーリズム、それにアグリビジネスである。
環境保護者たちは、ラオスの数多くの鉱山や水力発電プロジェクトは、環境や村人の生活に及ぼす影響をモニタリングする方法や制度に欠けているという点から懸念を表明している。
ラオスは世界に最後に残された共産党国家の1つであり、内陸の閉ざされた国においてNGOや外国の報道機関事務所の設置を禁じてきた。