ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > ラオス > 「貧困削減」のためのダム・鉱山ラッシュ
ラオスのナムトゥン2ダムへの世界銀行支援が決まって5か月余り。ラオスでは ダムと鉱山の開発計画が次々と打ち立てられています。そこで持ち出されるのは 「貧困削減」です。ダム建設や鉱山開発がこれまでいかに新たな貧困・人権侵害 ・環境破壊を作り出してきたかを忘れたかのように・・・。
このまま「貧困削減」のための資金を増やせば、新たなダム建設や鉱山開発がど んどん進められ、自然・社会環境面での問題がますます増えることは必至です。
以下、ラオス政府が発行する英字新聞の記事を、メコン・ウォッチの土井利幸が 翻訳しました。
ソムサック・ポンカオ記者
ラオス『ビエンチャン・タイムズ』2005年9月9日(原文英語)
昨日(9月8日)、ラオス政府関係者が海外投資ワークショップの席で語ったとこ ろによると、今後五年間で七つほどの水力発電所計画と五つにもおよぶ鉱山開発 計画が実行に移される。多くは検討中の段階で、建設中のものもある。完成した あかつきには、経済を活性化し、国民の生活水準を向上させるだけの多額の収入 をもたらすと期待されている。
ラオス政府関係者は、ラオスでの投資機会を宣伝する目的で、世界銀行、アジア 開発銀行(ADB)、在ビエンチャン各国大使館の代表らと会合した。開発投資委 員会の副代表であるリエン・ティケオ(Lien Thikeo)博士は、この五年で水力 発電と鉱業開発に対する投資人気が高まったと述べた。国内・海外投資家ともに 両部門での投資に関心を寄せている。
ワークショップの席では、参加者に対ラオス投資の実効性を認識してもらうため に、総額10億米ドルのナムトゥン2水力発電計画の包括的な実施についての映 画が上映された。建設中のナムトゥン2計画は、2009年の完成後、毎年約200万 米ドルの収入をもたらすと期待されている。
政府はラオスを「アジアのバッテリー」とするべく多大の努力を傾注してきた。 2010年には最大2000メガワットを発電する。「現在はたった600メガワットしか 発電できない。ベトナムや中国への売電も検討してきた。ベトナムは2010年から 2020年の間に2000メガワットの電力を購入すると約束してくれた。中国も購入に 興味を示している」とリエン博士は語った。さらに博士は、これでラオスの一人 当たりの所得も向上する。現在は330米ドルだが、2010年には830米ドルを超え、 2020年までには1000米ドルを上回ることが期待できる。ラオスは最貧困国の地位 から脱却するわけで、これは政府の目標とも合致する。
次期の五カ年計画では、ナムトゥン2以外にも七つの水力発電所計画が実施され、 ナムグム5やセカマンダム計画がある。ナムトゥン2計画が承認されたことで、 海外投資家の信頼がおおいに深まった。
鉱業部門にも投資家の関心が集まっている。「ラオスには年間5億米ドルの投資 があるが、うち三分の二は鉱業開発に対する投資である」とリエン博士は述べた。 ここ数年、ラオスは鉱業開発に焦点を当ててきた。これまで実施されたものには、 南部のプービア(Phoubia)ボーキサイト採掘事業、北部の銅山、カンムアン県 のスズ採掘事業、シェンクアン県の鉄鉱石採掘事業がある。
「この数年来、政府が対ラオス投資を促進し、明確な基準を定めた結果、海外か らの投資傾向が強くなった」とリエン博士は語った。「電力・鉱業部門への投資 の必要性をうったえてきた。」博士はまた、ダムへの投資に次いで多いのは農業 と森林プランテーション、とりわけゴム栽培への海外からの投資だ、と付け加え た。セポン金鉱山はラオス初の鉱山事業で、鉱業部門の投資機会を改善する上で 良き先例となっている。
原文は下記のサイトで閲覧可能。