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メコン河開発メールニュース 2005年9月20日
東北タイに世界銀行の融資で建設されたパクムンダムの影響住民が、9月19日か らバンコクとダム周辺で抗議行動を行っています。
今回のデモの背景と、住民組織のネットワークであるサマッチャーコンヂョン (貧民会議)が発表したプレスリリースについて、メコン・ウォッチの木口由香 の報告です。
この抗議行動は、9月19日に、ダム問題の解決のために設置された政府特別委員 会「ムン川流域コミュニティの天然資源・生計発展委員会(チャイアナン・サムッ トパワニット氏、EGAT理事が座長)」が各方面の代表を集めて話し合いを行うの にあわせた行動です。
ダム影響住民は、この会合に向けた話し合いの中で、「ダムの水門が開いていれ ば、自分たちで食べていけるが、閉まっていると漁や川の資源利用ができない。 ダムを使用するのであれば、その間の生活補償をすべき」と要求をまとめました。
しかし、今までの運動の苦い経験から、静かに会議の結果を待っていても自分た ちの意見は通らない、という意見が大半を占めました。そのため、バンコクに代 表を送るのと同時に、ダム周辺で抗議行動を行うことになりました。以下は、今 回の行動にあわせて発行されたプレスリリースです。
首相府前 2005年9月19日
パクムンダム、シリントンダム、ラムタコン揚水発電所などにみられるように、 タイ発電公社(EGAT)が法的な権力を行使して行ったプロジェクトは、地域住民 の天然資源を奪い利益を得ることでEGATの富を築いてきました。しかし、影響を 受けた住民は変節の激しい政府の問題解決を待ちながら、困窮に耐えています。
重要な点は、政府が現在、パクムンダムに対する貧民会議の異議を無視してEGAT を株式市場で売り出そうとしていることです。我々は、市場での販売を前に、こ のプロジェクトによって辛酸をなめている住民の問題を解決するよう政府に訴え ています。
もし政府が住民の問題を解決する以前に強行にEGATを民営化してしまえば、この 争いが結果として証券市場での投資に影響する可能性もあることを、貧民会議パ クムンダム影響住民は再度警告します。
私たちは、EGATの株式を購入しようとしている多くの投資家の皆さんにも、政府 がEGATのプロジェクトの影響住民の問題を解決したか、きちんと検証することを 警告します。政府が問題を未解決にしたままであれば、皆さんがEGATへの出資者 として私たちの問題解決に責任を持たなくてはならないからです。また、皆さん が政府と同様に公正を求める私たちの抗議運動の影響をうける可能性もあるので す。
パクムンダムのケースでは、8,139世帯がEGATのダム建設後即、職業を失いまし た。また、タイ開発研究所など研究機関の調査では、パクムンダンは予定の1/ 3しか発電しておらず、投資に値しないプロジェクトだという結果も出ています。
それだけではなく、このダムの投資額は39.9億バーツから90億バーツに跳ね上がっ ていることが分かっています。これはまだ、8,139世帯の損害とムン川の生態系 への悪影響を含んでいない額です。
しかし、住民が政府の委託したウボンラチャタニ大学の調査結果に従いダム水門 の通年開放を要求すると、EGATはそれが年間3億バーツの損失になると主張しま す。
このようなEGATの主張があるため、私たちは住民がムン川の資源を利用できない ことでこうむる損害が世帯当たりいくらか調べ、それが1日世帯当たり500バーツ にも上ることを突き止めました。
EGATが利益の確保のために通年で水門を開けないのであれば、全ての側に公平で あるために、発電する日は8,139世帯に対し世帯当たり1日500バーツの補償を支 払う必要があります。重要なのは、政府がEGATを売りだす前にこれが実行される ことです。
最後に、貧民会議パクムンダム影響住民は、パクムンダムが誰の責任下におかれ ようとも、公平な扱いを受けるまで問題を追い続けると宣言します。
国民の力を信じて
貧民会議・パクムンダム影響住民