メニューを飛ばして本文へ移動。

    English site

[メコン・ウォッチ]

ホーム | お問い合わせ | メールニュース登録 | ご支援のお願い


イベント | メコン河とは? | 活動紹介 | 追跡事業一覧 | 資料・出版物 | ギャラリー | メコン・ウォッチについて

ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > カンボジア違法伐採 > 日本のNGO12団体・個人54人が要請

カンボジア違法伐採>日本のNGO12団体・個人54人が要請

メコン河開発メールニュース 2005年9月22日

カンボジアで長年違法伐採をモニタリングし、カンボジア政府や援助国・機関に 問題解決を働きかけてきたイギリスのNGO、グローバル・ウィットネスが、理由もなく調査報告書を空港で没収されたり、職員の入国を禁じられたりしています

これに対して、違法伐採問題やカンボジアの人権・環境問題に取り組んでいるメ コン・ウォッチ、国際環境NGO FoE Japan、フェアウッドキャンペーンの3団体は、 カンボジアの最大ドナー国である日本政府に対して、外交ルートを通じてカンボ ジア政府に透明性の確保と事態の改善を求めるよう要請する書簡を、9月21日、 外務省南東アジア第1課水越英明課長に直接提出しました。この要請書には、呼 びかけ3団体のほかに、9つのNGO、及び54人の個人の賛同を頂きました。

要請書提出の場には、水越課長をはじめ、同課でカンボジアを担当されている福 永事務官、阿部事務官、それに同省地球環境課の岩崎事務官も同席されました。 その中で、水越課長は、「個別の入国ビザの問題については、入国を拒否された 方の国籍国政府が対応するのが普通だと思う。一方で、日本政府は違法伐採問題 について懸念を持っているので、その点については何らかの対応を求めることも ありうる」と述べました。

違法伐採問題につきましては、自然資源と共存するカンボジア農村部の生活を破 壊するものであり、人権侵害にもつながっているというNGOからの批判と同時に、 世界銀行等のドナー国は、適切な木材貿易が妨げられることで貴重な外貨収入が 得られないことを問題視してきました。カンボジアにとって友好国である日本が、 今回のグローバル・ウィットネス排除に対して、違法伐採を問題視する立場から 厳しい姿勢で臨むことは、カンボジア政府にこの問題の真剣さを伝えるとともに、 カンボジアにおける表現の自由や開かれた市民社会を守るためにも不可欠だと考 えています。

以下、外務省に提出した要請文です。

カンボジア政府による海外市民団体職員の入国・活動禁止処分への対応を求める 要請書

2005年9月21日

外務大臣 町村信孝 殿

1980年代後半から深刻化しているカンボジアにおける森林伐採の問題は、農村部 に住む多くの貧困層の生活へ打撃を与えており、政治家・軍による関与や汚職の 問題が国際的にも認識されています。そのため、1999年に東京で行われたカンボ ジア支援国(CG)会合以降、日本政府を含める援助国とカンボジア政府との間で、 森林セクターの改革が取り組むべき主要課題のひとつとして合意されています。 また、世界銀行、IMFなどの国際機関も違法伐採の取り締まりを融資の条件にす るなど、カンボジア政府による対策強化を求めてきました。カンボジア政府も 2004年に発表したRectangular Strategyにおいて、汚職の追放を開発戦略の優先 課題とし、市民社会やドナーなど全ての利害関係者を含む開発におけるパートナー シップを掲げています(注1)。

しかし、このように市民社会の関与の重要性がうたわれながら、カンボジアでは 違法伐採の問題に取り組む市民団体職員への脅迫や理不尽な処分が続いています。 2005年2月20日、カンボジアの森林セクター改革に長年貢献している国際NGO、グ ローバルウィットネス(注2)の出版物、Taking a Cut - Institutionalized Corruption and Illegal Logging in Cambodia's Aural Wildlife Sanctuary 2000部が一切の説明なくカンボジア政府によりプノンペン国際空港で没収され、 カンボジア国内での出版・配布が禁止になりました。また、2005年7月18日には、 再入国しようとした同NGOの職員1名が、十分な説明なくカンボジア政府により ビザを取り消され、カンボジアへの入国を拒否されました。その後、さらに4人 が同じく入国禁止処分を受けています。また、現地からの情報によればカンボジ ア国内に残る同NGOのカンボジア人職員も脅迫を受け続けています。

グローバル・ウィットネスは、過去11年間、カンボジアにおいて違法伐採と汚職の 問題を指摘する活動を行っています。同NGOは、1999年以降、商業レベルでの違 法伐採は縮小しているものの、生産森林や保護区での中規模な違法伐採は全土で 継続しており、森林局・政治家・軍・警察が関与していることを指摘しています (注3)。違法伐採が未だに存在する問題は、ドナーの自然資源管理ワーキング グループ(WGNRM)によっても指摘されており(注4) 、適切な森林資源管理が 緊急な課題であるということは、2004年のCG会合においても確認されています。 違法伐採問題は、国際的にも取り組むべき緊急課題としてG8グレーンイーグルス サミットにおいて行動計画に盛り込まれたところです。同NGOはこの問題を、極 めて詳細な現地情報および分析結果をもとに訴え続けており、今回没収された報 告書にもその内容が含まれていました。

いわば、森林セクター改革という、カンボジア政府と援助国・機関が主要課題と して合意した問題そのものであるにも関わらず、違法伐採の詳細を明らかにする 市民団体が排除されるという、極めて理不尽な処分が下されています。カンボジ ア政府は2004年の第7回CG会合において、グローバル・ウィットネスの活動を「歓 迎する」 と明言しているにも関わらず(注5)、今回の処分に関する十分な説 明は行っていません。

すなわち、グローバル・ウィットネスが今回のような処分を受ける理由はまったく 見当たりません。なにより、民主主義が確保されるためには、政府の説明責任、 情報公開、言論の自由、そして海外市民団体も含めた市民社会における自由な活 動が保障される必要があります。カンボジア政府自身も、とりわけ森林セクター の改革と汚職の追放のためにこうした原則の重要性を公言してきています。よっ て、これらが現実において実施されるためにも、私たちは日本国内外で活動する 市民団体として、日本政府(注6)へ次のことを要請します。

  1. 今回のグローバル・ウィットネスの排除に関するカンボジア政府の説明責任を 求めること
  2. カンボジア政府に対して人権の尊重および言論の自由を確保するよう求める こと
  3. グローバル・ウィットネス職員への入国禁止をはじめとする処分、および上記 報告書出版禁止措置の解除をカンボジア政府へ求めること
  4. 森林セクター改革と汚職の追放へのカンボジア政府のコミットメントを確認 すること

この問題に関しては、既にEUが外交ルートを使ってカンボジア政府へ問題提起し ており、世界銀行も対話の機会を設けていると聞いています。是非、この要請書 にご配慮いただき、日本政府としてしかるべき対応をとっていただきたく、お願 い申し上げます。

(注1)Royal Government of Cambodia, Implementing the Rectangular Strategy and Development Assistance Needs, November 2004.

(注2)自然資源の開発と人権侵害のつながりを明らかにすることを目的とした 調査研究型の国際NGO。英国ロンドンに本部を置く。2003年にはノーベル平和賞 の候補団体として推薦されている。

(注3)NGO Statement to the 2004 Consultative Group Meeting on Cambodia, P50-51.

(注4)"Key Reform Issues in Forestry and Fishery Sectors on behalf of Donors' Working Group on Natural Resource Management (WGNRM)", CAMBODIA CONSULTATIVE GROUP (CG) Meeting, June 19, 2002.

(注5)Royal Government of Cambodia, Implementing the Rectangular Strategy and Development Assistance Needs, November 2004, p33.

(注6)日本政府は、2004年2月の「カンボジア国別援助計画」の中で、グッド ガバナンスの強化および森林犯罪の監視モニタリングプロジェクトを援助の重点 分野として積極的に支援すると明記し、「今後の同国の経済社会開発に於いても、 我が国の貢献は他のドナー国・機関に比し、相当に重要な役割を担っており、こ の認識の下、より効果的・効率的な支援を実施していく必要がある」、としてい ます。また、2005年6月30日の会合では、在カンボジア日本大使館の高橋大使も、 森林セクター改革が適切に行われるよう、フンセン首相へ要請されています。

特定非営利活動法人メコン・ウォッチ
代表理事 松本悟
住所:東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F

特定非営利活動法人国際環境NGO FoE Japan
代表理事 岡崎時春
住所:東京都豊島区目白3-17-24-2F

フェアウッド・キャンペーン
満田夏花/坂本有希
住所:東京都港区虎ノ門1-18-1第10森ビル4F

【賛同団体・個人】

<9団体>

<54個人>(省略)

関連ウェブサイト

このページの先頭へ

サイトマップ
特定非営利活動法人 メコン・ウォッチ
〒110-0016 東京都台東区台東1-12-11 青木ビル3F(地図
電話:03-3832-5034 Fax:03-3832-5039 
info@mekongwatch.org
© Mekong Watch. All rights reserved.