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メコン河開発メールニュース 2006年3月18日
10年以上にわたって論議を呼んだナムトゥン2ダムへの支援を世界銀行が決めてまもなく1年になります。
ラオスのガバナンスの弱さ、自然・社会環境への深刻な影響などが焦点となり、世界銀行が、「手取り足取り」支援すると理事会を説得して、支援にこぎつけたばかり。ラオス政府がダムによる悪影響をいかに回避・最小化し、一方でタイへの売電収入をどうやって「貧困削減」にまわすのか、いわば仮免許中。にもかかわらず、堰を切ったように次々と巨大ダムプロジェクトが進められています。
ポスト・ナムトゥン2ダムとして、ラオスの6つのダムと1つの褐炭火力発電所からの電力をタイ側が購入するという電力購買契約が、両国間で結ばれるようです。このうち、ナムニアップダムは、日本工営が中心的な役割を担っていますし、ナムグム3ダムへは丸紅が出資しています。
以下のバンコクポストの記事では、2月中にも電力購買契約が締結されると報じていますが、3月半ばを過ぎた現在でも、締結したという報道は流れていません。
メコン・ウォッチの東智美による翻訳ニュースです。
バンコク・ポスト紙、2006年1月30日
Yuthana Praiwan記者
タイ当局は、来月(2006年2月)、ラオスのカウンターパートと会合を持ち、新たにラオスの6つの水力発電ダムと1つの褐炭火力発電所から電力を購買する契約を結ぶ。タイのエネルギー省のPornchai Rujiprapa副事務次官によれば、合わせて約4,000MWの発電能力を持つ7ヵ所の発電所から電気を輸入することは、これまでも長い間、政策レベルの覚書(MOU)では約束されてきたが、具体化されてはいなかった。
ラオス当局は、タイの行政官に対し、7つの発電所で発電される3,849MWの電力をいつでもタイの送電線に送れる準備はできていると語った。
これらの発電所とは、ナムグム2(615MW)、ナムグム3(460MW)、ナムニアップ(260MW)、ナムトゥン1(474MW)、ナムトゥン・ヒンブン(250MW)、セピエン・セナムノイ(390MW)、そしてホンサ褐炭火力発電所である。
この7つのプロジェクトのうち、ナムグム2が最も進んでいる。事業者である東南アジア・エネルギー社は、タイ発電公社(EGAT)と25年間の電力購買合意を結んでいるが、エネルギー省が事業者に投資するかどうかは不明なままであるので、(このダムからの電力は)国家電力開発計画の発電量には含まれていない。この事業のタイ側のパートナーはCh. Karnchang社とラチャブリ発電会社である。
一方、エネルギー省はEGATがナムトゥン2ダムからの950MWの電力の購買合意にサインしたことを承認している。
Pronchai氏によれば、過去数年に開かれた会合は、政策決定者のみが参加するものであったが、最近、バンコクで初めて実務者レベルの会合が開かれたという。
この会合の参加者は、ラオスから電力を引くための送電線のネットワークの開発とそれを適切に配置するタイミングや段取りといった技術面について、合同の作業部会を立ち上げることに同意した。
また、タイの電力需要の見積もりを修正する際には、ラオスから輸入する電力量が考慮されるため、売電のタイミングが重要になる。
タイ当局とラオス当局の間ですでに調印済みの政策レベルの覚書(MOU)では、ラオスの7つのプロジェクトからの電気がタイに売られると述べているだけで、具体的にいつ供給が始まるのかを特定していない。
電力輸出は、ラオスの経済発展に役立つだけではなく、タイにとって安定した電力供給を確保することにもつながり、特に北タイや東北タイの人々に恩恵をもたらすだろう。