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メコン河開発メールニュース2007年5月17日
メコン河上流部のタイとラオスの北部沿岸では、近年異常な水位変動で自然生態系が変容し、住民生活に多大な影響を与えています。メコン・ウォッチは、2007年3月上旬に、国立環境研究所とラオス国立大学と共同で現地聞き取り調査を行い、特定の魚種や川海苔の減少、魚の生息場所の移動、河岸浸食と畑の消失などが継続的に起きていることを確認しました。
その一方で、近年この地域は乾季に異常な低水位を記録しています。上流中国のダムによる人工的な放水量の操作を原因とする指摘がある一方で、中国は地球規模の気候変動を理由に挙げています。こうした水生態系の変化は、メコン河の交易にも悪影響を与えています。
以下、タイ字新聞の報道をメコン・ウォッチの木口由香が翻訳しました。
クルンテープ・トゥラキット(タイ字紙)
2007年3月28日
チェンライ
チェンセン港の税関は、継続したメコン河水位低下のために、中国からの船舶輸送に支障をきたしていることを明らかにした。特に2月は中国からの船舶輸送による輸入額が(全年の同月より)ほぼ5000万バーツ(約2億円)少なく、まだ減少傾向が続く見込みだという。同時に、タイ−ビルマの陸路での輸送も検査が厳しくなっている。(タイ側の)商工会議所は(ビルマ側の)タキレク(タチレク)商工会議所と3月29日に会合を開く予定だ。
チェンセンの税関のチューチャイ・ドゥアンマニー氏によると、チェンセンを通過する貿易品は、メコン河の水位減少が急速に進んでから減少している。2月の統計によると、チェンセン港に来た船舶は81隻で、商品総額は3700万バーツであった。昨年の同じ月は船舶149隻、商品総額は8700万バーツであった。また、2006年3月は175隻を記録している。メコン河の水位は下がり続けており、来月の船舶の入港は更に減少するものと予想される。
「メコン河の水はここ3年で最低の水位となっている。船舶は毎週のように航路を変えなくてはならない。そのため、運行に支障をきたしている。最近では積載量を減らし、浅瀬に乗り上げることを避けるためにチェンセン郡内のフアチヤン港に商品を回している」とチューチャイ氏は語った。
チェンライ県商工会議所パタナー・シッティソムバット会頭によると、ビルマ中央政府からタキレクのボーダーに定期的に検査が入っているという。そのため、輸出入の流れが円滑にいっていないという。これは、ビルマ内部の人事異動が関係していると見られ、深刻な事態には至っていないようだ。貿易額も2−3000万バーツという通常の額で推移しているという。
「2007年3月29日、チェンライ県商工会議所はタキレク商工会議所とビルマのタキレクで会合を持つ。これは合同の貿易政策を話し合うためのもので、前回は2ヶ月前に開かれ今回は3回目の開催となる。ビルマ側の商品の移動が制限されているが、タイ・中国間の貿易にそれほど影響は出ていない。中国の商品は船舶で運送されるものが大部分だからだ」とパタナー氏は話している。
地元国境貿易グループの副代表であるスワット・シーウォララット氏によると、メーサイ郡ではビルマ側の輸出入制限により貿易は減少しているという。また、バーツ高と中国の元がドルに対して安くなっていることも、中国とタイの貿易額減少の一つの原因になっているということだ。