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メコン河開発メールニュース2007年6月6日
世界銀行がナムトゥン2ダムへの融資を承認して以降、ラオスでは次々にダム開発が進められています。
日本のODA黎明期の事業であるナムグムダムが建設されたナムグム川でも、日本、タイ、アメリカ、中国などの企業が投資した水力発電ダム計画が進められています。そのうちの1つで、丸紅が出資して2011年の完成を目指しているナムグム3ダムの影響評価に、アジア開発銀行(ADB)の日本特別基金から無償資金が供与されることが決まりました。
日本政府内でADBを担当する財務省は、ナムトゥン2ダムへの融資をめぐる議論の中で、経済的便益が貧困削減に使われ、環境社会面の悪影響に適切な対応が取られることを最優先課題として挙げていました。これらの課題が未達成の段階で、調査とは言え次の大規模ダムに税金を投入することには疑問があります。
以下、メコン・ウォッチの東智美の翻訳記事です。
ビエンチャン・タイムズ紙、Phonsavanh Vongsay記者
2007年4月24日
日本政府は、アジア開発銀行の日本特別基金(JSF)を通じて、ラオスの2つのプロジェクトに、140億キープ(140万米ドル)以上の資金を供与することとなった。
資金が供与されるのは、「小都市の給水および公衆衛生セクター」と「ナムグム3水力発電所の累積的影響評価」である。
2つのプロジェクトへの無償資金供与は、昨日(4月23日)、ビエンチャンにおいて、ラオス政府とADBの間で調印された。
無償資金のうち、94億キープ(983,000米ドル)がナムグム3水力発電所に配分され、累積的影響評価、影響緩和の枠組み、そしてモニタリング・プログラムの策定によって、環境・社会影響を評価する能力の向上に使われる。
残りの47億キープ(500,000米ドル)は、貧困と病気を減らすため、給水と公衆衛生の改善に使われる。
財務省副大臣のViengthong Siphandone氏によれば、440メガワットのナムグム3ダム建設の基礎的な準備の一環として、影響調査を行うことは重要であり、この影響調査には110億キープ(110万ドル)以上の費用がかかる。このうち、16億キープ(175,000米ドル)はラオス政府が拠出し、残りはこの無償資金が当てられる。
小都市の給水と公衆衛生セクターのプロジェクトは、57億キープ(600,000米ドル)の費用がかかる。このうち、9億5800万キープ(100,000米ドル)がラオス政府の資金、残りがこの無償資金でまかなわれる。
ADBの国別担当局長のJames A. Nugent氏によれば、この技術協力のための無償資金は、国内の貧困および最貧困の郡の20の小都市の給水と公衆セクターのプロジェクトの準備を支援する。
駐ラオス日本大使の桂誠氏は、「水力発電は貧困を削減するためにも、外貨準備高を増やすためにも、重要な要素であると思う。しかし、地域の人々の生活を守り、ネガティブな影響を緩和するためには、水力発電プロジェクトの環境・社会影響を把握することが非常に重要だ」と述べた。
また、彼は「水も生活を維持し、社会・経済開発の基礎を作る上で、不可欠の要素だ」と語った。