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メコン河開発メールニュース2007年12月4日
メコン河本流は、上流の中国領内を除いた下流域にはダムはありません。しかし、これまでお伝えしましたように、最近になって、カンボジアとラオスで、マレーシア、タイ、中国の企業などが、下流域のメコン河本流にダムを建設する計画を進めています。
以下、メコン・ウォッチの活動地でもあるラオス北部のパクベン郡で始まった本流ダム計画について、現地で活動する東智美(ひがし・さとみ)による解説と翻訳記事です。
ラオス北部ウドムサイ県パクベン郡でも、中国企業が水力発電事業の調査のための覚書(MOU)を締結しました。
報道ではプロジェクトの詳細については言及されていませんが、現地での聞き取りによれば、ナムベン川とメコン河の合流点よりも上流に流れ込み式のダムの建設が計画されているようです。
ビエンチャン・タイムズ紙
Phonsavanh Vongsay記者
2007年8月31日
水曜日(8月26日)、ビエンチャンにて、ラオス政府と中国の投資企業との間で覚書(MOU)が結ばれ、このMOUに基づいて、ウドムサイ県のパクベン地域での水力発電事業の調査が開始されることになった。
大唐国際発電(Datang International Power Generation)社によって実施される調査は、完了まで30ヶ月を要する予定で、想定されている水力発電事業の技術面、経済面、社会面、そして環境面について検討される。
Datang International Power Generation社の副社長であるQin Jian Ming氏は、「もしこのプロジェクトが進められれば、ラオスにとってだけではなく、メコン河流域全体にとって重要なプロジェクトになるだろう」と語った。
計画投資委員会(CPI)の職員によれば、同社は、ウドムサイ県のパクベン地域のプロジェクトサイトを訪れ、国内への電力供給に加えて近隣諸国に電力を輸出する可能性を評価した後、このプロジェクトに関心を持つようになったという。
電力局のHoumphone Bulyaphol局長は、調印式の2時間前に、「調査によってこのプロジェクトの発電能力が分かる」と語った。
CPIの別の職員は、調査が完了すればプロジェクトのコストも明らかになると付け加えた。
もしプロジェクトが経済的に実施可能であるという調査結果が出れば、同社は、さらに開発段階に関与するための契約と、ダム建設に向けたコンセッション契約に移ることになる。
また、もしプロジェクトが長期的に実施可能であるということが分かれば、同社は、建設期間を含めて30年間、この合弁事業を経営したいとしている。
同社の代表が、首相府でラオスのBouasone Bouphayanh首相と会談し、水力発電セクターへの投資に関心を示したのを受けて、この(調査に関する)契約が結ばれた。
同社は、(パクベン地域での水力発電事業以外にも)特にサイヤブリ県のホンサ褐炭火力発電事業に共同で投資を行うことも希望しており、ラオスの他の投資セクターにも関心を持っている。
ラオス政府は、今年、水力発電事業に関して、海外の投資企業と、5つのMOUと1つのコンセッション契約を結んでいる。
このMOUには、サイヤブリ県パクライ郡の水力発電に関して、2つの中国企業と結ばれた調査契約も含まれる。また、タイ企業もサイヤブリ県の水力発電事業のための調査を実施することになっている。
別の2つのタイ企業は、ルアンパバーン県のNam Xeuang1・3水力発電事業と、ビエンチャン県のナムバーク1・2水力発電事業に関する調査を実施する。
もう1つの契約は、マレーシアの投資企業との契約で、この企業は、ルアンナムター県とボケオ県のナムファー水力発電事業の調査を実施する。
ナムグム5水力発電事業の建設は、最近、コンセッション契約と電力購買合意が調印されたのを受けて、来年シェンクアン県で開始される予定である。