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メコン河開発メールニュース2008年1月10日
2008年10月から、現在の国際協力銀行(JBIC)と国際協力機構(JICA)は大きく姿を変えます。JBICの業務のうち、民間企業の輸出入や投資を支援する国際金融等業務は、新たに設置される政府系金融機関である「株式会社日本政策金融公庫」の一部門となります。一方、JBICの円借款部門と外務省が実施する一般無償資金協力の実施は新JICAに移管され、新JICAは円借款・無償・技術協力の大部分を担当するODA実施機関となります。
これに伴い、現在両機関が有している環境ガイドラインも改定作業が予定されています。メコン・ウォッチは、これまで以上の水準のガイドラインが策定されるよう、JBIC・JICA等に対する政策提言活動を行っています。昨年11月26日には、他のNGO4団体と共同でJBICに対し提言書を提出しました。
改訂作業が先行している新JBICについては、昨年11月末に第1回パブリックコンサルテーション会合が実施され、JBIC自身が行った現行ガイドラインの実施状況に関する調査結果が発表されました。しかし、この調査はガイドラインの手続を表面的になぞっただけで、JBIC外部からの聞き取りや現地調査がされておらず、ガイドラインの目的が達成されたか、ガイドラインの遵守状況に問題はなかったかなど、改訂に必要な調査はほとんど行われていません。
そこで、メコン・ウォッチは他のNGOと共同で、追加調査を求める書簡を1月9日JBICに対して提出しました。今後も、両機関のガイドライン改定作業を皆さまにご注視いただければ幸いです。
以下、書簡の本文です。別添資料は以下のサイトでダウンロードできます。
http://jbic-watch.net/jp/
(本文 福田健治/メコン・ウォッチ)
2008年1月9日
国際協力銀行
総裁 田波 耕治 殿
『「環境社会配慮のための国際協力銀行ガイドライン」に係る実施状況確認調査報告書』追加調査実施の要請について
2007年11月29日に貴行が公表されました『「環境社会配慮のための国際協力銀行ガイドライン」(以下ガイドライン)に係る実施状況確認調査(以下本調査)報告書』(国際金融等業務)は、「環境ガイドラインの実施状況を確認するとともに、環境ガイドラインの改訂に関する検討を行うための基礎資料を作成する」ことを目的に掲げております。私たちは、本調査をガイドライン改訂の議論のためにきわめて重要なものと認識しており、本調査が所定の目的を達成できるかどうかという視点からの評価および他の国際金融機関の同種の調査との比較を行いました。その結果、本調査は下記の点できわめて不十分であると考えております(詳細は別添1および別添2をご参照下さい)。
1.ガイドラインの効果と課題の分析が行われていない。
2.調査手法が不明確・不十分である。
3.調査範囲が限定的である。
4.貴行の行内手続きおよび意思決定に係る判断の妥当性の評価が行われていない。
5.環境レビューの内容面での評価が行われていない。
6.住民協議や環境アセスメント(EIA)報告書の公開についてガイドライン不遵守の可能性も読み取れるのにも関わらず、それに関する説明が行われていない。
これらのことから、私たちは、現在の調査のみでは本調査の所定の目的を十分に達成することができないことを危惧しております。
つきましては、下記を基本方針とする追加調査を実施することを要請いたします(別添3:TOR案参照)。
<内容に関する方針>
1.『「環境社会配慮のための国際協力銀行ガイドライン」に係る実施状況確認調査』(国際協力銀行、平成9年11月、以下「既存調査」)の成果を活用し、その不足分を補うこと
2.ガイドラインの第1部、第2部の主要な要件の達成状況に関する評価を行うこと
3.ガイドラインの実施上の課題と、ガイドライン自体の課題を明らかにすること
4.現在の環境審査の有効性に関する評価を行うこと
5.既存調査において記載されているステークホルダーへの説明が実施されていなかった案件、EIAの公開が行われていなかった案件、住民移転計画が策定されていなかった案件については、その詳細を確認すること
<調査実施方法に関する方針>
6.机上調査に加え、行内担当者、審査実施者、事業実施主体、外部専門家、影響住民、関連NGOなどへのアンケート・ヒアリング、事例調査を通じて、調査を実施すること
7.調査機関の選定方法、調査機関、調査TOR(案および最終版)、調査実施手法、調査結果は公開すること
8.調査ドラフトは公開し、コメントを求めること。
よろしくご高配頂ければ幸甚です。
以 上
環境・持続社会研究センター(JACSES)
原子力資料情報室
国際環境NGO FoE Japan
市民外交センター
メコン・ウォッチ
満田夏花(地球・人間環境フォーラム)