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ラオス・ダム>カンボジア市民社会から懸念の声

メコン河開発メールニュース2008年8月8日

ラオスで建設されるダムのメコン河流域の漁業に与える影響が懸念されています。

セコン川は、ラオスからカンボジアを流れ、セサン川・スレポック川と合流してベトナムを通りメコン河に注ぐ国際河川です。そのセコン川ではロシアなどの投資でダム建設が予定されています。

カンボジアではトンレサップ湖だけでなく、メコンの本・支流での漁業が盛んですが、上流のラオスでのダム開発によって国境を越えた影響を受ける懸念が市民の間で高まっています。しかし、メコン河の持続的な利用を調整するはずの機関であるメコン河委員会に、カンボジアを代表して参加するカンボジア政府職員は「影響を認識していない」と発言しており、過去のダムが引き起こしている問題を踏まえてメコン河の開発を考える姿勢に乏しいことが伺えます。

関連するプノンペンポストの記事をご紹介します。

ラオスのダムは下流に長く暗い影を落とす可能性あり、
利益のないダムの負担について環境グループは警告」

Sebastian StrangioおよびVong Sokheng記者
プノンペンポスト(AFP)
2008年6月12日(木)

ラオス南部に計画されている水力発電事業は、環境影響を軽減するために適切な処置をとられなければ、下流のカンボジアに長期の大規模荒廃を及ぼすであろう、と地元(カンボジア)の複数のグループが警告している。これらのグループは現在(カンボジア)政府に、ラオスのダム建設計画の国境を超える影響の可能性についての討議をラオス(政府)と行うよう要求している。

メコン川の主要な支流であるセコン川流域には、電力不足のタイおよびベトナムへの電力輸出により国家収入を増やそうとするラオス政府の長期戦略の一環として、多数の水力発電ダム事業が計画されてきている。

「(カンボジア)政府は、ラオスにおける水力発電事業によりどのような影響が発生しているか調査する役割を果たす必要がある」とカンボジアNGOフォーラム副事務局長のNgy San氏は云った。

「(調査は)カンボジア政府の現在の資源と能力では非常に難しい。しかしこの問題に取り組む意思が少しでもあるなら、ラオス政府との意見交換から始めるのが適当であろう。」NGOフォーラムは、Russia’s Regional Oil Co.によって建設されるダムで、本年末に建設工事が開始されると予測されているナムコン1及びセコン4ダムについて、特に懸念を持っているとNgy San氏は語った。

ビエンチャン・タイムズは昨年12月、前ロシア大使のユリ・A.ライコフ氏が 「これらの事業はラオスの人々の社会経済の発展に寄与し、輸送基盤と生活条件を改善するのに役立つだろう」との発言を報道した。

しかし環境グループは、ダムの環境負荷をカンボジアが背負いこむ結果になってしまうかもしれず、(ダムの)経済的恩恵はあるとしてもカンボジア側で享受する人は殆んどいないであろうことという点を懸念する。

ナムコン1及びセコン4プロジェクトの初期環境調査(IEE)でさえ、下流に問題が起こる可能性を認めている。これらのIEEは、ラオス政府のためにノルウェーのコンサルタント会社ノルコンサルト(Nor consult)が2007年に作成したものである。

(IEE)報告書はセコン川に沿ってラオス(・カンボジア)国境からストゥントレンの町まで延びる悪影響について警告している。

セコン4のIEEは、「ダムの貯水池はこの川の上流下流の両方の水文を著しく変化させる」、「貯水池からの劣悪な水の放流は、ダムの直下に位置するこの川の最初の部分の動植物に影響を与え、その多様性と個体数の両方を減少に向かわせる」と警告している。

近刊のリバーズ・インターナショナル(訳注:国際環境NGO)による報告はそれ以上に言及し、IEEはカンボジア側の漁業への影響に関して十分注目していないと批判している。

報告は、「下流域の漁業のひどい損失は推定年間18.7百万米ドルに達し、数万人の住民に影響があり、全漁獲量は約71%の減少に至る」と予測する。リバーズ・インターナショナルはこれらの見積もりが「恐らく過小評価になっているであろう」とも指摘している。

リバーズ・インターナショナルは、ラオス・カンボジア政府間の明らかな対話の欠落についても懸念している。

「このような諸々の影響について、ラオスがカンボジアに通知することを義務付ける、あるいは、そのような影響を防止、軽減、または終わらせるようにカンボジアが要求できるメカニズムはメコン河委員会に存在しないのである」と、リバーズ・インターナショナルは近刊の報告書の中で述べている。

ダム建設に先立つ環境アセスメントのプロセスは、ラオスの法律で定められてはいるが、透明性の欠落が際立っているとNgy San氏も加える。

「ラオス政府に提出された環境影響アセスメントを我々は入手できるだろうか? 事業は透明性が不可欠だが、その情報はここにはない」と、Ngy San氏は云った。「我々はこれまで情報を入手しようと試みてきたが、今日まで得られた情報はすべて非公式のものである」と。

カンボジア国内メコン委員会事務総長のPich Dun氏は、ダムプロジェクトの潜在的な悪影響はたいへん誇張されてきたと語った。「私はカンボジアに如何なる深刻な下流域影響があるか知らない。我々はその地方の村民から何らの苦情も得たことはない」と言った。

(Dun氏は、)漁業に悪影響があることは認めたが、「カンボジアとラオス両政府はこの問題解決に関して然るべき協力を奨励すべく試みるであろう」と述べた。

カンボジア、ベトナム、ラオス、タイ国境沿いのダムと運河に関する常任委員会委員長のBun Hean氏もまた、セコン川の水力発電開発から生じる重大な影響についての如何なる知識も否認した。

(文責 杉田玲奈/メコン・ウォッチ、翻訳協力 大格登/メコン・ウォッチ ボランティア)

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