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タイ・J-Power発電事業>住民がJ-Powerに抗議書簡(2)

メコン河開発メールニュース2008年11月12日

日本の電力卸会社大手のJ-Power(電源開発)がタイで2つのガス火力発電所の建設を計画しています。同社はタイ発電公社(EGAT)からIPP(独立発電事業者)の枠を入札で獲得、2つの事業会社を立ち上げて建設に向けて環境アセスメントを実施中です。また、J-Powerはタイ企業ガルフパワーと出資して子会社Gulf-JP社を立ち上げていもいます(http://www.gulf.co.th/index1.gulfjp.pr.html 参照)。それに対し、前回お伝えした通り、住民は建設に反対の意向を示しています。

サメッタイの住民(ペートリゥを愛する会)は、12,409名の住民の反対署名を集めた上、J-Power宛の書簡で次のような問題・懸念を伝えています。

(1)住民からのヒヤリングで県はこの地域をグリーン地帯(第一次産業地区)と指定して、内務省の承認を待っている。これを覆すことはできない。

(2)住民のほとんどが農業・水産業に従事している。特に輸出用のマンゴーを生産する住民も多いが、海外市場向けには果実に汚点がつくと商品価値がなくなる。発電所からの大気への粉じんや化学物質の放出は農産物に影響を与える。また、高温の蒸気も植物の生育に影響する。

(3)発電所が冷却用をとるバンパコン川は、淡水と海水が混じっている。発電所が水を使用すれば、乾季に農業用水の不足が起きるのはほぼ確実である。また、温水の排出は海中の生物の生態系のバランスを崩す。

(4)発電所付近には10の村落、8か所の寺院、10の学校が偏在している。僧侶や銃見の健康を誰が保障するのか。また、国王プロジェクトの実施地もある。

(5)IPP取得前2007年に、サイアム・エナジー社(実施企業)と関連企業は学生を雇用し、住民の意見を聞いているとしている。しかし、学生は先生から頼まれた仕事だとだけ説明し、住民に発電所建設に関する意見聴取だと伝えなかった。また、住民がサインをすれば、アルバイト料が入るので、学費を稼ぐことができると住民の同情を買って署名を集めてさえいる。また、企業は発電所見学に住民を招待し、金品を提供してサインを集めている。

(6)EIAはまだ承認されていないと確認している。また、建設地近くには寺院に住むコウモリが生息している。

一方、ノンセン発電所周辺住民(農民の生活を守る会)は次の7点を挙げました。

(1)建設予定地のサラブリ県部分は国が定めた「農村と農業保全地区」として指定を受ける最中であり、大規模な工場などは建設できないはずである。現在、住民は海外輸出用の有機農業野菜の栽培、ノンセンの名を冠した有名なマンゴーの品種の栽培などを行っており、発電所の運転によって作物への被害が懸念される。

(2)発電所から排出される高温の水蒸気は、稲の実りや害虫を捕食する益虫や鳥の生態に影響し米の収量減少が懸念される。

(3)発電所からの二酸化窒素と二酸化硫黄の排出はタイの公害排出基準を守ってはいるが、長期間では人や家畜の健康への被害が懸念される。

(4)1659メガワットの発電所は64,400立方メートルの水を毎日使用する。このため、農業用水との水の奪い合いが発生する恐れがある。

(5)住民参加が不透明である。中立であるはずの政府職員が事業を支持している。環境アセスメント(EIA)が承認される前に事業許可を出している。建設予定地は荒地のようにガルフ社は言っているが、住民はその土地を借りて毎年稲作を行っている。ノンゴップ・タンボン行政区議会は賛成したというが、議会は地域住民の意見を一度も聞いておらず、住民はEIA調査にも協力しなかった。住民間に賛成・反対で対立が生まれてしまった。

(6)発電所は地球温暖化を悪化させる、また世界に食料を供給している同地の環境を破壊する。

(7)サラブリ県で最後の良好な農業地帯と住民の生活を破壊する発電所の建設をやめるべきである。

農民の生活を守る会は、書簡を次のように結んでいます。

「ガルフ社は、住民を抑え発電所を建設することが可能であると御社に嘘をついているが、それはあなた方をだまして投資させようとしているのである。誰も、私たちに今までの経済的に自立したシンプルで持続的な生活をやめさせ、発電所建設を容認させることはできない。私たちは発電所建設に反対し、J-Powerがこの土地から投資を引き上げることを望む」。

(文責 木口由香/メコン・ウォッチ)

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