ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > タイ原発>タイでも原発推進の動き
メコン河開発メールニュース2009年7月29日
日本政府は、国際協力銀行(JBIC)および日本貿易保険(NEXI)を通じた公的信用により日本企業の原発輸出を推し進めようとしているのは、先般お伝えしたとおりです。タイでは世論の強い反発で実験炉の建設も中断していましたが、昨年から原発導入の動きが再び活発化しているようです。以下、現地のバンコクポスト紙の報道です。
YUTHANA PRAIWAN記者
2009年6月30日
バンコクポスト紙
タイ発電公社は、同社の原子力発電計画を方針どおりに進めると発言。当該技術に関する施工可能性調査は、予定どおり来年末までに完了すると思われる。論争を巻きおこす技術である原子力発電は、最もクリーンな技術であり、タイのエネルギー安全保障を促進するために最も実行可能な方法であると、エネルギー政策立案者らは見なしている。しかし環境保護団体が提起する論拠によれば、原子力発電技術には高いリスクが伴う。
現行の電源開発15カ年計画(PDP)では、タイ初の原子力発電所が2020年に運転を開始することになっていると、Kamol Takabutは語った。同氏はタイ発電公社のAssistant Governor(訳注:副総裁補)をつとめる人物で、同社の発電所の工学技術を監督している。
先述したPDPのもと、国の関連機関は2010年の最終四半期までに2000メガワット級原子力発電所についてそれぞれ予備調査を完了しなければならない。そうした予備調査の結果をもとに、内閣は、同発電所にゴーサインをだすか否かの決断をすることになる。
予備調査では、広範囲の諸問題について調査することになる。諸問題とは例えば、規制、産業計画や商業計画、環境影響、健康安全、技術選択、人材開発および世論などだ。
発電所予定地案は、おそらく年末までに14カ所から3カ所へ絞り込まれるだろう。どの技術を選択するか――例えば加圧水型原子炉かあるいは沸騰水型原子炉かなど――についても、その時点までに明らかになるだろう、とKamol博士は語った。
タイ発電公社が現在検討中の場所は、スラタニ県、 ナコンシータマラート県、 チュムポン県, プラチュアップキリカン県、チョンブリ県、およびチャイナート県である。
原子力発電計画開発事務所(The Nuclear Power Program Development Office:NPPDO)は、2008年から2010年までにこれらの調査実施目的のため13億4500万バーツの予算を組む。当該予算のうち5億9500万バーツはタイ発電公社が、残りの7億5000万バーツは省エネルギー基金(Energy Conservation Fund)が拠出。
天然ガスの場合の800ドル、石炭火力発電所の場合の1600ドルと比べ、原子力発電所一基の建設にはキロワットあたり2000米ドルの費用がかかる、とKamol博士は語った。1キログラムのウランの発電出力はおよそ30万キロワット時。比較のため記載すれば、1キログラムの石炭なら3キロワット時である。
原子力発電所は、地球上のすべての発電のうち約16パーセントを供する。
(文責/木口由香 メコン・ウォッチ 翻訳/山秋真 ジャーナリスト)