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メコン下流本流ダム >メコン河開発に懸念する23,110人の署名

メコン河開発メールニュース2009年10月23日

10月20日のメコン河開発メールニュースでもお知らせしましたが、メコン流域国内及び国際的団体と市民のネットワークであるセーブ・ザ・メコン連合は、今週、タイで開催される東アジアサミットで集まるメコン河下流の4カ国−カンボジア、タイ、ベトナム、ラオス−の首脳に、メコン河本流におけるダム建設計画を放棄することを求める請願書と賛同した23,110人の署名を送付しました。

以下にこの請願書の内容をお伝えします。

メコン河本流におけるダム開発計画に関する会合の要請
および23,110人の署名の提出について

2009年10月19日

私たちは、セーブ・ザ・メコン連合及びはがきキャンペーンの署名者を代表して、閣下に対し、メコン河下流を本流で計画中の水力発電ダムから保護するため尽力するよう要請する23,110人の署名による請願書をここに提出します。

請願書にはメコン地域内の15,282人、うち中国からは352人、ビルマ(ミャンマー)から30人、ラオスから616人、タイから7,797人、カンボジアから2,682人、そしてベトナムから3,805人が署名しています。彼らの多くはメコン河流域で生活しています。残りの7,828人は世界15カ国から集まっています。

添付のはがきのスキャン画像と及びインターネットによる署名を保存したDVDとその他参考資料をご参照ください。

メコン河本流で計画されている11のダムのうち、7つはラオス国内、2つはタイ・ラオス国境、2つはカンボジア国内にあります。これらのダムによって発電された電力のほとんどはタイに、そして少ない量ではあるが一部はベトナムに送電される計画です。

メコン河は世界でもっとも漁獲量の多い内水面漁業の中心地です。商業的漁獲高は現在年間30億米ドルにも相当し、この地域の貧困家庭の多くの暮らしを支えています。メコン河における漁業により、カンボジアでは動物性タンパク質の消費量の5分の4が補われ、ラオスでは平均40%を占めます。さらにその割合が90%にも達する県もあります。

川の本流にダムが建設されれば、重要な魚の回遊ルートが妨げられるでしょう。世界のトップクラスの漁業専門家からなるグループは、これらのダムが漁業に及ぼす影響を緩和できる技術は今のところ存在しないとしています。これらのダムは深刻な社会・環境影響をもたらし、地域の食糧安全保障や経済、貧困の緩和と「ミレニアム開発目標」の達成のための現在の取り組みを脅かします。

メコン河本流ダムによる水利学的・生態学的変化は、メコンオオナマズやカワゴンドウ(イラワジイルカ)など、この川の重要な象徴的種の減少を引き起こすでしょう。さらに、川の流れにより運ばれる土砂の動きを遮断するでしょう。メコン河が供給する土砂は、デルタ地帯の土壌に栄養を与え、ベトナムにおいては海岸に土砂を供給することにより浸食を防止しています。これが遮断されることにより、国内の米の収穫の50%、漁獲および果物の収穫の55%という生産量を占めているベトナムの「穀倉地帯」が脅かされることになるでしょう。

このような変化すべてを考えると、メコン河本流ダムは、開発の推進者とこの川に依存して生活する地域の人々の間に、また、減少する川の資源を奪い合うことになる地元住民との間に、国境を越えた深刻な争いを生み出しかねません。

セーブ・ザ・メコン連合は、メコン流域国内及び国際的なNGOやコミュニティグループ、研究者、ジャーナリスト、芸術家、法律家、漁師、農民、一般市民によるネットワークです。

2009年6月18日、セーブ・ザ・メコン連合の代表はタイのアピシット・ウェチャチワ首相に面会する機会を得ました。そして、メコン河は重要な越境河川であり、国境を越えた協力と、メコン河委員会やメコン地域開発プログラム(GMS)、東南アジア諸国連合(ASEAN)などの地域フォーラムがこのような懸念される重大な問題に関する建設的な対話を推進する役割を果たすべきである、とする同首相の認識を歓迎しました。

メコン河の自然の恵みを守り、持続可能な経済発展を確保し、食糧安全を守り、地域の平和と繁栄を促進するため、エネルギー効率の向上と分散型で再生可能なエネルギー技術の近年の革新を活用することにより、メコン地域のエネルギー需要を満たす実現可能であり、持続可能で経済的な方法があると我々は確信しています。国内政策の改革もこのような新たなエネルギー技術への投資促進の一助となるでしょう。

私たちは、メコン地域各国の政府が、経済成長、社会調和、環境的持続可能性がバランスをとって共存することは可能であり、その結果、将来の経済的リスクや気候変動、環境的リスクが最小限に抑えられるということを、リーダーシップを発揮し世界に対しはっきりと示すことができる、否、示さなければならない、と強く感じています。

お時間とご注意を頂き感謝します。メコン地域の重要かつ影響力のある指導者として、メコン河本流ダム計画及び健全で自由な流れであるメコン河の重要性に関する私たちの懸念について議論の機会を与えていただけるよう希望します。

ご検討いただければ幸いです。

(文責・翻訳 メコン・ウォッチ)

■賛同団体
The NGO Forum on Cambodia (NGOF), Cambodia
Sesan-Srepok-Sekong Rivers Protection Network (3SPN), Cambodia
Conservation and Development on Cambodia (CDCam), Cambodia
Towards Ecological Recovery and Regional Alliance (TERRA), Thailand
Thai People's Network for Mekong, Thailand
Living Rivers Siam (SEARIN), Thailand
Palang Thai, Thailand
Salween Watch Coalition, Thailand
Focus on the Global South, Thailand
Center for Water Resources Conservation and Development (WARECOD), Vietnam
People and Nature Reconciliation (PanNature), Vietnam
Burma Rivers Network, Burma
China Development Brief, China
Manna Gum, Australia
Mekong Monitor Tasmania, Australia
Probe International, Canada
Mekong Watch, Japan
Both ENDS, The Netherlands
Association for International Water Studies (FIVAS), Norway
The Corner House, UK
World Rainforest Movement (WRM), Uruguay
EarthRights International, USA
International Rivers, USA
The Mangrove Action Project (MAP), USA
Bank Information Center (BIC), USA

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