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 ビルマ(ミャンマー)北部の内戦 水力開発事業が引き金

メコン河開発メールニュース 2011年7月6日

ビルマ(ミャンマー)北部で6月、国軍と、少数民族武装勢力の一つ「カチン独立軍(KIA)」との間で戦闘が始まり、1万から2万の住民が避難している模様です。国軍とKIAの関係はここ数年で悪化し、武力紛争が再開する可能性が指摘されていましたが(注)、今回の戦闘開始の直接の引き金となったのは、中国が出資する水力発電ダム建設事業でした。以下、ビルマ河川ネットワーク(BRN)のプレスリリース「水力開発事業が紛争を引き起こしている」(2011年6月15日)などをもとに、その状況をお伝えします。

ビルマ(ミャンマー)国内の水力ダム建設による環境・社会的影響を監視する

「ビルマ河川ネットワーク(BRN)」は6月15日にプレスリリースを出し、この3カ月間にビルマで起きた国軍と少数民族武装勢力の交戦の多くが、中国が進める水力ダム建設現場周辺でのことだったと指摘した。

中でも大規模な戦闘が起きているのが北部のカチン州だ。中国は同州のイラワディ川水系に9つの水力ダム建設事業をビルマ政府と共同で進めている。そのうちの2つがあるカチン州モーマウ郡で6月9日、国軍とカチン独立軍(KIA。ビルマの少数民族武装勢力の一つ)とが停戦合意を破棄し、戦闘を始めた。現場は中国国境に近いターペイン川(タピン川、ダベイン川とも。イラワディ川の支流)にある第一・第二ダムの周辺で、国軍とKIAが互いにこの地域からの撤退を要求し、どちらも譲らなかったので交戦開始に至った模様だ。

ターペイン第一ダム(高さ約84メートル、設置出力240メガワット)は2007年に建設が始まり、今年初めに完成した。第二ダム(高さ不明、設置出力160メガワット)の建設も進んでいたが、ビルマ政府によれば今回の戦闘勃発で第一ダムの発電は停止し、第二ダムの建設作業も止まった。

ターペイン第一・第二ダムは、ともに中国の大唐集団とビルマの第一電力省との共同事業で、大唐集団のウェブサイトによれば生産される電力の90%が中国に送られる。ビルマ政府は6月18日の国営紙「ニュー・ライト・オブ・ミャンマー」で、カチン州での戦闘について「国軍の目的はただ一つ、国軍兵士と、国家にとって重要な水力発電事業を守るためだ」と表明。その後、攻撃や破壊行為はカチン州の他地域でも散発的に続いており、KIA筋によれば約1万5,000人の住民が不自由な避難生活を送っている。

【注】2009年以降、軍政はKIAを始めとした国内の少数民族武装勢力に対し、新設する国境警備隊への編入という、事実上の武装解除を要求。これに対しKIAやカレン民族同盟(KNU)、ワ州連合軍(UWSA)などは編入を拒否し、国軍との間で緊張が高まっていた。軍政は2009年8月、シャン州北部の中国国境近くに支配領域を持ち、国境警備隊への編入を拒否していたコーカン軍(MNDAA)を攻撃、約4万人の難民が中国に逃げた。コーカン軍は兵士数が推定1,500から2,000と小規模で、内紛により弱体化していたこともあり、数日で制圧された。KIAは数千から1万の兵力を有するとされ、戦闘の拡大や長期化も懸念される。

【参考資料】
ビルマ河川ネットワークのプレスリリース「水力開発事業が紛争を引き起こしている」(2011年6月15日)(英語)

ビルマの紛争地域での水力開発事業について、ビルマ河川ネットワークの資料 (2011年6月15日)(英語)

イラワディ川ダム開発(メコン・ウォッチ)

(文責:秋元由紀/メコン・ウォッチ)

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