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 カンボジアダム開発>国境を超えるダム被害のその後(2)

メコン河開発メールニュース2011年9月30日

カンボジア・ラタナキリ州では13の民族が農業と川での漁業を中心とした生活を送ってきました。前回お伝えしたように、その暮らしは国境を越えたベトナムのダムの影響を受け、困窮しています。
また、この地域では、ベトナムの投資による下流セサン2水力発電ダムの計画が着々と進んでおり、移転地の問題やさらなる環境被害などが懸念され、村人を不安に陥れています。引き続き、2011年7月にフォンサイ郡PコミューンのF村を訪問し、お話を伺った報告をお届けします。

人々の暮らしとこの地域のダム開発の詳しい状況については、ネット上で無料公開している冊子、「水の声:ダムが脅かす村びとのいのちと暮らし」をご覧ください。

■水質汚染

ダムからの水は建設初期、貯水池にたまった有機物が腐敗するため、非常に水質が悪くなります。また、熱帯での水の停滞は水温の上昇や水中の酸素不足を招きます。さらに、藻類の影響とみられる皮膚病も発生します。これは、タイのパクムンダム、ラオスのナムトゥン2ダムなどでも確認されている現象です。

PコミューンにはF村、P村の2村があり、522世帯、2366人居住しています。F村では、河岸の崩落で家屋が危険になったことや河岸の畑が失われたため、20世帯以上が3キロほど離れたところに家を移しました。以前は川の水を生活用水に使っていましたが、今は援助機関の掘った井戸に頼っています。村人は、約30の井戸は人口に比べ少なすぎると言います。援助の入っていない他の村の一部は、村の資金では井戸が作れず、水質の悪化した川の水を生活用水に利用し、乾季には皮膚病が発生しています。

■奪われる土地

村人は新たな問題に直面しています。下流セサン2ダムの建設問題です。建設されると村は水没し、移転を強いられます。しかし、移転地は付近にはありません。ベトナムや中国の企業が、村の周囲1000ヘクタール以上の土地で、99年間の土地の賃貸契約を獲得しているからです。これは、村人の反対にあったにもかかわらず、村長やコミューン長が勝手に了解してしまったといいます。人々は村の周りの土地の所有権が変わっていることを、2年前に知ったといいます。この土地はもともと、次世代に分配するために村人が共有地として確保しておいたものです。土地には3年前からゴム植林が行われています。F村のヌピットさん(55歳、男性)は、「昔のように食べるのに困らない生活に戻りたい、(ダムの)反対運動などしなくて済む生活がいい」と言います。

しかし、村人の願いとは裏腹に、2011年2月15日付メコン河開発メールニュースの通り建設計画は着々と進んでいます。

この報道によると、国営ベトナム電力会社(EVN)の小会社であるEVNインターショナルが、ベトナム政府からカンボジア水力発電セクターにおける過去最大級の投資案件を進める許可を取り付けたとされています。

(文責/木口由香 メコン・ウォッチ)

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