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ホーム > 資料・出版物 > メールニュース >ラオス＞著名な社会活動家誘拐される（6）
メコン河開発メールニュース2013年9月4日
ラオスの社会活動家ソムバット・ソムポーンさんが行方不明になってから8ヶ月以上が経過しました。ソムバットさんの消息は未だに分かっていません。8月30日は、失踪者の問題に関心を寄せ、人権問題についての意識を高めるために設定された「国際失踪者デー」でした。この日、ソムバットさんの妻ウン・シュイ・メンさんは、開発関係者に向けて、強制失踪の問題に向き合い、人権意識の向上のために声をあげるように呼びかける手紙を寄せています。
ソムバットさんとシンガポール人のシュイ・メンさんは、留学先のハワイで出会いました。シュイ・メンさんはその後、国連機関に勤務され、国際連合児童基金（ユニセフ）の東ティモール事務所代表を務めた経験もあります。ソムバットさんの失踪後もラオスに留まり、ソムバットさんの無事の帰宅と人権問題の解決に向けた活動を行っています。
また、ソムバットさんの失踪事件解決を目指して情報発信を行っているサイトhttp://sombath.orgでは、ラオスでこれまで起きた強制失踪に関する情報提供を呼びかけています。
2013年8月30日
http://sombath.org へのrsbtws氏投稿
今日（8月30日）は国際失踪者デーです。シュイ・メンさんは以下の手紙を友人と同僚に送り、この非情な行為に目を向けるよう呼びかけました。
ラオスで起きている強制失踪の数や内容については、複数の団体や報道機関が調査をしています。もしも確かな裏付けのある文書証拠をお持ちの場合は、是非共有してください。
みなさま
8月30日は国際失踪者デーです。アジアの多くの国では、強制失踪の被害者に連帯の意を示すイベントが多数行われました。
ラオスは国連の「強制失踪防止条約」署名国であり、ほかの多くの人権に関する条約や議定書にも署名しています。また、人権に関して、意識と能力向上のために、開発パートナーから相当な援助を受けています。にもかかわらず、強制失踪が人権問題の一つであるとの意識は低い、もしくは全く認知されていない状況です。
人権の中で、強制失踪は「人権侵害のもと」と言われています。なぜなら、失踪した人は「存在しない」とみなされ、行方と生存の可否がわかるまで、その家族も中ぶらりんな状態に置かれるからです。終止符を打つことはできず、ひたすら待つのみ。希望と絶望を行ったり来たり。誰も、実際にそのような人権侵害の経験者でなければ、絶え間なく直面することになる苦痛とトラウマを説明することすらできないでしょう。部外者は、その感情や気持ちを理解することはできません。
しかし私は、自分の気持ちを吐露するためにこの手紙を書いたわけではありません。みなさんに、人権擁護者として、開発の実施者として、もっと、ラオスの人権の文脈で失踪についての意識が高まるよう、活動していただきたいのです。
失踪はラオスで多数起きていますが、その数は確認されている以上にのぼります。なぜならば、被害者の家族は声を上げたり、助けを求めたりすることを非常に恐れてできないでいるからです。最近も、国連の強制失踪作業部会に報告された一つの事件について、力を貸したいと思ったのですが、家族が内密にすることを希望しているということで連絡を取ることができませんでした。恐れの大きさはそれほどなのです。そしてその恐れをいいことに、ラオスで犯人たちは罪に問われることなく次の事件を起こし、ほとんどあるいは全く因果関係を問われることはないと知っているのです。
私は仕事人生のすべてをかけて、ラオスやほかの地で、貧しく選挙権を剥奪された人びとの生活向上と権利のために尽くしてきました。そのような活動に誇りを持ってきました。ですから、開発に携わる私の同僚のみなさま、ラオスのパートナーとともに国レベルで、そして地域レベルで、失踪の問題により確固たる、より真っ直ぐな立場を取っていただけませんか。私は、少なくとも声を出せます。みなさまも、どうかその声と良心を、ラオスで声を上げられず恐れの中にいる人びとのかわりに。
敬具
シュイ・メン
原文（英語）はこちら
http://sombath.org/2013/08/30/letter-from-shui-meng-on-the-international-day-of-the-disappeared/
（文責・翻訳 メコン・ウォッチ）