ホーム > 資料・出版物 > メールニュース >ラオス>著名な社会活動家誘拐される(7)
メコン河開発メールニュース2013年12月9日
ラオスの社会活動家ソムバット・ソムポーン氏が行方不明になってからもうすぐ1年が経過しようとしています。ソムバット氏の消息は未だに分かっておらず、ラオス政府は、欧米政府からの真相究明の要請にもかかわらず、同事件に関する明確な情報を公開していません。
事件の背景には、同国が抱える人権問題があると見られています。昨年10月、ラオスで開催された「アジア欧州民衆フォーラム(AEPF)」では、土地問題など同国の開発問題に関する議論が行われましたが、開発事業に疑問を呈したラオス人の参加者が嫌がらせを受けるなど、言論統制が行われました。このAEPFの市民側のコーディネーターを務めていたソムバット氏は、こうした人権侵害の再発防止に向けて、政府と対話を持とうとしていたと言われています(※1)。
ソムバット氏の失踪からちょうど1年にあたる12月15日、彼が創設した団体「参加型開発研修センター(PADETC)」(※2)では、「PADETCの特別記念展示会」と題して、同団体の業績を振り返り、同団体の支援者に感謝し、創設者であるソムバット氏に想いを寄せるためのイベントを開催します。
PADETCは、1996年にソムバット氏によって創設され、これまでラオスの青少年に対する開発教育に多大な貢献をしてきました。こうした功績が認められ、2005年にソムバット氏は、アジアのノーベル賞と呼ばれるマグサイサイ賞を受賞しています。
12月15日のイベントでは、「創造の木(Inspiration Tree)」が掲げられ、「暮らしやすいラオスとより良い未来」に向けて、参加者がメッセージを寄せる企画が予定されています。表現の自由が保証されていないラオスで、PADETCの人びとがソムバット氏の教えをふり返り、氏に想いを寄せながら、自分たちの未来を切り開くにはどうすればよいか知恵とことばを寄せあおうとする試みです。
メコン・ウォッチとしても、市民社会の活動が制限されているなかで、ソムバット氏の意思を継いで活動を続けるラオスの人たちを応援したいと考えています。
人権問題の解決と平和な社会の実現を願うとともに、ソムバット氏とPADETCの功績を讃え、ソムバット氏に想いを寄せる「創造の木」に、みなさんからもぜひ応援のメッセージを寄せて下さい。
いただいたメッセージは、PADETCに届け、創造の木に取り付けて、当日の参加者がメッセージを読んで、感想や意見を交換できるようにします。
●メッセージを届けたい方は、以下の要領でメールをお送り下さい。●
【メッセージ送信の要領】
・メッセージ:日本語・英語・ラオス語のいずれかの言語で、一文(日本語の場合は50文字以内)に収めてください。(メッセージの例:「ラオスの持続可能な開発を目指して活動を続けてきたソムバットさんとPADETCを応援しています」「ソムバットさんの無事とラオス社会の平和を祈ります」など。)
・このイベントは、今も言論統制が行われているラオスにおいて、現地の団体が実施するものです。「創造の木」のメッセージについては、直接的な政府批判は避けるなど、ご配慮いただけるようお願いします。
・氏名および居住地(県名・海外の場合は国名):匿名をご希望の方は、その旨をお伝えください。
・メールの件名を「創造の木へのメッセージ」として下さい。
【宛先】メコン・ウォッチ: event@mekongwatch.org
【締め切り】2013年12月12日(木)
(※1)事件の経緯と背景について、詳しくは『フォーラムMekong PDF版第3号(2013年8月発行):政治的強制失踪とは?―タイとラオスの誘拐事件に見る開発・人権問題』をご覧ください→ http://www.mekongwatch.org/PDF/FM-PDF-3.pdf
(※2)「参加型開発研修センター(PADETC)」のウェブサイト(英語)はこちら→ http://www.padetc.org
(文責 メコン・ウォッチ)