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ラオス・社会活動家誘拐>事件はアジア諸国の法制度の弱点を露呈している

メコン河開発メールニュース2014年12月15日


バンコク外国人記者クラブで発言するシュイメンさん(右端)

ラオスの社会活動家ソムバット・ソムポーン氏の誘拐事件発生から、本日12月15日でちょうど2年になりました。ソムバット氏の失踪によって、家族は計りしれない悲しみと不安を体験し、ラオス国内のNGOは「自分たちも同じ目に遭うかも知れない」と恐怖を感じながら活動を続けています。

この事件を一日でも早く解決するために、関係者が「ソンバット・イニシアティブ(SI)」というプロジェクトを立ち上げ、12月11日、タイ・バンコクの外国人記者クラブで会見を開きました。冒頭で、司会のフィル・ロバートソンさん(Human Rights Watch)が、「事件に関して、ラオス政府は、当初、監視カメラに映っている人物がソムバット氏であることを認めた上で、『捜査中で継続している』としていた。しかし、最近では、カメラの人物が氏であるかどうか疑わしいと言い出している」と後退するラオス政府の対応に懸念を表明した後、ソムバット夫人のシュイメンさんほか三名が、事件にまつわるさまざまな課題を指摘しました。以下に、発言要旨を紹介します(順番は実際の発言順とは異なります)。また、会見の模様は、以下で視聴できます(約1時間20分)。
http://www.youtube.com/watch?v=UJzZK5g_1qI&feature=youtu.be

ソムバット氏は、長年、ラオスの若者たちを対象とする開発教育に取り組み、その功績が認められ、2005年、「アジアのノーベル賞」と呼ばれるマグサイサイ賞を受賞しました。誘拐事件の経緯や氏の業績などについては、以下をご覧下さい。
http://sombath.org

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ウン・シュイメン(Ng Shui-Meng)さん(ソムバット氏夫人)
「ソムバットは生きているのか?」と問われるたびに、私は「そう思っています」と答えるしかありません。そう思わなければ、毎朝、起き上がることもできないのです。大切な人の安否すら知れない不確実さが、強制失踪の残酷さです。同じ境遇にあるアンカナーさんが力になってくれますし、ご協力下さるみなさんには深く感謝しています。今日、この席をお借りして、「ソムバット・イニシアティブ(SI)」プロジェクトの立ち上げをお知らせします。SIは、ソムバット事件の解決を目指すとともに、ソムバットが育んだ、「すべての人を包容し、末永く続く社会(inclusive and sustainable society」の理想を後の世代の人びとに伝える努力をします。現在、散在しているソムバットのスピーチ原稿などを集めて整理しています。SIを通して、若い人びとが刺激を受けてくれることを願っています。

アンカナー・ニーラパイチット(Angkhana Neelapajit)さん(強制失踪の被害者であるタイ人権弁護士ソムチャイ・ニーラパイチットさん夫人)
強制失踪はタイでも頻発しており、ソムバット氏や私の夫のケースは、アジア諸国の司法制度の弱点を露わにしています。失踪した人びとの家族には、事件の解決を求めるどころか、自分たちの身の安全のために名前を変え、身を隠さなければいけない人たちもいます。とりわけ、ラオスの被害者家族は孤立を強いられています。被害者の家族は、だれを責め、だれを許せばよいのかも分からないのです。

サム・ザリヒ(Sam Zarifi)さん(International Commission of Jurists=ICJ)
事件が未解決のまま二年目を迎えることはたいへん残念です。強制失踪はもっとも許しがたい人権侵害で、国家が関与している点が重大な特徴です。ラオスは、強制失踪に反対する国際条約に署名していますし、「捜査を継続している」とくり返すだけでは不十分です。ICJは、英国警察の元捜査官と共同で、ラオス政府がこれまで捜査の基本さえ実行していない可能性が高いことを示した報告書を発表しました。例えば、ソムバット氏の車両を検問した警察官の携帯電話の通話記録を解析すれば、事実解明につながる情報が得られるはずです。この事件は、解決可能な事件なのです。

マティルダ・ボグナー(Matilda Bogner)さん(UN High Commissioner for Human Rights)
強制失踪は、いかなる状況下でも許容されてはいけません。強制失踪はラオスでも頻発し、これまでも亡命ラオス人の受入れを政府と交渉していた人が政府関係者と外出したまま行方を絶ったり、平和的なデモに参加した学生が拉致される事件が発生しています。ソムバット氏の失踪事件はラオス国民に恐怖をもたらし、市民団体もきびしい状況下での活動を強いられています。政府は、インターネットの情報規制や市民活動への規制を強化する政令を発し、国内の人権状況はいっそう悪化しています。

(文責 メコン・ウォッチ)

 

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