ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > ラオス・王子製紙出資の植林事業>FSC認証が失効
メコン河開発メールニュース2015年7月9日
2015年5月26日、王子製紙が出資するOji LPFL社がラオスで実施している植林事業に関し、2013年に取得していたFSC認証【1】 の停止の措置が発表されました。
2014年の年次監査で同社に課せられていた是正措置要求に対応できなかったため、FSC認証の失効に至ったとみられます。年次監査では、以下の項目を含む8つの重大な是正措置要求(Major Corrective Action Requests)と、15の軽い是正措置要求(Minor Corrective Action Requests)が課せられていました。
【1】FSC認証とは、国際機関であるFSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)が、森林の環境保全に配慮し、地域社会の利益にかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材に与える認証。
【2】同植林事業については、1997年にBGA社がラオス政府とコンセッション契約を締結し、1999年に合弁企業であるBGA LPPF社が設立されました。2005年、王子製紙がBGA LPFLを買収し、Oji LPFLと社名が変更されています。
以下、企業による責任ある調達を促すためにメコン・ウォッチを含む日本のNGO6団体が立ち上げた「プランテーション・ウォッチ」のウェブサイトよりご紹介します。
2015年6月24日
プランテーション・ウォッチ
2015年5月26日、王子製紙が出資するOji LPFL社(Oji Lao Plantation Forest Company Ltd.)は、ラオスの植林事業に対するFSC認証の停止(terminated)の措置を受けました。
王子製紙は、ラオス政府との合弁事業としてOji LPFL社を立ち上げ、ラオス中部でユーカリ・アカシア植林を行ってきました。2013年8月に、22,308ヘクタールを対象に世界的な森林認証であるFSC認証を取得しました。
しかし、当初から先住民の権利侵害や1994年以降の天然林伐採など、Oji LPFLの植林事業には数多くの問題があることが指摘されてきました。しかし、監査機関であるSGS社がこれらの問題を指摘しないまま、同事業のFSC認証が認められました。これに対し、プランテーション・ウォッチでは、2014年3月にレポート「Analysis of FSC Certification of Oji LPFL 2014」を作成し、同社の植林事業がFSCの原則と基準に不適合であることを指摘しています。
2014年11月、SGSによる年次監査が監査機関の認定・監督を担うASI(Accreditation Service International)の同行の下で実施されることになり、同事業のFSC認証に疑問を持つ複数の市民社会組織や専門家が同社の事業の問題について指摘しました。プランテーション・ウォッチも、SGS社とASIに対して、上記レポート等に関する情報提供を行いました。年次監査の結果、Oji LPFLの事業に対して、認証基準への不遵守に対処するように是正措置が要求され、認証が一時停止(suspended)となっていましたが、半年の期限内に適切な是正措置が取られなかったと見なされ、認証が停止されることとなりました。
プランテーション・ウォッチ お知らせ「ラオスにおけるOji LPFLのFSC認証が停止」
http://plantation-watch.org/news/669
(文責 メコン・ウォッチ)