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ラオス・違法伐採>リーク文書によって明らかにされた違法伐採の現状

メコン河開発メールニュース2015年12月7日

国土の大部分が山地に覆われ、豊かな森林資源に恵まれているラオスにとって、木材および木材加工品の輸出は重要な産業です。また、ラオス政府は「森林戦略2020」を策定し、2020年までに森林被覆率を70%まで回復する目標を持っていますが、一方で、違法伐採による森林減少が深刻な問題となっています。

今回リークされた違法伐採と木材輸出に関する世界自然保護基金(WWF)の調査報告書は、中国とベトナムの投資による開発事業と違法伐採の関連性を指摘し、違法伐採による天然林の激減を警告しています。

以下、ストレイト・タイムズの翻訳記事です。

ラオスで森林の違法伐採が横行
リーク文書によって、中国やベトナムに大量に持ち出される木材の現状が明らかに

2015年10月25日
ストレイト・タイムズ
Nirmal Ghosh記者

世界自然保護基金(WWF)が作成した報告書がリークしたことで、ラオスにおける、未曾有とも云える規模の違法伐採の現状が明らかになった。法規制は、まったく効力を発揮していない。

例えば、2013年、ラオスから中国とベトナムに持ち出された木材は140万立方メートルにのぼる。これは、公式統計が示す伐採量の十倍以上だ。

また、昨年(2014年)、中国とベトナムの二カ国でラオスの木材輸出量の96%(価格換算)を占めたが、そのほとんどは天然材である。ラオスの産業植林では、高付加価値の硬質材を生産するには大きな限界がある。

「内部閲覧用最終ドラフト」と書かれた全106ページのWWF報告書は、研究者や社会活動家の間では話題になったが、一般のメディアはあまり取り上げていない。

しかしながら、その内容は驚くべきもので、ラオスの森林が略奪の対象となり、違法伐採が横行している様子が描かれている。

報告書の題名は「ラオスの違法伐採の規模と関連する木材国境貿易の評価(Assessment of Scope of Illegal Logging in Laos and Associated Trans-Boundary Timber Trade)」で、一週間以上前、ネット上に掲載され、おそらくはWWFの要請でいったん削除されたが、再び、別のサイトに掲載された。

報告書によれば、「ラオスにおける森林伐採は、最悪のシナリオのもとで進行しており、これは、2020年に向けて(政府が制定した)森林戦略が思い描く状態の真逆である」。

木材が持ち込まれた国々の報告に基づくラオスの木材製品の総価格は、ラオス税関の統計をもとにはじき出した木材製品の輸出額の何倍にものぼる。

さらに報告書は、森林管理局をはじめラオス政府の関係部局の取り締まりはほとんど効果がなく、違法伐採の規模からして、多数の重機を扱う大企業の仕業としか考えられないにもかかわらず、小規模な違反を摘発するのがせいぜいである、と述べている。

「そうした多数の重機は、通常、産業植林、道路、送電線、貯水池、鉱山の開発や地質調査といった目的で森林を伐採する際にのみ使用するものである」。

ラオスにおける鉱山、農業、森林、水力発電開発への中国とベトナムによる投資の劇的な増加との相関関係は明らかで、そうした開発事業に指定された土地の大半が森林である。

英国に本部を置くNGO、Environmental Investigation Agency(EIA)によると、「WWF報告書の内容は信頼できるもので、2007年以来「周辺で実施してきた一連の現地調査の結果を反映している」。

EIAのJago Wadley森林キャンペーン上級担当は、「ラオスの森林の未来は危機的だ。特別事業の名を借りた大規模な違法伐採が常態化し、汚職まみれの無法な企業がこれを実施している」と述べた。

WWF報告書は、ラオス政府に対して、今すぐ関係法を行使し、摘発に乗り出すべきだとしている。

また、「おきまりの」伐採を続けていれば、「天然林に生育する商業用木材が激減する事態は避けられない。すでに他の東南アジア諸国が経験したことである」と警告を発している。

報告書はさらに続けて、「同じ運命をたどらないために、ラオス政府は、製材目的の伐採割り当てが法律上の基本的な要件を満たすよう、一刻も早く行動を取らなければならない」としている。

ラオスは、他の国々と比べても不透明な、共産党一党独裁国家で、水力を資源にASEANの「バッテリー」を自称している。しかし、メコン河流域でダム建設を進めているため、流域国から不安の声があがっている。また、経済をはじめ全土で中国の影響がますます強まっている。

WWFにコメントを求めたところ、慎重な回答が戻ってきた。Lee Poston大メコン圏(GMS)報道部長は、電子メールで「この報告書は現在ドラフト段階で、さまざまな関係者と推敲作業を重ねている。そのため、現時点では、正式に公開できる状態にない」と述べている。


注:原文(英語)は、以下で閲覧可能
http://www.straitstimes.com/asia/se-asia/report-reveals-plunder-of-lao-forests

(文責・翻訳 土井利幸/メコン・ウォッチ)

 

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