ホーム > 資料・出版物 > メールニュース >ラオス・北部の洪水>中国投資のバナナ農園から農薬流出
メコン河開発メールニュース2016年9月5日
ラオス北部では、8月8日-15日頃に続いた大雨によって、洪水被害が起き、死者も出ています。ウドムサイ県でも、メコン河の支流ナムベン川が洪水しましたが、この洪水によって、バナナ農園からの農薬が流出し、問題となっています。
ウドムサイ県では2010年頃から中国企業の投資により、中国への輸出用のバナナの栽培が拡大していますが、大量の農薬や化学肥料の散布による土壌・水質汚染が深刻になっています。
メコン・ウォッチは、2013-2014年に、ウドムサイ県農林局とボケオ県テレビ局と共同で、輸出用バナナ栽培の影響についての調査とドキュメンタリーの制作を行いました。
ウドムサイ県のバナナ栽培に関するメコン・ウォッチのレポート(英文)とドキュメンタリーはこちらからダウンロード・閲覧できます。
■レポート「Impacts on Regional Land Use from Investment in Banana Contract Farming by Chinese Companies : Case Studies in Oudomxay Province, Northern Laos」
http://www.mekongwatch.org/PDF/BananaFarmingNorthernLaos-report.pdf
■ドキュメンタリー「ラオス北部のバナナ栽培:外国投資による換金作物栽培がもたらす影響」(ラオス語、日本語字幕付き)
https://youtu.be/jSU5x-Nrnfo
以下、洪水によるバナナ農園からの化学物質の流出に関する、ラオス語のニュースサイトの記事(http://www.tholakhong.com/2016/08/blog-post_96.html)の翻訳です。
2016年8月16日
ウドムサイ県は、洪水によって流出した殺虫剤・除草剤の調査を急いでいる。
現在、ウドムサイ県の農林局と資源環境局は、先週末の洪水によって流出した殺虫剤・除草剤の調査を担当者に急がせている。これらの農薬は、投資家がこの地域に植えたバナナに使用されていたものだ。
ウドムサイ県農林局長ブンリアン・ウォーラコット氏によれば、今月(8月)11日から連日大雨が降って以降、ナムベン川の水位が上昇し、ウドムサイ県のベン郡、フン郡では、住宅地、道路、農地は、広範囲にわたる深刻な洪水被害を受けている。今回の自然災害の被害において驚くべきことは、巨額の投資が行われているバナナ農園に使われていた農薬が大量に流出したことである。長期間にわたって、環境と住民の生活に深刻な被害をもたらすことのないよう、この危険な問題を早急に収束しなければならない。特に、土や沈殿物に付着した化学物質をどこに保管するのかについての調査に集中すべきだ。このような化学物質は、拡散したり、漏れ出したりした場合、魚が死んだり、その地域の住民の生活に悪影響を生じたりするため、非常に危険であるからだ。ただし、これまでのところ、その地域や周辺では、魚が死ぬといった現象は見られていない。いずれにしても、県の農業課は、その地域の地方当局と住民に対し、水の使用には注意するよう、特に清潔さと安全性が保証できない小川の水を飲むことは避けるように、という通達を出している。同時に、もし小川で魚が死んでいるのを見かけたら、ただちに当局や行政官に報告し、問題解決のための調査をさせるようにと呼びかけている。
ウドムサイ県天然資源環境局長のソムケオ・マニワン氏によれば、今のところ、流出した化学物質がどのような種類のものか、どのような危険性があるのか、どれほどの流出量なのかは分かっていない。なぜなら、これまで県当局は、県内のほとんどのバナナ農園の投資家が肥料を輸入する許可を得ていることは把握しているが、今回の自然災害が起こって初めて、化学物質が被害を引き起こすことを知ったからだ。また、どの部局がそのような農薬を輸出する許可を出しているのかは把握していなかったと言う。2日ほどで化学物質に関する調査の結果が明らかになるとのことだ。
(翻訳:滝口萌衣・東智美、文責:メコン・ウォッチ)