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タイ・政治的強制失踪>人権弁護士失踪事件の捜査打ち切り

メコン河開発メールニュース2016年10月17日

12年前に行方不明となったタイの人権弁護士ソムチャイ・ニーラパイチット氏の捜索打ち切りが伝えられました。南タイでテロリストとの関係を疑われ、警察官から拷問を受けたと訴えるイスラム教徒の弁護を担当していたソムチャイ氏は、2004 年 3 月 11 日に警察官と見られる4、5人の男たちに車に押し込まれるところを目撃されたのを最後に、行方が分からなくなっています。警察の関与が疑われる形で失踪したことから、この事件は「強制失踪」(注1)と見られています。

タイ当局は、犯人を発見できないために捜査を打ち切るとし、遺体が発見されていないために、ソムチャイ氏の死亡を証明できないことから、家族が彼に代わって申し立てを行うことはできないと通達しています。しかし、そもそも、国家権力が関与する強制失踪事件については、事件の証拠が警察組織等によって隠蔽されてしまうこと、(仮に被害者が殺害されていたとしても)遺体が見つからないことで、被害者の死亡を証明することが困難となります。タイ政府は2012年に「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」に署名しながら(注2)、今回のような通達を行ったことは、「強制失踪」の抑止を目指す国際的な流れに逆行するものです。

(注1:「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」では、強制失踪を「国の機関等が、人の自由をはく奪する行為であって、失踪者の所在を隠蔽すること等を伴い、かつ、法の保護の外に置くこと」と定義しています。)
(注2:タイは同条約に「署名」はしているが、「批准」はしていないため、国家として正式に同条約に拘束されることはありません。)

メコン・ウォッチでは、2013年5月に、ソムチャイ氏のパートナー、アンカナー・ニーラパイチット氏を招いて、タイとラオスの人権問題を考えるセミナーを開催しました。
このセミナーで、もう一つの強制失踪のケースとして取り上げたラオスの社会活動家ソムバット・ソムポーン氏も、2012年12月15日以降、消息不明のままです。
アンカナー氏に、2つの強制失踪事件と被害者の家族の想いについてお話いただいたセミナーの報告は、こちらからご覧いただけます。
http://mekongwatch.org/PDF/FM-PDF-3.pdf

以下、ソムチャイ氏の強制失踪事件の操作打ち切りを伝えるタイのインターネットニュースの翻訳です。

人権派弁護士の失踪事件 捜査打ち切りに

プラチャータイ
2016年10月13日
http://prachatai.com/english/node/6648

人権派弁護士の失踪事件に関して、当局は一人も被疑者を起訴することなく、12年間に及ぶ捜査を打ち切った。

2016年10月12日、国家人権委員会(NHRC)のアンカナー・ニーラパイチット委員は、特別捜査局(DSI)から文書を受け取った旨を自身のFacebookに投稿した。

文書は、人権派弁護士であり彼女の夫でもあるソムチャイ・ニーラパイチット氏の強制失踪事件に関する、捜査の打ち切りを通達している。

文書によると、当局は、犯人を発見できない為、この事件の捜査の打ち切りを決めたという。

アンカナー氏の投稿:「DSIは、11年3ヶ月の月日をかけてソムチャイ・ニーラパイチットの強制失踪の捜査をしたが、犯人を発見できない為、捜査を打ち切るべきだという結論に至った。今回のソムチャイ氏の場合のように、十分な証拠が得られない事件に対してDSIはなす術がないと言うのなら、国家による拷問・強制失踪・殺人・誘拐事件に対して、彼らはどう対応するというのか?」

12年前、ソムチャイ氏は行方不明になった。当時彼は、ナラティワート県チョーアイトン地区のナラティワート・ラチャナガリンドラ軍事基地で発生した武器の盗難事件の容疑がかかっている深南部分離派のイスラム教徒の弁護の最中であった。

2004年3月12日、彼は行方不明になった。それは、彼の依頼人が、犯罪抑圧部局(CSD)による拷問を受け、不当な自白を強いられた事を明らかにした数日後のことである。彼は、警察官5人の手によって行方不明になったが、ソムチャイ氏の依頼人によると、そのうちの数人は(その依頼人に)拷問を行った人物だという。

ソムチャイ氏の家族の法的闘争は11年間に及んだが、2015年12月タイ最高裁判所は、ソムチャイ氏の強制失踪への関与で告訴されていた警察官5人の、控訴裁判所による無罪放免の判決を追認した。

この事件の最有力の証拠とされる警察官5人の通話履歴が証拠として不十分なこと、及び目撃者の証言が信頼できず矛盾していることが、その理由である。

また最高裁はニーラパイチット一家に対し、ソムチャイ氏の代理として共同原告になることはできないとの裁定を下した。理由として、彼が殺害されたか、重傷を負わされたために、彼自身が訴えを起こすことが不可能である、とは断定できないことを挙げている。

つまり裁判所は、彼が死んだという判決を下すには、強制失踪の被害者の遺体を証拠として求めているのである。タイは未だに強制失踪が違法であるとしていない。これは、現行法の下では、遺体が発見されている場合にしか、殺人事件として認知されないということでもある。

(翻訳:滝口萌衣/インターン、文責:メコン・ウォッチ)

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