ホーム > 資料・出版物 > メールニュース >ベトナム・原発輸出の準備だった?バックアイ揚水発電所は中止すべき <第1回>ベトナムの原発計画が止まる!
メコン河開発メールニュース2016年11月30日
米国大統領選挙の結果が世界を駆け巡ったのと同じ日に、日本とベトナムにとって非常に重要なニュースが報道されました。
「日本受注のベトナム原発計画白紙 財政難理由、政権輸出戦略に打撃(11/9共同通信電)」
(11月16日閲覧)
日本は官民をあげてベトナムへの原子力発電所の輸出を進めてきましたが、原子力発電所建設計画(ロシア支援の原発を含む)の白紙撤回をベトナム共産党が決め、11月22日には国会が正式に承認しました。ベトナム側が撤回の理由にあげたのは、天然ガスの価格の低下による原子力発電の経済的な競争力低下、ベトナムの財政状況の悪化ですが、加えて南シナ海で中国と領有権を争う島々と予定地のニントゥアン省が近く、戦略的に重要であることも示唆されています。
「ベトナム、原発白紙へ決議案提出 「コストや環境悪化懸念」(11/11共同通信電)」
(11月16日閲覧)
下記の報道にあるように、ベトナムの対外債務は同国国会が定めた基準であるGDPの65%以下を超えるおそれがあり、懸念が高まっています。
ベトナムの公的債務の増加率は年+18.4%、GDP伸び率の3倍
Viet Jo 2016/10/31 16:19 JST配信(11月16日閲覧)
ベトナムの原発輸出については、メコン・ウォッチはFoE-Japanを始めとした様々な方たちと協力し、反対してきました。
原発輸出について
http://www.mekongwatch.org/report/vietnam/npp.html
http://www.mekongwatch.org/report/tb/nuclear.html
私たちは、原発輸出関連で今年の5月ごろからベトナムの別の事業に注目しています。それが、バックアイ揚水発電所建設計画です。ベトナム南部ニントゥアン省に計画されている揚水発電所と送電線等関連施設の建設には、国際協力機構(JICA)が協力準備調査(有償資金協力)を進め、円借款の供与を予定しています。私たちはこの事業が、ベトナムへの原発輸出を進めるためのODAによる周辺インフラ整備なのではないかとの懸念を持ち、JICAと何度か議論を行っています。
メコン開発メールニュースでは、5回にわたり、私たちがこの事業で問題と考える点についてお伝えしていきます。
(文責:木口由香/メコン・ウォッチ)