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ベトナム・原発輸出の準備だった?バックアイ揚水発電所は中止すべき

<第5回>日本からの借入が圧迫するベトナム電力公社(EVN)の経営

メコン河開発メールニュース2016年12月6日

ベトナムの公的累積債務は「<第1回>ベトナムの原発計画が止まる!」で紹介した通り、同国国会が定めた基準であるGDPの65%以下を超えるおそれがあり、ベトナム国内外で懸念が高まっています。2007年に現地で報道されたバックアイ揚水発電所の建設費は780億円。このような大規模事業への円借款の供与は、同国の債務状況のさらなる悪化を招く可能性があります。

同国の対外累積債務残高は2015年末で約12兆3000億円(VETO JO 2016/10/31報道)、外務省のODA白書によると、円借款の累計額も2014年に2兆3938.89億円に達しています。順調に経済発展をとげた隣国タイへの累積円借款額は、2012年度までで2兆1986.21億円で、タイは返済を続けています。前回お伝えしたように、GDPで見るタイの経済規模はベトナムの2倍です。通貨の変動を考慮しても、この累積額はベトナムの経済規模にとって大きすぎないでしょうか。しかも、この円借款の中で、約6千億円(契約ベースの金額)がベトナム電力公社(EVN)へ供与されたものなのです。ベトナム向け円借款のうち、4分の1がEVNへ流れている、ということになります。

ベトナムのTUOI TRE NEWSは2016年11月7日、2016年の上半期、EVNが営業では収益を上げながら巨額の損失を出していると報道しました。

http://tuoitrenews.vn/business/37883/vietnam-electricity-reports-massive-losses-debts-in-h1-2016

(11月16日閲覧)

この報道によると、EVNの上半期の収益は、前年同期比17%増の131兆ドン(58億5千万米ドル)でありながら、6ヵ月間の財務報告では93億ドン(4,152万米ドル)の赤字だといいます。その主な原因は、円高にあると関係者が述べています。EVNだけでなく子会社も円ベースでの債務が多く、それが経営を圧迫しているというのです。EVNは政府に値上げを申請しようと考えているようですが、経済の専門家は為替差損を被ったのはEVNだけではなく安易な値上げは認められないと批判しています。同社の負債は円高や燃料調達のため、395兆ドン(176.3億ドル)の金融ローンを含む475兆ドン(212億1000万ドル)に急増しているとのことです。

バックアイ揚水発電所は、立地選定、コスト計算に不明瞭な部分があるだけでなく、過大な電力需要に基づく過大な投資の一つとなるでしょう。現状でのこれ以上のベトナムへの借款の供与は、現在においては電力の値上げを招き、将来世代へは本来必要なかった投資の返済の重荷を負わせることになります。

また、無責任な貸付は、日本の国民のためにもなりません。日本政府は、2003年からの13年間で円借款の債務帳消しを2兆2848.29億円行っています。対象国のほとんどはアフリカ諸国ですが、将来ベトナム政府が返済不能に陥る、または、国民参加のない電力開発計画で発生したEVNの債務を不当なものと認定し支払いを拒否した場合、そのツケは日本国民が負うこととなります。これ以上の債務をベトナムに負わせることは、両国の国民のためになりません。バックアイ揚水発電所建設への円借款供与は見送るべきです。

(文責:木口由香/メコン・ウォッチ)

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