ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > カンボジア・NGO法>業務停止NGO、活動を再開
メコン河開発メールニュース 2018年4月20日
カンボジアではここ数年、政治・社会状況に劇的な変化が起きています。
同国では昨年、有力メディアが閉鎖され、前回選挙で約44%の得票率を得た最大野党も解党されました。これは、7月の国政選挙で敗北を恐れる同国政府の選挙に向けた動きだと考えられています。国際的な人権団体は「カンボジアの民主主義は死んだ」と評しています。土地所有の権利や環境を守ろうという市民の行動も大きな制限を受け、土地問題の解決を訴える住民リーダーや環境活動家が逮捕されているほか、NGOの活動も大きな制限を受けています。メコン・ウォッチでは2017年12月13日に、カンボジアの大手製糖企業の事業で土地収奪の被害にあったと訴える住民を支援してきたNGO、Equitable Cambodia (EC)の活動停止と、それを解くようカンボジア政府に呼びかける欧州連合(EU)についてのニュースをお伝えしました。
カンボジア・NGO法>NGOの活動休止を解くようEUが呼びかけ(2017年12月13日)
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20171213_01.html
ECは2017年9月末に「結社およびNGOに関する法」および団体規約に不遵守があったとの理由で、30営業日の活動停止を内務省から命じられました。その後明確な指示がなく中途半端な状態におかれ、今年2月になってようやく活動を再開しました。
Equitable Cambodia(活動)再開を許される
(プノンペン・ポスト2018年2月26日記事)
https://www.phnompenhpost.com/national/equitable-cambodia-allowed-reopen
同団体は、EUが解決を求めていた製糖企業による土地収奪の件で、影響住民の側に立ち、補償のための調査などに協力していました。EUだけでなく、カンボジア政府の国土整備・都市化・建設省も、ECの活動再開を求めていました。
ECはようやく活動を再開できましたが、活動停止の理由に「結社およびNGOに関する法」の適用が含まれていたことは大きな問題です。この法が成立した際、カンボジア政府の恣意的な利用が国内外で強く懸念されていたものです。
カンボジア・NGO法>違憲の訴えを退け、施行へ(2015/8/20)
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20150820_01.html
この時、法案に反対するキャンペーンを行なっていたグループの一つであるカンボジア人権行動委員会の事務局長は、「法律が前に進むのを止めることはできない。しかし、我々はこの法律の施行を監視し、もしも基本的人権や人びとの自由に影響があれば、政府と我々が選挙によって選ぶ代表者に改正を求めていく」
とインタビューに答えていました。まさに懸念どおりになったのですが、最大野党が解党された今、カンボジア国民が選挙によって代表者を選ぶ権利は著しく侵害されており、市民がカンボジア憲法と矛盾する法を民主的な手段で改正する道は閉ざされた、と言わざるを負えない状況です。また、このような政治状況は、乱開発から環境を守る、あるいは企業の土地収奪で困窮化するカンボジアの人々の状況を改善しようとする市民活動に大きな影響を与えています。
4月8日、河野外務大臣はカンボジアを訪問しています。また、カンボジア野党元党首の来日もあり、日本の各紙で報道されています(2018/04/17 閲覧)。
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180409/k00/00m/030/040000c
朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASL4F5JLXL4FUHBI024.html
共同通信
https://this.kiji.is/357474121908700257?c=39546741839462401
(文責・翻訳 メコン・ウォッチ)