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【再発防止要請】JBIC:住民の異議申立書を放置するな
 機能不全を招いた環境社会ガイドライン運用体制に厳重抗議

メコン河開発メールニュース2018年7月23日


国際協力銀行(JBIC)が、住民から届いた異議申立書に対応せず、現地事務所で埋没させていたことが明らかになりました。大変由々しき事態であり、再発防止要請書をNGO3団体−メコン・ウォッチ、国際環境NGO FoE Japan、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)−で提出しました。

少し長いですが、経緯についても記してありますので、ご覧ください。

今回、たまたま現地NGOが住民から情報を得て、それをメコン・ウォッチも知るところとなり、JBICに確認を促したため埋没が発覚しました。しかし、JBICの事業は世界中で展開されており、そのすべてをNGOが監視できているわけではありません。他の案件でも同様のことが起きているのではないかという疑念を抱かざるを得ず、JBICには、詳細な原因究明調査・公開、および、再発防止策の作成・徹底を要請します。

再発防止要請書のPDFはこちら
http://www.mekongwatch.org/PDF/rq_20180713_JBIC-GL.pdf

【再発防止要請】
機能不全を招いた環境社会ガイドライン運用体制に厳重抗議
原因究明調査・公開、および、再発防止策の作成・徹底を


2018年7月13日
国際協力銀行 代表取締役総裁 前田匡史 様

私たちNGOはこれまで、貴行が融資検討中の、もしくは、融資を決定した開発事業によって、地域住民の生活・環境が悪化することのないよう、提言活動を続けてきました。なかでも、異議申立手続を含む『環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン』(以下、ガイドライン)は、地域に対する重大な環境社会影響の回避と軽減を確保するための極めて重要なツールであるとの認識の下、その規定内容、および、運用状況の向上・改善のため、ガイドラインの一連の策定および改訂プロセスに参加してきました。

このたび、貴行が2018年6月15日付で公表された「環境ガイドラインに関する異議申立書の当行における回付漏れについて」【1】に係るケースにおいて、@住民から提出された書簡を異議申立書であると貴行が認識できず、環境ガイドライン担当審査役(以下、審査役)に回付していなかったこと、A住民から寄せられた被害情報等に対して、貴行がガイドラインの「モニタリング」規定に基づく適切な対応すら取っていなかったことは、ガイドラインの機能を二重に損ねた大変憂慮すべき事態だと私たちは考えます。地域住民の声を蔑ろにした今回の貴行によるガイドラインの運用体制・姿勢に対し、私たちは厳重に抗議するとともに、早急な原因究明の調査とその公開、また、具体的な再発防止策の策定とその実施の徹底を強く要請します。

@異議申立書が環境ガイドライン担当審査役に回付されなかった件

今回の異議申立てのケースでは、貴行が融資するベトナム・ハイフォン石炭火力発電所事業について、2017年11月に住民が審査役宛の異議申立書を貴行ハノイ駐在員事務所に郵送で提出しました。しかしながら、審査役が同申立書に係る受理通知を2018年5月23日付で発出するまでに約半年がかかっており、「受領後、原則として5営業日以内に」受理通知を出し、予備調査を開始するという異議申立手続の規定が守られなかった他、異議申立手続の基本原則である「効率性」と「迅速性」を大きく損ねる結果となりました。

そもそも、半年を経て、ようやく審査役が受理通知の発出に至ったのも、同申立書の提出後、何も対応がなされないことを疑問に感じた現地から日本のNGOに相談がなされ、2018年5月初旬に日本のNGOが審査役に対して申立書の受領確認を促したためでした。審査役が確認した結果、貴行ハノイ駐在員事務所が異議申立書を審査役に回付していなかったことが判明したわけですが、NGOからの指摘がなければ、住民の同申立書は現在も貴行ハノイ駐在員事務所で埋没していた可能性は非常に高く、誠に遺憾としか申し上げようがありません。

A寄せられた被害情報等につき、ガイドラインの「モニタリング」規定に基づく適切な対応が取られなかった件

貴行のホームページでの説明【2】によれば、「ハノイ駐在員事務所において、受領した文書が異議申立書であるとの認識に至らず」審査役に回付されなかった点のみが言及されていますが、仮に異議申立書であるとの認識に至らなかったとしても、貴行にはガイドラインの「モニタリング」規定に基づく適切な対応を取る責任があります。すなわち、「第三者等から、環境社会配慮が十分ではないなどの具体的な指摘があった場合には、当行は、その指摘を借入人に伝達するとともに、必要に応じて、借入人を通じプロジェクト実施主体者による適切な対応を促す。プロジェクト実施主体者が対応するに当たっては、透明でアカウンタブルなプロセスにより、具体的な指摘事項の精査、対応策の検討、プロジェクト計画への反映がなされることを当行は確認する」という規定です。

しかし、本件につき、2018年6月15日に貴行担当部署から日本のNGOに面談を通じてご説明いただいた内容は以下のとおりであり、貴行の対応が異議申立手続だけでなく、ガイドライン本体の規定を遵守する意思すら欠いていたことは明らかです。
・住民から文書が届いた後、貴行ハノイ駐在員事務所内でその報告はあったものの、本店には報告されず、住民から懸念が寄せられたこと自体についても本店は知らなかった。
・住民から文書が届いた後も、貴行ハノイ駐在員事務所では、事業者への確認などの対応は何も取られていなかったことを本店で確認した。

ハイフォン石炭火力発電所事業については、2016年5月のNGOと貴行担当部署間での面談を皮切りに、両者で継続的な意見交換をしてきた案件である他、大気汚染等の環境被害について報道がなされており【3】、貴行内でも課題のある案件として認識されていたはずです。それにもかかわらず、今回、住民から文書で指摘された問題点(被害状況等)につき、貴行がガイドラインに基づいて対応すべきところ、貴行本店にすら報告がなされず、何ら対応がなされていなかったことは、大変由々しき事態であると考えます。


今回の事態について、貴行はホームページ上で、貴行ハノイ駐在員事務所において、現地語で書かれた異議申立書の内容確認が不十分であったことが原因で、異議申立書であるとの認識に至らず、同文書が審査役へ回付されなかったと説明しています【4】。また、今後、貴行の他事務所も含め全行的な受領文書の内容確認の徹底を通じ、再発防止に努めるとされており、何らかの対策を講じようとしている貴行の姿勢については歓迎されるべきものです。しかし、ただ単に、文書の内容確認を徹底するだけでは、本件のような事態の再発を防止するには不十分であると私たちは考えます。

「現地語で書かれた異議申立書の内容確認が不十分であった」という点については、世界各地で業務を行ない、少なくとも現地の公用語は理解できるであろう現地スタッフを抱えている貴行において、あまりにもずさんな業務実態を露呈するものです。また、住民の懸念や苦情について、貴行内の担当者間で基本的な情報伝達がなされていなかった点も業務上の深刻な過失と言えます。こうした状況は、貴行が日頃から住民を軽視、もしくは、ガイドライン/異議申立手続を軽視している顕れと捉えられてもおかしくなく、貴行のガイドライン/異議申立手続の運用体制・姿勢に大きな疑問を生じさせるものです。

大変遺憾なことに、今回のケースでは約半年間、何ら対応が取られなかったことから、異議申立てを行なった当該住民らが貴行、および、ガイドライン/異議申立手続に対する信用を失ったであろうことは否めません。また、今回の事態が外部からの確認が難しい貴行内の業務上の過失によって生じた問題である以上、他の案件でも書簡であれ、口頭であれ、住民や現地NGOの声が埋没したままのケースがあるのではないか、つまり、今回起きたような貴行のガイドラインと異議申立手続の機能不全の状態がより広範囲で起きているのではないかという疑念を抱かざるを得ません。

現地の住民・NGOは当局等から監視・脅迫・嫌がらせ・不当逮捕など深刻な人権侵害を受ける可能性があるなか、事業に対する懸念や反対の声をあげていることも少なくありません。今回はベトナムの案件でしたが、そうしたリスクを抱えながら、貴行の環境社会セーフガード政策を通じて問題解決の糸口を探ろうと声をあげている住民・NGOの状況を鑑みれば、今回のようなガイドライン/異議申立手続の機能不全はあってはならないことです。

貴行はまず、有効な再発防止策の策定に向け、そして貴行、および、ガイドライン/異議申立手続に対する信用回復のためにも、本件が発生した詳しい経緯・背景も含め、さらなる原因究明と実態の調査を行なうべきです。また、外部からの確認が難しい今回のような貴行による業務上の過失に関し、貴行の十分な説明責任を果たすためにも、同調査結果は公開されるべきです。さらに、今後、ガイドライン/異議申立手続の機能不全を回避するため、住民・NGOなど第三者からの情報に係る適切な管理・報告体制を含む、具体的な再発防止策の策定・公開と実践に早急に取り組んでいくべきです。

再発防止策としては、住民・NGOから寄せられる情報・意見に対する返信を原則とすることも、一つの具体策として提言します。ケースにより回答の内容や程度に差は出るにせよ、最低限、受け取った旨は連絡すべきです。今回のような地域住民など「ステークホルダーからの意見への対応」の問題について、私たちはガイドライン改訂(2009年)プロセス時にも貴行と議論をしました【5】が、その際は、貴行が運用改善に努める【6】とし、NGOが提言した「プロジェクトの影響を受ける地域住民や現地NGOからの意見や懸念が表明された場合には、事業者の対応やこれに対するJBICの評価について回答するなど、適切な対応を取る」という文言は、改訂ガイドライン(2009年)に反映されませんでした。私たちは、貴行が当時の改訂議論も振り返りながら、再発防止に向けた取組みを進めることを 要請します。

以上


【1】国際協力銀行ホームページ2018年6月15日お知らせ「環境ガイドラインに関する異議申立書の当行における回付漏れについて」
https://www.jbic.go.jp/ja/information/news/news-2018/0615-011113.html
【2】脚注1に同じ
【3】The New York Times, 2015年12月11日”China’s Emissions Pledges Are Undercut by Boom in Coal Projects Abroad”
https://www.nytimes.com/2015/12/12/world/asia/chinas-emissions-pledges-are-undercut-by-boom-in-coal-projects-abroad.html
【4】脚注1に同じ
【5】ガイドライン改訂検討に係る論点整理
(https://www.jbic.go.jp/wp-content/uploads/page/2013/08/523/08_01.pdf) p.17および、 国際協力銀行(国際金融等業務)及び日本貿易保険における環境社会配慮確認の ためのガイドライン改訂に関するコンサルテーション会合(第8回)(2008年7月 3日開催)の会議の模様(https://www.jbic.go.jp/wp-content/uploads/page/2013/08/523/08_03.pdf)p.3〜p.15等を参照
【6】ガイドライン改訂の方向性(https://www.jbic.go.jp/wp-content/uploads/page/2013/08/523/11_12_02.pdf) p.7を参照


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(文責/メコン・ウォッチ)

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