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タイ>「行方不明」の電力開発計画(3)蓄電池を併用しても太陽光がもっとも安価

メコン河開発メールニュース2025年10月24日

前回、エネルギー、知識、コミュニケーション分野で活動する組織や、様々なセクターのネットワーク、計13組織の集まったプラットフォームであるJustPowの発信した情報を中心に、タイの電力開発計画(PDP)草案策定の動きや、市民の反応をお伝えしました。
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20251023_01.html

タイの電力については、ブルームバーグのリサーチ部門であるブルームバーグNEF(BNEF)が今年5月に分析報告書[1]を発表していますが、それによると、すでに太陽光がもっとも安価な新規の大量電源で、そこに蓄電池を併用したとしても、すでに新規火力より安価という結果になっています。また、PDP2024(草案)でガスタービン複合サイクル発電(CCGT)の拡大が計画されていますが、既存の火力発電容量と、輸入LNGへの依存度が増すことを勘案すると、その拡大は電力消費者にとり重い費用負担であり、火力を増やすのではなく、クリーン電源の普及に合わせた段階的なフェーズアウトの検討が必要だ、との分析がなされています。

以下に該当部分を要約で紹介します。

・タイでは、大規模(ユーティリティ・スケール)太陽光が新規の大量電源としてすでにもっとも安価である。
新規の大規模太陽光の均等化発電原価(LCOE)は2024年(実質ベース)、33〜75ドル/MWhだった。一方、新規のガス・タービン複合サイクル(CCGT)は79〜86ドル/MWhで、新規の石炭火力は74〜96ドル/MWhだった。太陽光は、固定価格買取制度が普及を後押しし、普及にともなう設備費の下落や国内製造力の向上でLCOEが下がった。火力に比べ今後ますます有利だろう。

・陸上風力は、2030年までに火力と競合できる。
新規の陸上風力のLCOEは、2024年(実質ベース)で75〜166ドル/MWhだった。国土の大半で風速が不足し立地が限られるが、2030年までには新規石炭火力と競合できるだろう。

・太陽光に蓄電を併用しても、すでに火力より安価である。
天候に左右される太陽光の弱点は、蓄電で補える。タイでは新規の大規模太陽光に4時間蓄電の貯蔵を併用しても、すでに新規火力より安価である。蓄電池および太陽光部品の価格は低下している。蓄電併用型太陽光のLCOEは2030年までに44〜80ドル/MWhに、2050年までには29〜57ドル/MWhになるだろう。陸上風力と4時間蓄電との併用も2040年までには一段と新規火力と競合できるようになっているだろう。LCOEは2030年までに44〜80ドル/MWhに、2050年までに62〜80ドル/MWhになると予測される。

・新規太陽光は、既存のガス火力よりすでに安価である。
新規陸上太陽光のLCOE(2025年で47ドル/MWh)は、既存のガス火力の短期限界費用/SRMC(74ドル/MWh)より低く、既存の石炭火力のSRMC(54ドル/MWh)よりやや低い。ファーム型接続の確保された蓄電併用型太陽光をみても、LCOEは2026年までにガスのSRMCより低くなる。新規風力のLCOEも2034年までに既存のガス火力の運転費用を下回る。石炭火力とガス火力は今後、燃料価格が上昇する可能性があり、そうなれば再エネの経済性がさらに優位になる。


[1]BNEF. (May 19, 2025). Thailand: Turning Point for a Net-Zero Power Grid.
https://assets.bbhub.io/professional/sites/44/19-05-2025_Thailand_Turning-Point-for-a-Net-Zero-Power-Grid.pdf

(文責:メコン・ウォッチ)

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