メコン河開発メールサービス 2000年12月18日
環境ODAとして日本の円借款とアジア開発銀行の融資で建設が進められているタイ・サムットプラカン県の汚水処理プロジェクトの見直しを訴え続けている地元住民グループの代表者らが、12月初めに来日し、10日間にわたって、一般市民、国会議員、日本政府などに問題への理解と解決を求めました。
来日したのは住民代表のダワンさんと、バンコクのNGOであるTERRAのスタッフのティッティさんの2人です。2人は、円借款を担当する国際協力銀行の新しい環境ガイドラインについて議論する東京での国際シンポジウムに出席したほか、大阪ではAMネットワークとODA改革ネットワークの、また福岡ではADB福岡NGOフォーラムのそれぞれ協力を得まして、市民向けに講演を行ないました。その一方で、公共事業チェック議員の会の3人の衆・参議院議員と個別に面会して、問題の解決に向けた働きかけと議員団による現地視察を依頼しました。また、円借款を担当する国際協力銀行、外務省、それにアジア開発銀行を担当する大蔵省の課長・課長補佐らとの会合を持ち、現地住民の声をほとんど聞かずに進められたこのプロジェクトへの融資を見直すように強く求めました。
特に実施機関である国際協力銀行との会合は4時間に及びました。その中で、国際協力銀行が、プロジェクトが漁業にもたらす影響について漁業局が行なった調査の存在を知らなかったり、タイ下院の統治委員会が事業を遅らせて調査をやり直すことを決議したことについても誤った情報を持っていたことがわかりました。タイから来た2人は、1つ1つ問題の根拠を資料を引用しながら説明していたにも関わらず、国際協力銀行側は「タイ政府や日本政府がやることが全て間違っていると思っているのなら、議論するのは無駄」などと語気を強める場面も何度か見受けられました。
二人は、「日本政府や国際協力銀行の反応は予想通りで特に失望も驚きもない。ただ市民や国会議員にこの問題を知ってもらえたのは収穫だし、生活がかかっているのだからこれからも闘っていくしかない」と話していました。
なお、このプロジェクトに関する詳しい情報は、以下のページをご覧下さい。