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メコン河開発メールサービス 2000年12月26日
環境ODAの名のもとで融資されたタイのサムットプラカン県汚水処理プロジェクトをめぐって、2年間抗議を続けた住民たちがついに強硬手段に出ました。12月24日に建設現場へ通じる唯一の道路を占拠し、環境への悪影響や汚職の疑惑が解決するまで建設を一時中止するよう強く求めています。このプロジェクトはアジア開発銀行と日本の円借款によって建設が進められているもので、開発プロセスの不透明さと環境影響調査の不在が大きな問題となっています。今月初めには以下の記事に登場する住民グループのリーダの1人ダワンさんが日本を訪れ、国際協力銀行や日本政府、国会議員にこの問題の解決に向けた協力を訴えたところです。
このプロジェクトの問題については、以下のページをご覧下さい。
以下は12月25日のバンコクポストの記事を、土井利幸さん（メコン・ウォッチ協力者/ADB福岡NGOフォーラム）が翻訳して下さいました。
Bangkok Post, Dec. 25, 2000
アンチャリー・コングルット
昨日朝、クロンダン区で行われている汚水処理施設の建設に反対する住民が建設現場に押しかけ、環境への悪影響や不正の疑惑などの問題が解決するまで施設の建設を中止するよう申し入れた。住民約500名は警官隊の停止線を突破、建設現場に通じる唯一の道路を占拠し、全ての作業を中断させることに成功した。武器を持たない警官隊約100名による制止はいとも簡単に振り切られたが、衝突には発展せず、けが人も出なかった。
反対住民は、二年間にわたる反対運動で忍耐の限界に達したと語った。「私たちは建設現場を占拠するつもりです。パクムンダムの反対運動と同じです。違いは、私たちの我慢が限界にきていることです。」住民リーダーのダワン・チャンタラハサディー氏はそう述べた。反対住民は、政府がクロンダン区を漁業保護地域に指定し、漁業と関連産業に影響を与える大規模開発計画を中止するよう要請した。
ダワン氏はまた、公害管理局が建設計画の環境影響評価を行い、公聴・討論会を開き、その模様をテレビ中継するように申し入れた。当初チャオプラヤ河両岸の二箇所に分けて施設を建設することで計画が始まった時には調査が行われたが、二つの施設が一つに統合される変更が加えられて以来、新たな調査は行われていない。建設計画を監督する水質管理局のユワリー・インナ局長は、同局が反対住民の要求を検討すると語った。
しかしユワリー氏は、不正疑惑については汚職抑制や司法上の手順に従って立証されなければならないことを強調した。「主張するだけでは、政府に計画の中止や停止をさせる根拠にはならない。不正を突くのなら、そこに焦点を当てるべきだ。疑惑だけで建設計画がもたらす恩恵を無駄にするわけにはいかない。」
この汚水処理施設が完成すると東南アジアで最大規模となり、サムットプラカン県の工場や家庭から排出される汚水を日量最大50万立方メートルまで処理することが可能である。同県の水質汚染は危機的な状況に達している。建設計画は約30%完成しており、2002年初頭に稼動予定である。建設計画に支障が生じると政府には制裁金を支払う義務が生じる、とユワリー氏は語った。
二年間にわたる反対運動の過程で、住民は複数の関連機関に対して住民側の様々な主張を検証するように働きかけてきた。これには、国家汚職抑制委員会や上院環境委員会のほかに、海外の融資機関であるアジア開発銀行（ADB）や日本の国際協力銀行（JBIC）がある。
「不正疑惑」とは、主に20億バーツをかけた土地取得と建設地の変更の問題である。このため、建設費用は130億バーツから230億バーツに上昇した。地元選出の国会議員ワッタナー・アサワハメ氏を含む数人の政治家が、建設地を売却した企業に出資している。また、建設を受注した企業には政治家とのつながりをもつものが多く、工業大臣で国家開発党幹事長のスワット・リプタパロップ氏一族が所有する企業も含まれている。