メコン河開発メールニュース 2002年9月24日
日本の円借款とアジア開発銀行(ADB)の融資で建設が進められているタイのサムットプラカン(クロンダン)汚水処理プロジェクトについての最新情報です。
タイの国家汚職防止委員会が財政支援した調査によって、汚職に事実上のクロ裁定が出されたようです。以下、英字紙ネーションの記事の翻訳です。
もし、これが事実だとすれば、日本のODAが汚職プロジェクトに使われたことになります。新聞記事で取り上げられた調査報告書を入手して、続報をお伝えしたいと思います。
なお、このプロジェクトに関する問題点につきましては、サムットプラカン汚水処理プロジェクトに詳細が掲載されています。
by Piyanart Srivalo、ネーション
2002年9月20日
政治家、ビジネスマン、それに官僚が共謀して、クロンダンの汚水処理、バンパコンダム、それにノングハオ空港プロジェクトから10〜20%の上前をはねていたー昨日(9月19日)発表された調査結果はそう報告した。
この調査は、3つのプロジェクトにおいて疑念を持たれていた汚職を調査したもので、Pasuk Pongpaijit博士、Sangki Piriyaransan博士、Nuannoi Trirat博士、その他の専門家によって行なわれた。国家汚職防止委員会が財政支援をしたとPrasit Damrongcha委員長は述べた。
研究者たちは、ターンキープロジェクト(注)のために政府が書いた契約の終結を求めた。こうした契約は汚職を引き起こし、民間セクターへ支払う補償という点で、国家に莫大な負担をかけていると述べている。
研究者たちは、政治家、ビジネスマン、それに官僚が共謀して、多くの手段によって3つのプロジェクトを利用したことを確認した。
例えば、高官たちは建設会社の株式を所有していたか、もしくは創立者の一員であることを隠して会社を設立したようである。
これらの建設会社は、ある省のある局の局長や国有企業の高官の座を「買う」ことによって、入札プロセスに不正に参加していたようだ。
これら3つの当事者はまた、入札の実施と政府機関への土地の売却を行なうために建設会社、顧問会社、建築資材供給会社、それに不動産会社を共同で設立した。
官僚や政治家は罰せられないための法の穴に気付いていたので、3つの当事者による共謀は汚職につながった。
研究者たちは、ターンキープロジェクト(プロジェクトを政府に引き渡す前に、プロジェクトのオーナーが設計と建設を行なう)は迅速に完成することができるとは言っても、その初期段階で詳細な計画がないようなプロジェクトには、汚職は必然的に宿っているとしている。
顧問会社を選択することは、汚職に弱いプロセスにおいてはもう1つの重要なステップである。というのも、こうした企業は、価格とプロジェクトの設計を評価するからである。政治家はまた、より多くの資金を承認したり、あるいは実施可能性調査の参照や環境影響アセスメント(EIA)の実施もなくプロジェクト地を変更したりすることによって、汚職の範囲を拡大することを助けている。
(注)ターンキープロジェクト:エンジンをかけるためのカギを回す段階まで面倒をみることからその名前がついた。すなわち、落札企業は、立地、設計、建設の全てを行なって、発注元の政府機関に引き渡す。クロンダンの汚水処理プロジェクトの場合は、そのプロセスで、汚職によるプロジェクトサイトの変更が行なわれたと言われている。