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タイ汚水処理>『亡国の計画』住民運動リーダーらが出版
メコン河開発メールニュース 2003年1月6日

日本からタイへのODAで最も大きな問題となっているサムットプラカン汚水処理プロジェクトについてです。

環境アセスメントも行なわずに、東南アジア最大の汚水処理場が建設され、90パーセントが完成していると言われています。地元住民の多くは貝の養殖などへの影響を懸念しプロジェクトに反対しています。プロジェクトの詳細は以下のページをご覧ください。

援助機関の自浄能力のなさに失望した住民グループは、送水管の敷設を実力で阻止して、抗議行動を続けています。その一方で、このODAプロジェクトが、いかにタイで汚職と不正にまみれているかを詳細に分析したタイ語の調査報告書を、住民運動のリーダーであるダワンさんが中心になって出版しました。

以下、正月2日に現地を訪問したメコン・ウォッチの土井利幸(バンコク)の報告です。

先日、新年のあいさつを兼ねて、住民運動リーダーのダワンさん(クロンダン区在住)を訪問して近況をうかがいました。

バンコクから車でクロンダンに入ろうとすると、湾岸沿いの道路が数ヶ所で冠水していました。南タイの豪雨でタイ湾が増水し、海流の作用で影響が対角線上に当たる当地に及んでいるとのこと。こんなことがたびたび起これば、道路よりもさらに海側にある汚水処理施設は本当に大丈夫なのかと思ってしまいます。

当初「2001年6月30日完成予定」とされていた計画はいまだ未完成です。

理由の一つは、住民が汚水を送る送水管の敷設場所を二ヶ所押さえて工事を阻んでいるからです。1999年反対運動が始まった時「理は自分たちにあり、説明さえすれば賢明なる国際機関は計画への援助を思いとどまる」と信じて疑わなかった住民たちは、アジア開発銀行(ADB)のインスペクション・ファンクション(住民の要請による計画の再検討)をもってしても計画が中止にならなかったことで、実力阻止の切り札を握らざるを得なくなっています。

工事が頓挫している今一つの理由として、思惑はさておき、現タクシン政権が計画推進にさほど積極的ではない点があげられます。昨年11月23日付バンコク・ポストによると、管轄官庁トップであるパパット・パンヤチャタック新環境・天然資源大臣が12月中にも計画の将来について何らかの結論を出すとのことでしたが、いまだにはらは決まっていない様子です。パパット大臣は計画の見直しや住民の反対の声をのっけから相手にしないというわけではありません。話し合いにも応じています。政権内外での駆け引きも含めて、結論の内容とそれを下す好機を慎重に検討しているのでしょう。【注1】

対して住民側は今年2月に政府と工事請負会社との契約が切れるため、パパット大臣に契約延長を思いとどまらせるよう働きかける作戦です。その一環として、少し前から浮上している「施設の海洋資源研究センターへの転換」が現実性を持つアイデアである、と専門家などから支持を取り付けようとしています。

また、昨年末ダワンさんはNGOの協力を得て、この計画がいかに利権まみれで理不尽なものかをタイ語の本にまとめることにこぎつけました。『クロンダン汚水処理施設:亡国の計画』(工業汚染調査キャンペーンの会著)がそれです。裏表紙の紹介文を引用します。

「クロンダンはタイ湾岸にある緑の土地。多くの人々が漁で生計を立てている。土地と海の恵みに深く依存し結びついた生活だ。こうした土地への愛着が、おし付けの汚水処理施設計画を受け入れない原動力になっている…声をあげない時でも…。その人々が立ち上がり、情報を集めて、調査し、事実が明らかになった時に分かったことは、この計画には被害や影響ばかりで何の利点もない。あるのは共謀・隠蔽・歪曲…そして蔓延する問題…。一言で言えば、これは「亡国の計画」である…上から下まで。」

目次には、「秘密裏の計画変更」、「政策の抜け穴」、「汚水処理政治」、「決定と無視された反対の声」、「翻弄される計画」、「湾岸の湿地で」、「購入してから調査」、「詐欺の証拠」、「肥大化した計画」、「リスクを抱えた巨大処理施設」、「背後にいる者たち」、「ADBへの街頭行動」、「繰り返される過ち」などの項目が挙がっています。この本が2月の建設契約延長阻止に向けた世論喚起の武器になることでしょう。【注2】

最後になりましたが、ダワンさんから日本のみなさんへのメッセージです。

「サワッディー・ピー・マイ(新年おめでとうございます)。旧年中はたいへんお世話になりました。今年もご支援のほどよろしくお願いいたします。クロンダンの地よりみなさんのご多幸をお祈りしています。」

以上です。

【注1】:メコン河開発メールサービス2002年11月24日配信「[MekongWatch]タイ汚水処理>「計画変更もある」と担当大臣」を参照のこと。

【注2】:本書(タイ語のみ、224ページ二色印刷)の入手を希望する方には実費(160バーツ)プラス送料で郵送させていただきます。ただし、タイ在住の方に限らせていただきます。お名前、郵送先を以下のメール・アドレスまでご連絡下さい。toshi-doi@mtd.biglobe.ne.jp(この件の担当者:土井利幸(どい・としゆき))送金方法についてはこちらから連絡を差し上げます。なお、お手元に届くまでに若干の時間がかかる場合があります。また、上記のメール・アドレス宛て以外のご注文・お問い合わせには対応できかねますのであわせてご了解下さい。

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