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パクムンダム>永久水門開放を求めた住民を強制排除
メコン河開発メールニュース 2003年2月2日

世界銀行が融資し10年以上も影響住民を苦しめているタイのパクムンダム。ダム撤去への一歩として水門永久開放を求めて平和的な座り込みをしていた千人を超える影響住民たちを、1月29日にバンコク都が、強制的に排除しました。以下、メコン・ウォッチの木口由香の現地報告と新聞記事の翻訳です。


29日、タイ時間午前9時半、サマック都知事率いる都職員約千名が、首相府前で座り込むパクムンダムやシリントンダム、ラムタコン揚水発電所の開発事業から影響を受けた人々を強制排除しました。警官隊は、首相府前の路上に作られた住民のテントや小屋を次々と撤去、それをごみ収集トラックに積み込んでいきました。撤去は約3時間で終わりました。

住民側は非暴力を貫き撤去に抵抗せず、自ら荷物をまとめ路上で様子を見守ったので、双方にけが人などは出ませんでした。また、逮捕者も出ませんでしたが、バンコク都が公共地の不正占拠で住民を訴える用意をしているという情報もあります。

都は、住民の帰宅用にバスを用意していましたが、住民側は「自らすすんで来たのだから、都知事を煩わせず、自分たちで帰る」と宣言、バスを使わず、徒歩でバンコク中央駅まで向かいました。撤去が始まる前、住民代表はチャワリット副首相と会見し、今後のムン川開発について住民参画委員会を設置、問題解決に当たることを話しあう予定でした。しかし副首相は現れず、強制撤去が行われました。

撤去が終了し、移動を待つ間、住民リーダーらは交代で車両の上に用意された演壇で政府批判の演説を行っていました。最後に、日本の援助で建設された、ラムタコン揚水発電所建設の粉塵被害を受けた女性が泣きながらマイクを握り、撤去の不当性を叫ぶと、年配の女性の中にはつられて涙ぐむ人もありました。

今回出動したのは、違法屋台の取締りなどを行う都の職員(テーサキット。正確な訳をご存知の方はご教唆ください)。サマック知事は学生運動を弾圧した過去のあることで知られた人物。かねてから、パクムンのような住民の直接行動を苦々しく思っていたと言われています。今回、政府はバンコク都にデモ隊に対する監督権限を委譲しました。「何があっても、政府ではなく都がやったこと」というわけです。

また、本来警察業務であるはずのデモの撤去を、都の職員が行ったことで、NGO関係者は、「これで一線を越えてしまった」と言っています。政府と都は、これからのデモはサンデーマーケットの開かれるチャドチャク公園付近で行うよう指導する、といいます。違反者は厳しく取り締まる模様です。影響住民が自らの姿を首都の人々の目に曝すことで、問題をアピールし政治的スペースを広げてきたタイ農民らの運動ですが、ここに来て次々と間口を狭められています。ここ数ヶ月、ありとあらゆる集会で、水門開放が最良の選択、という言葉が語られてきました。しかし、それは政策決定者に届いていません。パクムンも、再び現地で運動の建て直しを図ることになります。

以下、タイ字新聞の記事の翻訳です。


サマック、都職員を率いてパクムンデモ排除

2003年1月29日

マネージャー紙オンライン

「サマック」(バンコク都知事)は水を打ち切り、トイレ車を引き上げた上、1000名の首都特別職員を率いてパクムン住民のデモサイトを更地にした。その上、住民とチャワリット副首相との交渉の結果も待たなかった。住民側は列車に乗って引き上げた。

国家公務員委員会局(首相府前の建物)の前で座り込みを続けていたパクムンダムの住民に、バンコク都が29日に公衆衛生上のサービスを中止すると通告していた件で、チャワリット副首相は28日に住民との交渉に赴き、ムン川の生態の回復を行うための委員会を設置し、住民に全ての段階で参加認める代わりに、出身地への帰宅をすすめていた。

29日の午前4時半、貧民フォーラム住民パイチット・シーララク氏が明らかにしたところによると、2台のトイレ車は引き上げられ、空になった水の配給タンクが4つ残っているだけになった。チャワリット副首相とのムン川生態回復と開発に向けた委員会設置という問題解決交渉は、同日の8時から始まる。住民側は代表を既に選んでいるが、政府側の代表が誰かは知らされていないという。早朝、デモサイトでは僧侶が托鉢に訪れ、そこで食事を取った。

8時半、記者からの連絡によると、ブンミー・カムルアン、ソムキアット・ポンパイ、ナッタチョート・チャイラット、メラーミー・カーチャン、チャイパン・プラパーサワットら、貧民フォーラム側の代表が首相府に向かったが、チャワリット副首相は首相府におらず、会うことはできなかった。そして、付近の学校前にはバンコク都の特別職員1000名が集合してきた。そのうちの一人が明らかにしたところによると、50区全てに集合がかかっているが、業務内容は知らされていないということだった。

9時35分、集会小屋で僧侶が読経している最中、サマック・スンタラウェート都知事が2列に整列した1000名の職員を引き連れてタナコンパトム通り(デモサイトのあった通り)を埋め尽くした。首相府側にはゴミ収集車などが止まり、反対側のベンチャマポビット寺院方面には7台のバスが止められた。都知事は「今日で全てが片付く。都は運搬車と職員、そしてエアコンバスを用意して住民を故郷に返す。この場所には何も残さない」、チャワリット副首相と住民の会合を待たず、住民は全員帰らなければならない、と語った。

世論調査、都民はパクムン住民の水や電気の供給を止めることに反対

ラムカムヘン大学研究開発局世論調査センターでは、28日、1487名の都民に「パクムン住民に対し水や電気の配給をやめ、トイレ車を使わせないことは適切か」というタイトルで世論調査を行った。88.5%が、政府は研究者やNGO,影響住民代表を集め問題解決に向けた分析とオルタナティブの検討を行うべきだと答えた。また、75.2%が、貧困者に対して水などの供給を止めれば政府のイメージは悪くなる、としている。一方、58.7%はパクムン住民が再び要求を起こさないように、最終決定を下すべきだと考えているが、41.3%はその考えに反対している。

このグループの中で69.9%の人が、水や電気を止めることはパクムン問題を解決する最良の手とはいえないとしている。また68.3%は水や電気を止めればデモが起きなくなるとは思わない、と回答した。

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