ホーム > 資料・出版物 > タイ汚水処理 > 日本のODA事業にからむ汚職調査の中身
日本の国際協力銀行による円借款ODAと、財務省が所管するアジア開発銀行の融資で、タイ中部のサムットプラカン県クロンダン区に建設が進められている汚水処理プロジェクト問題について、タイのメディアは連日汚職のニュースを大きく伝えています。
これまでの経緯については、以下のページをご覧ください。
まず、メコン・ウォッチの土井利幸(バンコク)の分析です。
以下に紹介するThe Nationの記事では、汚職に関与したとされる政治家が実名報道されていること以外に重要な点として、次のような事実があるかと思います。
そのThe Nationの記事を、メコン・ウォッチの福田健治が翻訳しました。
2003年2月19日
Sirinart Sirisunthorn記者
昨日、クロンダン汚水処理プロジェクトで汚職疑惑に関わったとして、4名の有力政治家が告発された。
汚職防止市民メディア基金(Civic Media Fund for Counter Corruption)による調査で、バンハーン元首相、ワタナ元内務大臣及びインパン、スワット両元環境大臣の4名の実名が挙がった。
調査チームには、ジャーナリスト・活動家及び地元でプロジェクトに反対するうダワン・チャンダラハッサディー氏が参加した。
昨日の調査結果の発表の場で、「これは汚職にまみれた政策だ。政治家・建設会社及び政府関係者による共謀だ」とチームは述べた。
「政治家は商業上の利益を得るために、法律の抜け穴を使って権限を乱用した」調査チームによれば、ワタナは首相府大臣になった際にこの件に関わり、土地購入プロセスで何十億バーツもの利益を彼の会社を通じて得たという。ワタナが土地区画を買い集めるために会社を設立し、その土地を極めて高額で(政府に)売り払ったことで、プロジェクトの費用は136億バーツから237億バーツに膨れ上がったとチームは語っている。
「県土地事務所が推定する市場価格では1ライあたり48万バーツだった土地1900ライを、ワタナの会社は1ライあたり103万バーツで売り払った。土地区画の一部は運河や公道といった公共用地だったのだ」
調査チームによれば、インパン元環境大臣は、入札プロセスに関与した。彼は権限で入札条件を変更し、元々2つだったプロジェクトを1つに統合したため、20キロメートル以上のパイプ敷設が必要となりプロジェクトの費用はさらに上がった。この変更の結果、ワタナ所有の土地がプロジェクトサイトとして選ばれたと調査チームは言う。インパンとワタナーは、同じ政治グループに属することで知られていた。
調査チームによれば、バンハーンとスワットは、建設段階に関わった。両者は建設会社の主要株主であり、プロジェクトから直接利益を得ている。
政府関係者で汚職に関わったと疑われているのは、以前の公害管理局の高官たち、すなわちPakit Kirawanich, Sirithan Pairojborriboon, Nisakorn Khosi trat及びYuwaree Innaであると調査チームは語った。
しかしパパット環境大臣は、この調査の結論は彼がすでに首相に提出した情報と同じであり、首相は中国訪問から帰り次第、この疑惑について最終判断を下すだろうと述べた。
パパット大臣は、調査完了に必要な情報を建設企業のパートナーであるイギリスのノースウェスト社から入手するために、イギリスにに職員を派遣したと語った。建設契約は本日で期限切れとなり、パパット大臣によれば、政府は契約を更新しないだろうという。
一方、昨日の朝、クロンダンの住民は建設を止めるために市場に集まった。工事は村の許可を得ておらず違法であると住民は主張し、村長に対し工事を中止するために村の権限を行使するよう強く求めた。