ホーム > 資料・出版物 > タイ汚水処理 > ODA案件の不正でタイ政府調査委員会が告訴
国際協力銀行(JBIC)が70億円の円借款を、また日本が最大資金供与国であるアジア開発銀行(ADB)が2億3000万ドルを支援したタイのサムットプラカン汚水処理プロジェクトの用地取得をめぐる不正疑惑で、政府職員と関係企業が、政府調査委員会から告訴されました。天然資源環境大臣は、この告訴は単なる序章だと発言しています。
以下、バンコクの土井利幸(メコン・ウォッチ)からの報告と翻訳記事です。
サムットプラカン汚水処理施設建設をめぐる最新報道(バンコクポスト紙)です。この報道によりますと、建設地取得をめぐる不正疑惑を調査していた政府委員会が、「不正はあった」と結論付ける報告書を所轄の天然資源環境大臣に提出し、政府職員と関係企業を告訴しました。
ついに刑事事件に発展してきたわけで、住民やNGOからの再三の指摘にもかかわらず、また何度か機会を与えられたにもかかわらず、チェック機能を働かせることができなかった融資機関(アジア開発銀行と国際協力銀行)の責任と構造上の問題が改めて問われます。
土井@バンコク
バンコクポスト2003年3月19日
Wassayos Ngarmkham署名記事
クロンダン汚水処理施設をめぐって不正が行なわれたとして政府職員と三企業が犯罪防止警察に告訴された。
政治家の関与を裏付ける証拠は見つかっていない。
昨日(3月18日)告訴を行なったのは公害防止局(PCD)と警察の特別審査局(SID)である。
弁護士に付き添われたApichai Chvajaroenpun公害防止局長とNoppadolSapsomboonSID局長(中将)は同時に犯罪防止課に対しても汚水処理施設に関する書類を提出した。
今回の告訴は、政府の調査委員会がサムットプラカン県に建設中の汚水処理施設をめぐって土地取得に不正があったと結論付けたことを受けた動きである。
Noppadol局長が調査委員会の委員長をつとめていた。
Apichai局長によると、1900ライ(約330ヘクタール)の公有地に対して土地所有証書が不正に発行されたことが明らかになった。後にこの土地が19億5160万バーツ(約60億円)でPCDに売却された。
Apichai局長は、当時はPCDに売却された土地が公有地であるとの認識はなかったと述べた。
Noppadol局長率いる委員会が調査結果をPraphat Panyachartrak天然資源環境大臣に提出したのは月曜日(3月17日)のことである。
Noppadol局長は、報告書では告訴対象者が全員特定されているとしながらも、政府職員と法人とだけ述べ、名前の特定は避けた。
Noppadol局長はまた、告訴した三企業の幹部について、今後調査が進み問題の土地所有証書が不法に発行された点を認識していたことが明らかになった場合は刑事訴訟の対象になる者が出るかも知れないと述べた。
局長は、本件で政治家は連座していないと付け加えた。
Noppadol局長の委員会は、上院委員会など複数のソースから建設費230億バーツ(約690億円)の汚水処理施設をめぐる不正疑惑についての資料を入手した。
Praphat天然資源環境大臣は、昨日(3月18日)の告訴は序章に過ぎないと語った。同大臣は「時間が経てば他にも関連する問題が出てくる可能性がある」と述べた。