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タイ汚水処理>汚職政治家逮捕へ!
メコン河開発メールニュース 2003年6月24日

日本のODA70億円とアジア開発銀行(ADB)の2億3000万ドルが融資され、漁業被害を懸念する住民の強い反対にも関わらず建設が進められてきたタイ・サムットプラカン県の汚水処理プロジェクトは、事業用地売却にからむ汚職事件に発展してきました。

このODAに責任を持つ外務省有償資金協力課は、これまで「タイ国内法上手続きに沿って適正に実施されている」「土地買収価格も地方行政組織、予算局等も承認も経た適切な手続きを行ったものである」と説明してきました。環境社会面だけでなく、汚職防止という点でも、日本の外務省・国際協力銀行の審査能力が改めて問われそうです。

以下、本件をずっとフォローしているメコン・ウォッチの福田健治の解説と翻訳記事です。

*******以下、福田報告と翻訳記事********

国際協力銀行(JBIC)・アジア開発銀行(ADB)の融資で建設が行われていたサムットプラカン汚水処理プロジェクトで、ついに汚職疑惑による逮捕者が出る見込みです。プロジェクトの捜査を行っているタイ版FBI・特別捜査局は、当初から言われていた建設用地の転売疑惑に関与していた地元政治家と事業者・公害管理局の歴代局長について逮捕状を請求する方針を固め、対象者が新聞等で報道されています。

このプロジェクトについては1998年から住民運動が行われてきており、影響を受ける住民自身が汚職の調査を粘り強く行ってきました。2月には住民がジャーナリストと共同で行った調査内容を発表しており、プロジェクト中断や今回の逮捕状請求への動きにつながっています。

当初の2つの汚水処理場建設から、工業地帯から離れたクロンダン村に建設地が移転した問題について、タイ政府やADB・JBICは「土地取得が困難だったためであり、適切な環境配慮が行われている」と言い張ってきました。しかし建設地移転が汚職によって引き起こされたことが明白になった今、クロンダン村での建設には何の正統性もありません。

プロジェクトの建設は中断され、ADB及びJBICによる300億円以上になる融資は無駄に終わる可能性が高くなっています。住民の訴えにも関わらず、これまでJBICはタイ政府の言い分を鵜呑みにし、汚職の存在を否定してきました。きちんとした調査がされないままに融資を継続したため、ここまで傷が広がったと言えます。JBICが今後の支援プロジェクトで汚職疑惑が上がったときにどのように対処するのか。巨額の融資を行う機関の責任として、相手国政府の言いなりではなく、国際機関同様、JBICが独自の調査をするだけの制度を整える必要性があるのではないでしょうか。

以下、バンコクポスト紙の報道です。

クロンダン汚水処理施設疑惑
ワタナー他9名を逮捕へ
汚職調査報告書は重要人物や政府高官を名指し

2003年6月11日

Anchalee Kongrut、バンコクポスト

老練の政治家Vatana Asavahameと兄弟のSomporn、Vatanaの長年の側近であるManPattanotai他7名が、クロンダン汚水処理プロジェクトにおける汚職に関与したとして告訴される予定である。

特別捜査局の公式報告書によれば、他の7名も全て政府高官や要人である。報告書は昨日リークされた。報告書には、Boonsri Pinkayan、Lalin Pinkayanの他、公害管理局の元局長Pakit Keeravanit、Sirithan Pairoj-Boriboonなど公害管理局官僚の名前が挙げられている。

昨日、Vatana氏は疑惑の全てを否定し、彼や側近を相手取ったこの事件は政治的な動機に基づいていると指摘した。

特別捜査局は、サムットプラカン県バンプリ郡クロンダン村の汚水処理施設建設のための1900ライ強の土地買収に関与したとして、この10人の逮捕状を取る見込みだ。(訳注:1ライ=1600平方メートル)

プロジェクト用地は、近隣の土地が同時期に1ライあたり10万バーツで取り引きされていたにも関わらず、1ライあたり103万バーツで当時の科学技術環境省に売却された。

Vatana氏は1988年から1990年にかけて副内務大臣だった際に、ゴミ埋め立て地や公共の運河・マングローブ林などの国有地を含む土地区画について土地権利証を発行するよう、副大臣としての権限を用いて土地局の担当者を説得した疑いがかけられている。

政府高官によれば、Vatana氏の兄弟であるSomporn、Boonsri氏及びLalin氏は、国有地を集め違法な土地権利証を入手したと疑われているパームビーチ開発社の主な株主であると指摘されているという。

「Vatana氏は問題の土地を国に売却したクロンダンマリンアンドフィッシャリー社の株主ではない。この事件では、Vatana氏が密接な関係を有するパームビーチ社が違法に土地権利証を入手したという点が問題となっている」と政府高官は語った。

この土地はパームビーチ社がクロンダンマリンアンドフィッシャリー社に売却し、後に公害管理局へと転売された。

元公害管理局長であるPakitも重要人物である。彼は汚水処理プロジェクトを開始し、当初の2つの汚水処理場建設という計画を大規模な単一施設に変更したと伝えられている。この変更により、プロジェクトの費用は130億バーツから230億バーツに膨れ上がった。

Pakit氏はまた、内閣が2つの汚水処理場建設案を指示しているにも関わらず、建設会社に単一の処理場計画を代替案として含むよう助言したと疑われている。

Vatana氏の疑惑について、証人が法廷で証言を行うだろうと政府高官は述べた。昨日、Vatana氏は「当局は注意深く調査するべきだ」と警告した。

「無実の人間を巻き込むことはよくない」と彼は言う。「なぜ私の仲間や私自身が槍玉に上がっているのか理解できない。政治的な動機があるのではないか」

Vatana氏と関係者は10年以上前に、約900ライの土地を買収するため会社を設立した。この目的は汚水処理場ではなくゴルフコース開発の企業に売却するためであった(これはパームビーチ社のことである)。彼は売却によって1ライあたり10万バーツ弱の利益を受け取った。

土地に関する全ての文書は合法的に発行されており、土地局・港湾局・道路局の担当者によって裏書きされている。彼は副大臣であった際に合法な土地権利証を入手するべく権限を行使したことを否定した。

「当時私は土地局に対して何の権限もなかった」とVatana氏は述べた。

公害管理局の前局長であるNisakorn Kositrattana及び同局の元水質管理課長であるYuwaree In-naについても逮捕状が請求される。

上記の官僚らは事件について何もコメントしていない。

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