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パクムンダム>ダムが洪水を悪化?

メコン河開発メールニュース 2004年10月30日

今年、日本は記録的な台風に見まわれましたが、以下は、東北タイでパクムンダム(世界銀行融資、1994年完成)が洪水を悪化させているというタイ字紙のニュースです。メコン・ウォッチの木口由香の解説と翻訳です。


異常に降雨の少なかった昨年と正反対に、今年は早くから雨が降り続きメコン河流域の各地で洪水がおきています。特に、パクムンダムを河口に持つムン川流域のウボンラチャタニ県都市部では被害が深刻です。

川沿いのコミュニティに生活する住民によると、パクムンダムが建設されて以降、水位の上昇が早くなり、逆に水が引くのは遅くなったといいます(記事参照)。

被害の深刻な地域は河口から約70キロ上流になります。ダムの貯水の影響は河口から40キロほどとされていますが、実際はそれ以上に及んでいると見られます。

パクムンダムの影響住民も、ダムが建設されてから上流の川底に砂や泥が堆積して河床が浅くなっていると話しています。これはダムの堆砂の影響です。

ダムがその貯水池に堆砂を起こすのは自明の事実ですが、その影響は事前に正しく予測されているのでしょうか?そして、洪水の被害の補償はダムの建設費や補償とは全く別会計、タイの国家予算から捻出されているのです。ウボンラチャタニで洪水被害を受けているコミュニティは、都市部の低賃金層です。洪水によって毎年家財が危険にさらされ健康も損なうことは、新たな貧困を生み出しているのではないでしょうか?

パクムンダムがウボンラチャタニの洪水を悪化させているとクレーム

マネージャー紙オンライン

2004年8月18日

ウボンラチャタニ−ウボンラチャタニは洪水に見舞われている。気象局は、東北タイでは雨が続き、更に洪水が悪化するかもしれないと伝えている。この事態の中、住民はパクムンダムの建設でウボンラチャタニの洪水が悪化していると苦情を述べている。

本日(8月18日)の記者の報告によると、ウボンラチャタニではまだ広範に洪水が起こっている。また、東北タイ気象局は、低気圧の停滞、または北タイを降雨前線が通過するため東北タイではしばらく雨が続き、河川沿いや平地では更なる洪水に警戒が必要だと呼びかけている。

ワリンチャムラープ郡ターボンマン村で牛肉の売買業を営むラダワン・パラガーンさんによると、彼女の家族は洪水を避けるために郡土地局の前の避難所で生活している。しかし、一部は洪水の水がまだ届いていない家に残って家財を見張っている。近所の家は既に扉や窓、家の壁の材などを盗まれてしまったという。郡は住民にユーカリの材木と萱やトタンを住民に貸し出し、避難小屋を作らせている。

ラダワンさんは、何年も続いて洪水の被害にあうことについて、パクムンダムが建設されてからムン川の水が急激に上昇するようになった、と話している。一方、水が引くのは遅く、洪水が一月以上と長期間続く。また、(川沿いを)埋め立てて作られた商店や建材販売店などが、かつてムン川の遊水地となっていた低地を消失させたため、川沿いに生活する住民のコミュニティが代わって水の受け皿となってしまったという。

洪水被害者の彼女は、コミュニティが移転することは非常に難しいと語る。理由は住民の生活水準格差で、ある世帯はほぼ十分な収入があるが、ある世帯はゴミを集めリサイクル販売して生活している、といた状態だからだ。また、人々の川沿いでの生活は、何世代も営まれてきた。災害が起きたのは、コミュニティへの影響を省みない開発によるもので、問題が起きたからといって今語られているように軽々しくコミュニティを移転できるものではない、という。

記者によると、ウボンラチャタニ保健局の職員は、風邪をひいた住民に対し手当てを行っている。現在、避難所や(住民が避難している)道路は膝下まで水位が上がっている。気候の変化が激しいため、一日何百人もの患者が発生しているという。

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